アニポケ転生者物語 作:投稿者
黄岩島では、水ポケモンの祭典「うずまきカップ」の準備が着々と進んでいた。
街中には色とりどりの旗が掲げられ、世界中から集まった水タイプ使いのトレーナーたちが、自慢の相棒と共に気勢を上げている。
「よし!俺もエントリーするぜ!今回の主役はワニノコだ!」
サトシが、ピカチュウと共に受付へ走っていく。
「私も負けないわよ!私の水ポケモンたちの力、見せてあげるんだから!」
カスミも、やる気満々で後に続いた。
俺は、サトシたちのエントリーを見届けた後、あえて大会には出場せず、街の周囲をパトロールすることにした。
シュウイチとシルバー(子ルギア)のいる洞窟を守るため、そして、先ほど検知した不審な電波の正体を探るためだ。
「ポリゴン2、スキャンはどうだ?」
『了解。……会場周辺の通信網に、微細なバックドア(裏口)を複数検知。……これを通じて、会場の全モニターおよび監視カメラが外部からコントロールされています』
「(やっぱりな。……大会の熱狂に紛れて、何かを仕掛けるつもりか)」
俺は街外れの静かな海岸へと向かった。
そこには、一見するとただの漁船に見えるが、屋根に高度なレーダーアンテナを隠した怪しい船が停泊していた。
船のデッキでは、黒い戦闘服に身を包んだ二人組が、モニターを覗き込みながら密談を交わしていた。
一人は長い赤髪の女、もう一人は青い髪の男。
ロケット団の精鋭、ヤマトとコサブロウだ。
「いい、コサブロウ。大会が盛り上がって、みんなの注意が会場に集中した時がチャンスよ。……あの子ルギアを、一気に捕獲するわ」
「分かってるさ、ヤマト。ナンバ博士の新型捕獲メカがあれば、あんなチビ、赤子の手をひねるようなもんだ」
二人は冷酷な笑みを浮かべ、無線機で誰かと連絡を取り始めた。
「こちらヤマト。ターゲットの座標は特定済み。……いつでも行けます、ナンバ博士」
「(……そうはさせるか)」
俺は、懐の『銀色の羽』を握りしめた。
羽は、敵の悪意に反応するかのように、警告の赤みを帯びた光を放っている。
俺は、ウインディをボールから出した。
「ウインディ、あの船の動きを監視しろ。……何かあったら、すぐに俺を呼べ」
「ワオォォン!」
ウインディは影に潜むようにして、船の監視を開始した。
一方、スタジアムでは「うずまきカップ」の予選が始まり、大歓声が沸き起こっていた。
サトシのワニノコが、カスミのサニーゴが、それぞれの思いを胸に戦っている。
平和な祭典の裏側で、確実に伸びてくる悪の爪。
俺は、嵐の前の静けさを感じながら、デバイスのセキュリティを最大レベルに引き上げた。
伝説を守る戦いは、もう始まっている。