アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第14話

サトシのバタフリーとの別れから数日、俺たちは海岸線をさらに進み、霧深い岬にたどり着いた。辺りは濃い霧に覆われ、視界は数メートル先もおぼつかない。

 

「もう、なんなのよこの霧!一歩先も見えないじゃない!」

カスミが、湿気でまとわりつく髪を鬱陶しそうに払いながら不平を言う。

「文句言うなよ、カスミ。これも冒険だろ!」

「あんたは呑気でいいわね!」

 

また始まったサトシとカスミの口喧嘩を、俺とタケシは苦笑しながら見守る。道に迷ってしまったかと不安がよぎったその時、霧の向こうに、ぼんやりと灯台の明かりが見えた。

 

「助かった。あそこなら、道を聞けるかもしれない」

 

俺たちは、その明かりを目指して歩を進めた。たどり着いたのは、古びてはいるが、頑丈そうな石造りの灯台だった。ドアをノックすると、中から奇妙な声が聞こえてきた。

 

「ク、ク、ク……。だ、誰だ……?」

 

恐る恐るドアを開けると、そこに立っていたのは、巨大なカニのようなポケモン、キングラーの着ぐるみを着た、奇妙な人物だった。

 

「うわっ!?」

「な、なによあれ!」

サトシとカスミが、揃って驚いて尻餅をつく。

 

「ワ、ワタシは、巨大なキングラーだ……。この灯台は、ワタシが乗っ取った……」

 

その人物は、そう言ってハサミを振り上げるが、どうにも迫力がない。俺はグラス型デバイスでその人物をスキャンした。

 

『対象:人間。キングラーの着ぐるみを着用。心拍数、正常。脅威レベル:ゼロ』

 

「(……ははーん。さては、こいつが)」

 

俺はニヤリと笑い、一歩前に出た。

 

「面白い冗談ですね。でも、その着ぐるみ、少し暑そうですけど大丈夫ですか?……マサキさん」

 

俺がそう言うと、着ぐるみの動きがピタリと止まった。やがて、観念したように、着ぐるみの頭部が外れ、中からメガネをかけた人の良さそうな青年が顔を出した。

 

「な、なんだ君は!なぜ私の名前を知っているんだ!?」

 

彼こそが、ポケモン研究家のマサキ。この灯台の主だ。原作通り、イタズラ好きで少し変わった人物らしい。

 

「あなたのことは、オーキド博士から聞いていますよ。素晴らしい研究者だってね」

「オーキド博士が!?そうか、君たちもトレーナーか。いやあ、驚かせてすまない。つい、悪戯心が……」

 

マサキは照れくさそうに頭を掻いた。事情を話すと、彼は快く俺たちを灯台の中に招き入れてくれた。

 

灯台の内部は、彼の研究室になっていた。壁一面に並べられた書物、床に置かれた無数の研究機材、そして、見たこともないポケモンの骨格標本。まさに、研究者の城だ。

 

「すごい……!」

 

タケシが、目を輝かせて研究機材を眺めている。サトシとカスミは、珍しいポケモンの標本に夢中だ。俺もまた、テスターとして、そして一人の知識探求者として、この空間に興奮を隠せなかった。

 

「君は、シルフの試作品を持っていると聞いたが……。そのデバイス、少し見せてもらってもいいかな?」

 

マサキが、俺のグラス型デバイスに興味を示した。どうやらオーキド博士から、俺のことも伝わっているらしい。

 

「ええ、どうぞ。俺も、あなたの研究に興味があります」

 

俺はマサキにデバイスの基本的な機能について説明した。特に、ポリゴンとの連携による高度なデータ分析機能に、彼は身を乗り出して聞き入っていた。

 

「素晴らしい!まさに、私の研究を加速させてくれる夢のようなツールだ!……そうだ、ミナト君、君に一つ、お願いがあるんだが」

 

マサキは、興奮した様子で俺に頼み込んできた。彼の研究は、ポケモンの生体データをデジタル化し、遠隔地に転送するという、いわゆる「ポケモン転送システム」の開発だ。だが、プログラムにいくつかのバグが残っており、実用化には至っていないらしい。

 

「君のそのポリゴンとデバイスの力を借りれば、バグの原因を特定できるかもしれない。どうか、私の研究に協力してくれないだろうか!」

 

「もちろんです。俺で力になれるなら」

 

テスターとして、これほど面白い仕事はない。俺は快くその申し出を引き受けた。

 

俺はポリゴンをボールから出し、マサキのコンピューターに接続した。

 

「ポリゴン、転送プログラムのソースコードを解析。バグや非効率な記述がないか、チェックしてくれ」

『了解。デバッグモードに移行。ソースコード、約250万行をスキャン中……』

 

ポリゴンが凄まじいスピードでプログラムを解析していく。その間に、俺はマサキから、彼の研究の真の目的について聞かされた。

 

「私はね、この灯台から、ある一匹のポケモンに呼びかけているんだ」

 

マサキは、窓の外の荒れ狂う海を見つめながら、遠い目をして言った。

 

「そのポケモンは、この世に一匹しかいないと言われている。巨大で、賢く、そして、とても臆病なポケモンだ。私は、長年そのポケモンと交信することを夢見て、この研究を続けてきたんだよ」

 

その時、ポリゴンが解析終了を知らせる電子音を発した。

 

『デバッグ完了。3,478箇所の冗長なコードを最適化。12箇所の致命的なバグを修正。転送成功率、45%から99.8%に向上』

 

「な、なんだってー!?」

 

マサキが、信じられないといった顔でスクリーンを覗き込む。そこには、ポリゴンによって最適化された、美しく無駄のないプログラムコードが表示されていた。

 

「すごい……すごいよ、ミナト君!君とポリゴンのおかげだ!これで、私の夢が……!」

 

マサキが感極まって俺の手を握った、その時だった。

 

灯台の外から、地鳴りのような、低く、しかし、腹の底に響くような、不思議な鳴き声が聞こえてきたのは。

 

マサキの顔色が変わる。

 

「……来た。ついに、来てくれたんだ」

 

俺たちは、顔を見合わせ、ゴクリと喉を鳴らした。霧の向こう、荒れ狂う海の彼方から、何かが、この灯台を目指して近づいてきていた。

 

チラシ裏から表にでるべきか

  • チラシ裏でいい
  • 表にでてもいい
  • まだ表にでるのは早い
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