アニポケ転生者物語 作:投稿者
エンジュシティを出発する日の朝。
俺たちは、スズの塔が見える高台で、最後の休憩をとっていた。
「結局、スイクンたちにはあれっきり会えなかったな」
サトシが残念そうに言う。
「伝説のポケモンだもの。そう簡単には会えないわよ」
カスミが慰める。
俺は、イーブイをボールから出し、膝に乗せてブラッシングをしていた。
「ブイ……♪」
最初は怯えていたイーブイも、今ではすっかり俺に懐き、甘えるような声を出してくれるようになった。
「お前は、どんなポケモンになりたいんだ?」
俺が問いかけると、イーブイは首を傾げた。
シャワーズ、サンダース、ブースター。
エーフィ、ブラッキー。
そして、シンオウ地方で発見されるリーフィア、グレイシア。
イーブイの未来は無限だ。
「(俺の知識で、最適な進化を選んでやることもできる。……でも、それは違う気がする)」
進化は、トレーナーのエゴじゃない。ポケモンの生き方そのものだ。
俺は、イーブイが自分で「なりたい自分」を見つけるまで、待ちたいと思った。
その時、草むらがガサガサと揺れた。
飛び出してきたのは、ロケット団のコラッタとアーボだった。
「見つけたぞ!あの時のガキどもだ!」
以前撃退したロケット団員たちが、執念深く俺たちを追ってきたのだ。
「しつこいな!ピカチュウ!」
「バサギリ!」
サトシと俺が応戦しようとした時、イーブイが俺の膝から飛び降りた。
「ブイッ!!」
イーブイは、小さな体でロケット団の前に立ちはだかり、威嚇の声を上げた。
「イーブイ、危ないぞ!」
だが、イーブイは引かなかった。
『かみつく』でコラッタに飛びかかり、『スピードスター』でアーボを牽制する。
その姿は、「守られるだけじゃない、私も戦いたい」という強い意志に満ちていた。
「……そうか。お前も、強くなりたいんだな」
俺は、イーブイの覚悟を受け止めた。
「よし、イーブイ!『てだすけ』だ!ピカチュウとバサギリの攻撃を強化しろ!」
イーブイが光を放ち、仲間たちに力を送る。
強化された『10まんボルト』と『がんせきアックス』が、ロケット団を空の彼方へ吹き飛ばした。
「やったな、イーブイ!」
俺が抱き上げると、イーブイは誇らしげに胸を張った。
まだ進化はしていない。だが、その心は確実に、次のステージへと進んでいた。
「ゆっくりでいい。一緒に強くなろう」
俺の言葉に、イーブイは「ブイ!」と力強く応えた。
朝日が昇り、スズの塔を黄金色に照らす。
俺たちの旅は、まだ中盤。
これから出会う数々の試練も、この仲間たちとなら、きっと乗り越えていける。
「出発だ!次はアサギシティ!」
俺たちは、輝く未来へ向かって、力強く歩き出した。