アニポケ転生者物語   作:投稿者

150 / 344
【閑話】古都の夜、伝説の余韻と新しき絆

道中記・エンジュの夜

 

エンジュシティでの最後の夜。

俺は、スイクンハンターのミナキと、焼けた塔が見える屋台で茶を飲んでいた。

 

「……君のイーブイには驚かされたよ。まさか、あの小さな体でフーディンを翻弄するとはね」

ミナキが、感心したように言う。

 

「まだまだこれからですよ。あいつには、無限の可能性がありますから」

 

「ふっ、違いない。……スイクンが君に目を留めた理由も、なんとなく分かった気がする。君は、ポケモン自身の可能性を信じ、引き出す力を持っている」

 

ミナキは、空になった湯呑みを置いた。

「私は、これからもスイクンを追い続ける。だが、もしまた会うことがあれば……その時は、もっと強い私を見せてやるさ」

 

「ええ。楽しみにしています」

 

俺たちは、ライバルとして、そして同じ伝説を追う者として、静かに杯を交わした。

 

帰り道、演舞場の前を通ると、以前イーブイを預かってくれていた舞妓さんたちに出会った。

「あら、ミナトさん。イーブイちゃんは元気ですか?」

 

俺がボールからイーブイを出すと、イーブイは嬉しそうに舞妓さんたちの足元を駆け回った。

「まあ、毛並みがとっても良くなってる!それに、表情も明るいわ」

「きっと、素敵な旅をしているんですね。安心しました」

 

イーブイは、俺の足元に戻り、誇らしげに「ブイ!」と鳴いた。

「(こいつも、自分の居場所を見つけたんだな)」

 


新参者たちの夜

宿に戻り、俺は手持ちのポケモンたちを全員庭に出した。

今夜は、ジョウトで仲間になった新入りたちと、古参メンバーの親睦を深めるための、ささやかなパーティだ。

 

「さあ、みんな。遠慮なく食べてくれ」

 

俺が用意した特製ポロックの山に、ポケモンたちが群がる。

 

「ギィ……」

ヨーギラスが、庭の置石をかじろうとしている。岩タイプの本能だ。

すると、ウインディが鼻先でそれを止めた。

ワオォン!(そっちじゃないぞ。こっちの方が美味い)

ウインディは、自分の皿から一番上等なポロックを、ヨーギラスの前に押し出した。

ヨーギラスは恐る恐るそれを口にし、パァッと目を輝かせた。

ギィッ!(美味い!)

そのままウインディの懐に潜り込み、もっとくれとねだり始めた。

 

一方、イーブイはゲンガーと遊んでいた。

ゲンガーが影絵で様々な形を作ると、イーブイがそれを追いかけて飛び跳ねる。

ゲッゲッ!(捕まえてみな!)

ブイッ!(待ってー!)

遊び疲れると、イーブイは近くにいたカイリューの背中に「乗せて!」とせがんだ。

カイリューは優しく微笑み、イーブイを背中に乗せて、庭の上空をゆっくりと旋回してあげた。

ブイ〜♪(空だ〜!)

 

タッツーは、相変わらずラプラスにべったりだ。

タッ、タッ!(お母さん、あのお星様きれい!)

キュー(ええ、そうね)

ラプラスが優しく相槌を打つ。

その横で、エアームドが静かに羽の手入れをしていた。その磨き上げられた鋼の翼に、タッツーが自分の顔を映して遊んでいる。エアームドは少し鬱陶しそうにしながらも、決して追い払おうとはしなかった。

 

「(いい雰囲気だ……)」

 

フシギバナやバサギリ、ニドクインといったベテラン勢も、そんな若い連中を温かく見守っている。

俺のチームは、家族のように温かく、そして鋼のように強い絆で結ばれつつあった。

 


伝説への考察

夜が更け、ポケモンたちが眠りについた頃。

俺はポリゴン2と共に、データの整理を行っていた。

 

『焼けた塔で観測された三犬のエネルギー波長……。特にスイクンの波長は、マスターの持つ『水晶の欠片』および『にじいろのはね』と、微弱ながら共鳴反応を示しています』

 

「(やっぱりか……)」

 

ホウオウの『にじいろのはね』。ルギアの『銀色の羽』。そしてミュウツーの『水晶』。

三つの神の痕跡が、俺の手元に集まっている。

これは偶然なのか、それとも……。

 

ふと、眠っていたイーブイが目を覚まし、俺の膝に乗ってきた。

イーブイは、俺の胸ポケットに入っている『にじいろのはね』を、不思議そうに見つめている。

 

「どうした?気になるか?」

 

ブイ……(綺麗な色……)

 

イーブイは、羽にそっと鼻先を触れた。

「いつか、お前もあんな風に、誰にも縛られず自由に生きられるといいな」

 

イーブイは、俺の顔を見つめ、力強く頷いた。

その瞳の奥に、未来への強い意志――進化への予感が、微かに灯った気がした。

 


グリーンフィールドへ

翌朝。

エンジュシティを出発する俺たちは、地図を広げて次のルートを確認していた。

 

「次はアサギシティね。海が見えるわ!」

カスミが楽しそうに言う。

 

「ああ。……でもその前に、ちょっと寄り道をしようと思う」

 

俺は、地図上にある緑色のエリア――『グリーンフィールド』を指差した。

 

「グリーンフィールド?聞いたことない場所だな」

サトシが首を傾げる。

 

「美しい花畑が広がる、のどかな場所らしいんだが……。最近、そこで奇妙な噂があるんだ」

 

「噂?」

 

「ああ。美しい館に住む少女と、彼女を守る謎のポケモン……。そして、周辺の土地が次々と『結晶化』しているという噂だ」

 

「結晶化……?」

同行しているサトシたちが、顔を見合わせる。

 

「(劇場版『結晶塔の帝王』……。アンノーンとエンテイ。そして、孤独な少女ミー)」

 

俺の持つ『水晶の欠片』が、カバンの中で熱くなった気がした。

ミュウツーの力と、アンノーンの力。

精神が生み出す幻影と現実。

そこには、俺が解き明かすべき「何か」がある。

 

「行こう。きっと、放っておけないことが起きているはずだ」

 

「おう!ミナトが行くなら、俺も行くぜ!」

サトシが拳を突き上げる。

 

俺たちは、エンジュシティを後にし、緑豊かな平原へと歩き出した。

その先には、美しくも悲しい、結晶の塔が待ち受けている。

 




感想・評価、お気に入りありがとうございます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。