アニポケ転生者物語 作:投稿者
道中記・エンジュの夜
エンジュシティでの最後の夜。
俺は、スイクンハンターのミナキと、焼けた塔が見える屋台で茶を飲んでいた。
「……君のイーブイには驚かされたよ。まさか、あの小さな体でフーディンを翻弄するとはね」
ミナキが、感心したように言う。
「まだまだこれからですよ。あいつには、無限の可能性がありますから」
「ふっ、違いない。……スイクンが君に目を留めた理由も、なんとなく分かった気がする。君は、ポケモン自身の可能性を信じ、引き出す力を持っている」
ミナキは、空になった湯呑みを置いた。
「私は、これからもスイクンを追い続ける。だが、もしまた会うことがあれば……その時は、もっと強い私を見せてやるさ」
「ええ。楽しみにしています」
俺たちは、ライバルとして、そして同じ伝説を追う者として、静かに杯を交わした。
帰り道、演舞場の前を通ると、以前イーブイを預かってくれていた舞妓さんたちに出会った。
「あら、ミナトさん。イーブイちゃんは元気ですか?」
俺がボールからイーブイを出すと、イーブイは嬉しそうに舞妓さんたちの足元を駆け回った。
「まあ、毛並みがとっても良くなってる!それに、表情も明るいわ」
「きっと、素敵な旅をしているんですね。安心しました」
イーブイは、俺の足元に戻り、誇らしげに「ブイ!」と鳴いた。
「(こいつも、自分の居場所を見つけたんだな)」
新参者たちの夜
宿に戻り、俺は手持ちのポケモンたちを全員庭に出した。
今夜は、ジョウトで仲間になった新入りたちと、古参メンバーの親睦を深めるための、ささやかなパーティだ。
「さあ、みんな。遠慮なく食べてくれ」
俺が用意した特製ポロックの山に、ポケモンたちが群がる。
「ギィ……」
ヨーギラスが、庭の置石をかじろうとしている。岩タイプの本能だ。
すると、ウインディが鼻先でそれを止めた。
「
ウインディは、自分の皿から一番上等なポロックを、ヨーギラスの前に押し出した。
ヨーギラスは恐る恐るそれを口にし、パァッと目を輝かせた。
「
そのままウインディの懐に潜り込み、もっとくれとねだり始めた。
一方、イーブイはゲンガーと遊んでいた。
ゲンガーが影絵で様々な形を作ると、イーブイがそれを追いかけて飛び跳ねる。
「
「
遊び疲れると、イーブイは近くにいたカイリューの背中に「乗せて!」とせがんだ。
カイリューは優しく微笑み、イーブイを背中に乗せて、庭の上空をゆっくりと旋回してあげた。
「
タッツーは、相変わらずラプラスにべったりだ。
「
「
ラプラスが優しく相槌を打つ。
その横で、エアームドが静かに羽の手入れをしていた。その磨き上げられた鋼の翼に、タッツーが自分の顔を映して遊んでいる。エアームドは少し鬱陶しそうにしながらも、決して追い払おうとはしなかった。
「(いい雰囲気だ……)」
フシギバナやバサギリ、ニドクインといったベテラン勢も、そんな若い連中を温かく見守っている。
俺のチームは、家族のように温かく、そして鋼のように強い絆で結ばれつつあった。
伝説への考察
夜が更け、ポケモンたちが眠りについた頃。
俺はポリゴン2と共に、データの整理を行っていた。
『焼けた塔で観測された三犬のエネルギー波長……。特にスイクンの波長は、マスターの持つ『水晶の欠片』および『にじいろのはね』と、微弱ながら共鳴反応を示しています』
「(やっぱりか……)」
ホウオウの『にじいろのはね』。ルギアの『銀色の羽』。そしてミュウツーの『水晶』。
三つの神の痕跡が、俺の手元に集まっている。
これは偶然なのか、それとも……。
ふと、眠っていたイーブイが目を覚まし、俺の膝に乗ってきた。
イーブイは、俺の胸ポケットに入っている『にじいろのはね』を、不思議そうに見つめている。
「どうした?気になるか?」
「
イーブイは、羽にそっと鼻先を触れた。
「いつか、お前もあんな風に、誰にも縛られず自由に生きられるといいな」
イーブイは、俺の顔を見つめ、力強く頷いた。
その瞳の奥に、未来への強い意志――進化への予感が、微かに灯った気がした。
グリーンフィールドへ
翌朝。
エンジュシティを出発する俺たちは、地図を広げて次のルートを確認していた。
「次はアサギシティね。海が見えるわ!」
カスミが楽しそうに言う。
「ああ。……でもその前に、ちょっと寄り道をしようと思う」
俺は、地図上にある緑色のエリア――『グリーンフィールド』を指差した。
「グリーンフィールド?聞いたことない場所だな」
サトシが首を傾げる。
「美しい花畑が広がる、のどかな場所らしいんだが……。最近、そこで奇妙な噂があるんだ」
「噂?」
「ああ。美しい館に住む少女と、彼女を守る謎のポケモン……。そして、周辺の土地が次々と『結晶化』しているという噂だ」
「結晶化……?」
同行しているサトシたちが、顔を見合わせる。
「(劇場版『結晶塔の帝王』……。アンノーンとエンテイ。そして、孤独な少女ミー)」
俺の持つ『水晶の欠片』が、カバンの中で熱くなった気がした。
ミュウツーの力と、アンノーンの力。
精神が生み出す幻影と現実。
そこには、俺が解き明かすべき「何か」がある。
「行こう。きっと、放っておけないことが起きているはずだ」
「おう!ミナトが行くなら、俺も行くぜ!」
サトシが拳を突き上げる。
俺たちは、エンジュシティを後にし、緑豊かな平原へと歩き出した。
その先には、美しくも悲しい、結晶の塔が待ち受けている。
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