アニポケ転生者物語 作:投稿者
第133話
エンジュシティを出発し、俺たちは38番道路を歩いていた。
この先に、美しい花畑と広大な牧草地が広がる「グリーンフィールド」があるはずだ。
「楽しみだなぁ!一面の花畑!」
カスミが足取り軽く進む。
「ああ。牧場のアイスクリームも有名らしいぜ」
サトシも目を輝かせている。
だが、そんな穏やかな空気は、道端の茂みから聞こえた呻き声によって破られた。
「うぅ……博士……ウチキド博士……」
「なんだ!?」
茂みを覗き込むと、そこにはボロボロになった服を着て、地面に突っ伏している男の姿があった。
「タ、タケシ!?」
俺たちが驚いて駆け寄ると、男はゆっくりと顔を上げた。
やつれた頬、生気のない目。まさしくタケシだ。
「み、みんな……」
「どうしたんだよタケシ!お前、ウチキド博士のところにいたんじゃ……」
「その名は……その名は聞かないでくれぇぇぇ!!」
タケシは頭を抱えて叫んだ。どうやら、ウチキド博士との間に何か(おそらく失恋か、労働環境の厳しさか)があったらしいが、詳細は謎のままだ。
「と、とりあえず元気出せよ。一緒に行こうぜ」
サトシが肩を貸す。タケシは涙目で頷き、俺たちのパーティに復帰した。
「(まあ、原作通りだな。これで役者は揃った)」
俺たちは気を取り直してグリーンフィールドを目指した。
だが、丘を越えて見えた景色は、俺たちの想像を絶するものだった。
「な、なんだあれは……!?」
本来なら緑豊かな草原が広がっているはずの場所が、見渡す限り鋭利な「結晶」に覆われていたのだ。
美しくも不気味な、クリスタルの森。
そしてその中心には、空を突き刺すように巨大な結晶の塔がそびえ立っていた。
「グリーンフィールドが……凍ってる?」
「いや、これは氷じゃない。未知のエネルギーが物質化したものだ」
俺はグラス型デバイスを向けた。
『警告。空間歪曲フィールドを検知。中心部より、アンノーン文字と類似した波動が放射されています』
「(アンノーン……。やっぱり、始まっているのか)」
その時、俺たちの目の前を、一台の車が猛スピードで通り過ぎていった。
乗っていたのは、サトシのママ、ハナコさんと、オーキド博士だった。
「ママ!?」
サトシが叫ぶ。
「サトシ!近づいてはダメじゃぞ!」
オーキド博士が車から降りて叫ぶ。
直後、結晶塔から炎のような影が飛び出してきた。
伝説のポケモン、エンテイ。
だが、その姿はどこか幻想的で、現実味を欠いていた。
「私が……ママになってあげる」
エンテイの背中には、幼い少女の声が響く。
そして、エンテイはハナコさんを催眠状態で攫い、結晶塔の中へと消えていった。
「ママーッ!!」
サトシの絶叫がこだまする。
平和なはずの再会は、一瞬にして悪夢へと変わった。
俺たちは、未知なる力に覆われた結晶の世界へと、足を踏み入れることになった。
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