アニポケ転生者物語 作:投稿者
フィールドには、フシギバナが創り出した『グラスフィールド』の緑がまだ残っている。
その中央で、ハガネールは蔓に絡み取られ、膝をつくようにして蹲っていた。
一方、再登場したウインディは、脚の麻痺を気合で抑え込み、その全身から陽炎を立ち昇らせている。
「ミカンさん、これが最後だ」
「……はい。私も、この一撃に全てを賭けます!」
ミカンがハガネールに指示を出す。
「ハガネール、全エネルギーを尻尾に集めて!……『はかいこうせん』!!」
ハガネールの口から放たれるはずの破壊の光が、今回はその巨大な尻尾へと集束された。
光輝く金属の尾。それはまさに、神が振るう槌のようだった。
「ウインディ!最高火力の『フレアドライブ』だ!!」
「ウオォォォォォン!!」
ウインディが爆発的な加速を見せた。
グラスフィールドの草を焼き払い、赤黒い炎の塊となって一直線に突き進む。
麻痺の影響で一瞬体が強張るが、ウインディは自らの咆哮でそれを打ち消した。
激突。
スタジアム全体が、落雷を受けたかのような凄まじい轟音と共に揺れた。
炎と光が混ざり合い、真っ白な閃光が視界を奪う。
長い静寂の後。
煙がゆっくりと晴れていく。
立っていたのは――。
「ワオォ……」
肩で息をしながらも、誇らしげに顔を上げるウインディの姿。
対するハガネールは、その鋼鉄の装甲を真っ赤に熱し、節々から蒸気を吹き出しながら、静かに地面へと崩れ落ちていた。
「ハガネール、戦闘不能!よって勝者、ミナト選手!!」
審判の声が響き渡る。
観客席からは、最初の一瞬の静寂を破り、嵐のような拍手が巻き起こった。
「……負けました。本当に、お見事です」
ミカンは、倒れたハガネールの元へ駆け寄り、その大きな頭を優しく抱きしめた。
「ありがとう、ハガネール。貴方の硬い心、ちゃんと届きましたよ」
ハガネールは満足げに小さく鳴くと、光の中に消えていった。
ミカンは立ち上がり、こちらへ歩み寄ってきた。
その瞳には、敗北の悔しさよりも、全力を出し切った爽快感と、新たな可能性を見出した喜びが宿っていた。
「ミナトさん。貴方のポケモンたちとの絆、そして状況を支配する戦術……。私にはないものを、たくさん持っていらっしゃいます」
ミカンは、銀色に輝く六角形のバッジを差し出した。
「これが、アサギジムの証、スチールバッジです。……貴方のこれからの旅が、このバッジのように輝くものであることを願っています」
「ありがとうございます。……最高のバトルでした」
俺はスチールバッジを手に取り、高く掲げた。
これで、ジョウトのバッジは六つ。
頂点までの階段を、また一段、力強く登った。
ジムを出ると、アサギの海は夕焼けに染まり、灯台の光が回転を始めていた。
「やったな、ウインディ。フシギバナ」
俺は相棒たちを称え、港へと歩き出した。
だが、その時。
背後から、聞き慣れた賑やかな声が近づいてきた。
「ミナト〜!!やったな、勝ったんだろ!?」
サトシ、カスミ、そしてタケシだ。
彼らの顔には、冒険への期待と、少しの緊張が混じっていた。
「……ああ。お前たちも、準備はいいか?」
俺は、遠く北の空を見据えた。
そこには、ジョウト地方最大の事件が待ち受ける場所――チョウジタウンがある。
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