アニポケ転生者物語 作:投稿者
「うずまきカップ」の決勝トーナメントが始まり、島全体の興奮が最高潮に達したその時。
空が突如として暗転し、不気味な紫色の雲が入り江の上空を覆い尽くした。
「な、なんだ!?何が起きてるんだ!?」
スタジアムの観客たちが騒ぎ出す。
俺は嫌な予感を覚え、シュウイチとシルバーのいる洞窟へと急いだ。
だが、俺がたどり着いた時、既にそこには悲劇が起きていた。
「シルバー!シルバーを返してよ!」
シュウイチが泣き叫び、空を見上げている。
そこには、ヤマトとコサブロウが操る、巨大なマジックハンドを備えたヘリコプターが滞空していた。
ハンドの先にある強化ガラスのコンテナの中には、必死に羽ばたきながら助けを求めるシルバーの姿があった。
「キュイィィィーーッ!!」
「へっへー!上手くいったぜ!このチビを囮にすれば、親のルギアもすぐに出てくるはずだ!」
ヘリのスピーカーから、コサブロウの勝ち誇った声が響く。
「逃がすか!エアームド、撃ち落とせ!」
俺はエアームドを放った。エアームドは鋼の翼を広げ、ヘリのプロペラを狙って急降下する。
だが、海中から突然、巨大な機械の触手が飛び出し、エアームドの行く手を阻んだ。
「おっと、邪魔はさせないわよ!」
ヤマトが、海中にあるナンバ博士の潜水空母と連携して、迎撃態勢を整えていたのだ。
「シルバー!!」
俺の叫びも虚しく、ヘリは加速し、沖合に停泊している巨大な母船へと吸い込まれていった。
その時、海面が激しく盛り上がり、スタジアムを飲み込まんばかりの巨大な津波が発生した。
中心部から、怒り狂う白銀の影が浮上する。
「グォオオオォォォォォッ!!」
親のルギアだ。
子供を奪われた親の怒りは、海流を狂わせ、空を震わせる。
親ルギアは、シルバーを連れ去った母船に向かって、破壊の嵐『エアロブラスト』を放とうとした。
だが、それこそがナンバ博士の狙いだった。
「ハッハッハ!来たか、海の神よ!……今こそ、我が発明の力を見せてくれる!」
母船から、不気味な黒い電波が放射された。
それは「怒り増幅装置」。
ポケモンの怒りを強制的に増幅させ、理性を失わせる禁忌の機械だ。
「ガ、アアアァァッ……!!」
親ルギアの瞳が真っ赤に染まり、苦しげに頭を振った。
その怒りは、もはやロケット団だけでなく、島や、そこに住む全ての人々へと向けられようとしていた。
「(まずい、暴走するぞ!)」
俺は、懐の『銀色の羽』を取り出した。
羽は、親ルギアの苦しみに呼応するように、激しく、しかし温かな光を放ち始めた。
「ルギア……!目を覚ませ!」
俺はラプラスに飛び乗り、狂乱する海の神の前へと突き進んだ。
シルバーを救うため、そして伝説の暴走を止めるため。
俺たちの、命懸けの救出作戦が始まった。