アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第157話

チョウジタウン。

ここは、年中冷たい風が吹き抜け、冬の厳しさを忘れることのない街だ。

その中心に佇むチョウジジムは、古い建物を改装した、まるで氷の洞窟のような場所だった。

 

「ようこそ。……騒がしい連中を追い払ってくれたようだな」

フィールドの中央。車椅子に座り、穏やかな、しかし全てを見透かすような瞳を持つ老人が待っていた。

チョウジジム・ジムリーダー、ヤナギだ。

 

「……ジム戦をお願いします」

俺が一歩前に出ると、ヤナギは静かに頷いた。

 

「よかろう。……だが、冬の厳しさは甘くない。……一瞬の油断が命取りになることを、その身で知るがいい」

 

審判が旗を上げる。

「これより、ジムリーダー・ヤナギと、挑戦者ミナトのバトルを行う!ルールは2対2!」

 

「(ヤナギさんのポケモンは、鍛え上げられた氷の刃。……なら、こちらはそれを上回る『硬さ』で挑む!)」

 

俺は、最初のボールを投げた。

「行け、エアームド!」

 

「カァァッ!!」

銀色の翼を持つ鋼の鳥が、フィールドに舞い降りる。

 

「ほう、エアームドか。鋼タイプなら氷には強いが……その翼、凍てつく風に耐えられるかな?行け、パルシェン!」

 

ヤナギの先発はパルシェン。その殻はダイヤモンドよりも硬いと言われる。

「パルシェン、『からではさむ』!」

 

「エアームド、『てっぺき』!」

 

エアームドが翼を重ね、防御態勢を取る。

ガチィィン!!という硬質な音。パルシェンの挟み込みを、エアームドは微塵も動じずに受け止めた。

 

「『ドリルくちばし』!」

 

エアームドが回転し、パルシェンの殻の隙間を突く。

「『からにこもる』で耐えろ。……そして、『れいとうビーム』!」

 

至近距離からの氷の光線。

エアームドの翼が白く凍りつくが、鋼タイプゆえにダメージは最小限だ。

 

「(長期戦は不利だ。一気に決める!)エアームド、『はがねのつばさ』!!」

 

鋼鉄の翼が閃光となり、パルシェンの殻を真っ二つに割る勢いで叩きつけられた。

凄まじい衝撃。パルシェンはそのままフィールドの端まで滑り、目を回した。

 

「パルシェン、戦闘不能!」

 

「……やるな。だが、本当の冬はここからだ。行け、イノムー!」

 

ヤナギの二匹目は、巨大な牙と厚い毛皮を持つイノムー。

「イノムー、『ふぶき』!!」

 

スタジアム全体が、瞬時に白銀の世界へと変わった。

猛烈な吹雪がエアームドの動きを奪う。

 

「エアームド、戻れ!……最後は、お前の出番だ!」

 

俺は、最高に頼もしい「氷の城壁」を繰り出した。

「頼むぞ、ハガネール!」

 

「グォオオオォォォッ!!」

 

クリスタルの巨躯が現れた瞬間、吹き荒れていた吹雪がハガネールの周囲で凍りつき、逆に彼の装甲を強化するように吸い寄せられた。

氷と鋼。ヤナギの得意とする属性を、そのまま自らの力に変える究極の姿。

 

「……ハガネール!?……いや、これは氷の結晶か」

ヤナギの瞳に、初めて驚愕の色が浮かんだ。

 

「イノムー、『じしん』だ!!」

 

イノムーが地面を叩き、地響きを起こす。

だが、クリスタルハガネールは動かない。

「……ハガネール、そのまま『アイアンテール』!」

 

ハガネールの巨大な尻尾が、地面を割ってイノムーを捉えた。

ドォォォン!!

圧倒的な質量差。イノムーは反撃の余地もなく、地面にめり込んだ。

 

「……イノムー、戦闘不能。勝者、挑戦者ミナト!」

 

静寂が戻ったスタジアム。

ヤナギは、ゆっくりと車椅子を進め、俺の元へやってきた。

 

「……見事だ。冬の厳しさを知っていると思っていたが、まさか冬そのものを身に纏うポケモンを連れているとはな」

 

ヤナギは、氷の彫刻のような美しいバッジを差し出した。

「これがアイスバッジだ。……ミナト、お前の戦い、伝説の氷よりも鋭く、そして熱かったぞ」

 

「ありがとうございます、ヤナギさん」

 

俺はアイスバッジを受け取った。これで七つ目。

残るバッジは、あと一つ。

 

ジムを出ると、サトシたちが駆け寄ってきた。

「ミナト!すっげえよ、あのハガネール!キラキラしてて、しかもめちゃくちゃ強かったぜ!」

 

「ああ。……さて、次はいよいよフスベシティだな」

 

だが、俺の視線は南――海の方角を向いていた。

ワタルから聞いた、うずまき列島の伝説。

そして、手元にある『銀色の羽』。

 

「(フスベに行く前に……まずはあそこに行かなきゃならない。あの子たちを救うためにな)」

 

俺は、決意を新たにした。

ロケット団の野望は、まだ終わっていない。

そして俺たちの冒険も、さらに深い深淵へと進んでいく。

 

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