アニポケ転生者物語 作:投稿者
ハガネールの防御力は、さらに一段上の次元へと到達していた。
『てっぺき』を重ねがけし、物理攻撃はもとより、特殊攻撃に対してもその巨体で耐え抜こうとしている。
「フシギバナ、無理に攻めるな。……じわじわと行くぞ」
俺は作戦を切り替えた。
相手が「絶対に崩れない壁」なら、その基礎となる「体力」を削ぎ落とすのみだ。
「フシギバナ、『どくどく』!」
「ハガネール、鋼の体には毒は効きません!」
ミカンが毅然と言い放つ。
「(ああ、知ってるさ。……だが、お前の足元はどうかな?)」
フシギバナが吐き出した毒の胞子は、ハガネールの鱗ではなく、彼が破壊した「フィールドの割れ目」――むき出しになった土壌へと染み込んでいった。
「……?何を……」
「フシギバナ、その毒を媒介にして根を張れ!『やどりぎのタネ』、深層展開!」
フシギバナが地面に蔓を突き立てた。
毒によって活性化(あるいは腐敗し、栄養過多になった)土壌を通じて、強靭な植物の根が、ハガネールの腹部の隙間を縫って絡みついた。
「グォッ!?」
ハガネールの動きが止まる。
蔓はただ生命力を吸い取るだけでなく、彼の重厚な体を地面に縫い付け始めたのだ。
「しまっ……!引き抜いて、ハガネール!」
「逃がさないよ!『グラスフィールド』!!」
フシギバナが足元を緑の草原へと変える。
鋼鉄のフィールドが、強制的に自然の領域へと上書きされていく。
植物の力がハガネールの鋼の体を侵食し、関節の動きを鈍らせる。
「(これが、俺のエースの戦い方だ。力で勝てないなら、環境を支配する)」
ハガネールは必死に尻尾を振り回すが、絡みついた無数の蔓がその威力を奪っていく。
砂嵐も、草原の穏やかな風にかき消されていった。
「……なんて執拗な。……でも、鋼鉄の誇りは折れません!」
ミカンが叫ぶ。
「ハガネール、捨て身の『じしん』!!」
ハガネールが最後の力を振り絞り、自身の重みを乗せて地面を叩き抜いた。
草原が裂け、凄まじい衝撃波がフシギバナを襲う。
「フシギバナ!!」
衝撃。砂煙が舞い上がる。
煙が晴れた時。
フシギバナはボロボロになりながらも、その四本の脚でしっかりと大地を踏みしめていた。
「バナァ……!!」
「よく耐えた。……ありがとう、フシギバナ」
俺はフシギバナを労い、ボールに戻した。
彼が削ってくれた「城壁」の耐久力。
そして、彼が張り巡らせた「勝利の舞台」。
あとは、最後の一撃を叩き込むだけだ。
俺は再び、最初の相棒のボールを手に取った。
麻痺を乗り越え、戦意を滾らせている熱き炎。
「……頼むぞ、ウインディ。この城壁を、跡形もなく溶かしてやれ!」
「ワオォォォォン!!」
再登場したウインディの背後には、夕日よりも赤い勝利の予感が漂っていた。
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