アニポケ転生者物語   作:投稿者

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タンバジム制覇
第139話


エンジュシティを出発し、俺たちは38番道路、39番道路を抜けて、港町アサギシティに到着した。

潮の香りと、活気ある市場の声。

カントーのクチバシティにも似た雰囲気だが、どこか少し寂しげな空気が漂っている。

空は晴れ渡っているのに、街全体に薄い膜がかかったような静けさがあるのだ。

 

「ここがアサギシティか……。海が見えるってだけで、テンション上がるな!」

サトシが港の突堤に駆け出し、大きく深呼吸をする。

「でも、なんだか変ね。……あの灯台、見て」

カスミが指差した先には、街のシンボルである『輝きの灯台』がそびえ立っていた。

いつもなら、昼間でも回転灯が回っており、遠く沖合を行く船の道しるべとなっているはずだ。だが、今はその光が消えている。

 

「行ってみよう」

 

俺たちは灯台へ向かった。螺旋階段を登りきり、最上階の展望室へたどり着くと、そこには一人の少女がベッドに横たわるデンリュウを看病していた。

清楚な白いワンピースを着た、儚げな少女。

彼女こそが、鋼タイプ使いのジムリーダー、ミカンだ。

 

「……ようこそ、輝きの灯台へ。でも、ごめんなさい。今はジム戦はお受けできないの」

ミカンは悲しげにデンリュウ――アカリちゃんの頭を撫でた。アカリちゃんは苦しそうに呼吸をしており、自慢の尻尾の光も消え入りそうに弱々しい。

 

「アカリちゃんが病気で……。この子が元気にならないと、私も安心して戦えないんです。この子は、この街の光そのものですから」

 

「そんな……。治す方法はないんですか?」

サトシが食い気味に尋ねる。

 

「海を渡った先にあるタンバシティに、秘伝の薬があるという話を聞きました。古くから伝わる漢方薬で、どんな病気も治すと……。でも、私はこの子を置いて離れるわけにはいかなくて……」

 

ミカンは視線を落とす。ジムリーダーとしての責任と、トレーナーとしての愛情の板挟みになっているようだ。

 

「なら、俺たちが行ってきます!」

サトシ即答。

 

「えっ?でも、タンバシティへの海は荒れていて危険です。うずまき列島周辺は、ベテランの船乗りでも恐れる難所ですよ」

 

「平気ですよ!俺たちにはラプラスもいるし、何より困ってる人を放っておけません!薬を持って帰ってきて、アカリちゃんを元気にしてみせます!」

 

サトシの熱意に、ミカンも少しだけ笑顔を見せた。

「……ありがとうございます。貴方のようなトレーナーさんがいてくれて、本当によかった。……お願いします」

 

俺は、サトシたちの様子を見て、一歩引くことにした。

今回の「お使い」は、サトシたちのチームワークを高める良い機会だ。それに、俺には俺で、この海域でやっておきたいことがある。

 

「サトシ、薬のことは任せたぞ。俺は少し、この辺りの海流や生態系を調査してから、後で追いかけるよ」

 

「えっ、ミナトは行かないのか?」

 

「ああ。お前たちなら大丈夫だろ。それに、俺が行くとすぐ終わっちまうかもしれないしな」

俺は冗談めかして言った。過保護になりすぎるのは良くない。

 

「なんだよそれ!見てろよ、絶対すぐに薬を持って帰ってくるからな!」

 

サトシたちは、港に停泊していた定期船に乗り込み、荒波の海へと旅立っていった。船が見えなくなるまで手を振るカスミとタケシの姿が見える。

 

「さて、と。俺も準備をするか」

 

俺は、一人灯台の下に残った。

アサギシティの海は、ジョウトでも有数の難所だ。激しい潮流と複雑な地形は、水ポケモンを鍛えるには絶好のポイントでもある。

 

「タッツー、出番だぞ。お前の本当の力、引き出してやる」

 

俺は腰のボールを握りしめ、荒れる海を見つめた。

光の消えた街で、俺たちの新しい特訓が始まろうとしていた。キングドラへの進化の鍵は、この海にあるはずだ。

 

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