アニポケ転生者物語 作:投稿者
「ゲンガー、『シャドーボール』!」
「こっちもだ!『シャドーボール』!」
二体のゲンガーが同時に黒いエネルギー弾を放つ。空中で衝突し、爆発する。
互いに姿を消し、影の中に潜る。フィールドには誰もいないように見えるが、影の中で激しい攻防が繰り広げられているのが気配で分かる。
「そこだ!『さいみんじゅつ』!」
マツバのゲンガーが影から飛び出し、催眠波を放つ。
「読めてるぜ。『みがわり』!」
俺のゲンガーは瞬時に身代わり人形を残し、再び影に消える。催眠術は人形にかかり、無駄撃ちに終わった。
「くっ、素早いな……。なら、逃げ場をなくす!『くろいまなざし』!」
マツバのゲンガーが、逃げ回る俺のゲンガーを睨みつけ、影の中に縛り付けようとする。
「(捕まったら終わりだ。……なら、影ごと吹き飛ばす!)」
「ゲンガー、足元の影に最大出力の『ヘドロばくだん』!」
俺のゲンガーが、自分の潜んでいる影そのものに向かって毒の爆弾を叩きつけた。
ドォン!!
爆発で影が乱れ、マツバのゲンガーも強制的に外へ弾き出された。
「なっ、自爆覚悟で脱出しただと!?」
「今だ!『あくのはどう』!」
体勢を崩したマツバのゲンガーに、悪の波動が直撃する。
ゴーストタイプに悪技は効果抜群だ。
「グオォッ……!」
マツバのゲンガーが膝をつく。
「とどめだ!『シャドーボール』連射!」
俺のゲンガーが、両手からマシンガンのようにシャドーボールを乱射する。
マツバのゲンガーは回避しきれず、その全てを浴びてダウンした。
「……ゲンガー、戦闘不能。勝者、ミナト!」
「……参ったよ。影の使い方が、僕の想像を超えていた」
マツバは、倒れたゲンガーを労いながら、清々しい表情で俺に歩み寄ってきた。
「君たちは、影に潜むだけでなく、影を味方につけている。……ファントムバッジ、君に授けよう」
俺は、紫色の幽霊の顔を模したバッジを受け取った。
これで四つ目。
「ありがとう、ゲンガー。お前のトリッキーさのおかげだ」
「ゲッゲッゲ!」
ゲンガーは嬉しそうに、俺の影の中でピースサインを作った。
ジムを出ると、夕焼けが古都を赤く染めていた。
伝説のポケモンとの遭遇、そしてジム戦の勝利。
エンジュシティでの濃密な一日が、終わろうとしていた。
「(次はアサギシティか。……海沿いの街だな)」
俺たちは、新たな目的地に向けて、気持ちを切り替えた。
だが、その前に。
まだ、やり残したことがある気がした。
イーブイ。あの子との約束だ。
「(焦らなくていい。ゆっくり、強くなろうな)」
俺は、ボールの中で眠るイーブイに語りかけ、宿へと戻るのだった。