アニポケ転生者物語 作:投稿者
荒れ狂う海。
親ルギアの咆哮一つで、数十メートルの水柱が上がり、ラプラスの進路を阻む。
「グオオオッ!!」
理性を失った海の神から放たれる『エアロブラスト』が、俺たちの数メートル横を掠め、背後の無人島を粉砕した。
「(これが、本物の海の神の力……!)」
オレンジ諸島で見た時以上の、圧倒的な破壊力。
ナンバ博士の装置によって引き出された、負のエネルギーがルギアを蝕んでいる。
「ルギア!俺だ!見てくれ、この羽を!」
俺はラプラスの背の上で立ち上がり、『銀色の羽』を高く掲げた。
白銀の光が闇を切り裂き、ルギアの赤い瞳に届く。
一瞬だけ、ルギアの動きが止まった。
だが、すかさずナンバ博士の追撃が入る。
「無駄なことを!出力を最大に上げろ!」
母船から放たれた黒い電波がさらに強まり、ルギアは再び狂ったように暴れ出した。
海流が渦を巻き、俺とラプラスを深海へと引きずり込もうとする。
「
ラプラスが必死に耐えるが、水圧と重力波に押し潰されそうになっている。
「(くそっ……!力が、力が足りないのか!?)」
その時、俺の腰にあるボールの一つが、凄まじい熱を帯び始めた。
シードラのボールだ。
「
ボールの中から、かつてタッツーだった頃の弱気さは微塵も感じられない、強い意志が伝わってくる。
俺は、チョウジタウンでワタルから譲り受けていた、もう一つのアイテムを思い出した。
『りゅうのウロコ』。
龍の力を増幅し、進化を促す伝説の鱗。
「シードラ……わかった。お前の覚悟、受け取ったぞ!」
俺はシードラを荒波の中に解き放ち、同時に『りゅうのウロコ』と『つながりのひも』を投げ与えた。
「シードラ、進化だ!!」
シードラがウロコを飲み込み、その体が激しく発光した。
渦巻く海流の中から、巨大な龍のシルエットが浮かび上がる。
細長かった体はより逞しく、頭部の角は威厳ある龍の角へと形を変えていく。
光が弾け、そこには深海の王者、キングドラが立っていた。
「キングゥゥゥゥッ!!」
キングドラの咆哮が、海流の渦を真っ向から打ち消した。
彼女は俺を一瞥すると、そのまま狂乱する親ルギアの懐へと、矢のような速さで突き進んでいった。
「(行ったか……!)」
俺は、進化したばかりの相棒の背中を追うように、ラプラスを走らせた。
海の神と、深海の王。
二体の龍が、荒れ狂う海域で対峙しようとしていた。