アニポケ転生者物語   作:投稿者

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【閑話】チョウジタウン前夜

進化の余韻

チョウジタウンの入り口にある、古びたポケモンセンター。

俺はそこで一晩の休息をとることにした。

外はまだ冷たい風が吹いているが、センターの中は暖炉の火で暖かい。

 

俺は、進化したばかりのカブトプスとクリスタルハガネールを裏庭に出して、その能力を確認していた。

 

「カブトプス、その鎌の切れ味はどうだ?」

カブトプスが空中の落ち葉を一瞬で切り刻む。

カブッ!(最高だ)

スピードもパワーも、カブト時代とは桁違いだ。特に水中戦だけでなく、陸上での接近戦もこなせるようになったのは大きい。

 

次にクリスタルハガネール。

「クリスタル、体の調子は?」

「グオォォ……」

彼は体をくねらせ、鱗から冷気を放出した。地面が一瞬で凍りつく。

氷と鋼の複合タイプは、炎や格闘には弱くなるが、ドラゴンや飛行、草タイプに対しては圧倒的な強さを誇る。

「(この冷気……。フスベジムのイブキ戦で切り札になるな)」

 


ウリムーの歓迎会

部屋に戻ると、新入りのウリムーが、既にボールから出されていた他の仲間たちに囲まれていた。

今夜は、氷の雪原で震えていた小さな命を祝う、ささやかな歓迎会だ。

 

ウリウリッ!(わあ、いい匂い!)

ウリムーは、鼻をヒクヒクさせながら、部屋のテーブルの上に並べられた特製ポケモンフーズの山へと突撃した。

その小さな体からは想像もできないほどの食欲。

「あはは、落ち着けって。誰も取らないから」

 

俺が苦笑いしながら見守っていると、イーブイが、お姉さんぶってウリムーの背中をポンポンと叩いた。

ブイッ!(こっちに美味しい実があるよ!)

イーブイは、自分が一番気に入っているオレンのみをウリムーの前に差し出した。

ウリムーは目を輝かせ、一口でそれを平らげると、嬉しそうにイーブイの足元に体を擦り寄せた。

 

そんな様子を、部屋の隅でヨーギラスが静かに見守っていた。

「ギィ……」

彼はまだ進化前だが、自分より小さな新入りの存在を、決して邪魔だとは思っていないようだった。むしろ、自分が外敵から守るべき対象として認識しているのか、その硬い皮膚を入り口の方へ向けて、門番のように佇む。

 

それぞれが、それぞれの方法で歓迎の意を示している。

 

進化したばかりのクリスタルハガネールも、その巨体を小さく丸め、ウリムーを驚かせないように静かに見守っている。彼の冷気は、暑がりのウリムーにとっては心地よい冷房代わりになっているようだ。

カブトプスも、鋭い鎌を器用に使って、木の実を一口サイズにカットしてあげている。

 

「(みんな、いい奴らだな。……本当に、一つの家族みたいだ)」

 

俺は、ウリムーにさらに一つ、最高級のポケモンフーズを手渡した。

「食え食え。これから始まる厳しい戦いを乗り越えるには、もっと体力をつけなきゃな」

ウリムーは小さな体を精一杯震わせて、そのポケモンフーズを宝物のように大切そうに口に運んだ。

そして、食べ終わると、俺の掌をペロリと舐め、信頼の証である赤い瞳で見上げてきた。

 

「よろしくな、ウリムー。お前はこれから、俺たちの『氷の盾』になるんだ」

 

ウリムーは力強く「ウリッ!!」と応えた。

その小さな鳴き声は、部屋の中に響き渡り、仲間たちの寝息と重なり合って、静かな夜のメロディを奏でていた。

孤独だった雪原の記憶は、この温かな歓迎会によって、少しずつ溶かされていったようだった。

 


決戦への予感

夜、俺は窓からチョウジタウンの方角を見つめた。

空には、まだ赤い光が明滅している。

『怒りの湖』から発せられる、ギャラドスの悲痛な叫びのようなエネルギー。

 

「(ロケット団の『プロジェクトE』……。強制進化の実験か)」

 

俺は、懐の『水晶の欠片』を握りしめた。

ミュウツーの時と同じ過ちを、奴らは繰り返そうとしている。

だが、今回は俺がいる。

そして、頼もしい仲間たちがいる。

 

「明日は、赤いギャラドスを救出し、ロケット団のアジトを叩く」

 

俺は、眠っているポケモンたちに静かに語りかけた。

彼らの寝息が、俺に勇気をくれる。

 

「おやすみ。……明日は、忙しくなるぞ」

 

俺は明かりを消し、深い眠りについた。

嵐の前の静けさ。

運命の歯車は、確実に回り始めていた。

 

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