アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第164話

嵐が去り、うずまき列島の海には本来の穏やかさが戻っていた。

ロケット団の母船が沈んだ海域は、今では何もなかったかのように静かな波音を立てている。

俺たちは、崩れ落ちた母船から少し離れた岩場で、救出されたルギア親子と向き合っていた。

 

「よかった……。本当に、よかった」

シュウイチが、涙を流してシルバーに抱きついている。

キュイィッ……(心配かけて、ごめんね)

シルバーも、シュウイチの頬を優しく舐め、無事を伝えている。

 

その背後では、親ルギアが巨大な翼を広げ、俺たちを見下ろしていた。

その瞳には、先ほどまでの狂気の色は微塵もなく、深海のように深く、静かな理性が宿っていた。

 

『……異界の記憶を持ち、聖なる羽を正しく導いた者よ』

 

ルギアの声が、俺の心に直接響く。

それはテレパシーというよりも、海そのものが語りかけてくるような、重厚で温かい響きだった。

 

『お前と、その相棒たちの勇気に、心からの感謝を。……お前たちが示してくれた「絆」の力は、かつて私が人間に対して抱いていた希望そのものだ』

 

「こちらこそ、ありがとう。……お前たちの平和を、俺も願っているよ」

 

俺がそう言うと、親ルギアは俺の胸ポケットにある『銀色の羽』に、自身の白い吐息を吹きかけた。

羽は一瞬、太陽よりも眩しく輝き、その後、深みのあるプラチナ色へと変色した。

単なるアイテムではない。それは、海の神との魂の契約の証。

 

『その羽は、いつかお前が真の危機に直面した時、再び私を呼ぶ標となるだろう。……その時まで、さらばだ』

 

「……約束するよ。必ず」

 

親ルギアは、最後にシルバーを背中に乗せると、大きな水しぶきを上げて海中へと潜っていった。

二匹の白銀の影が、深い青の中へと消えていく。

俺たちは、その姿が見えなくなるまで、いつまでも手を振り続けた。

 

「……行っちゃったな」

サトシが少し寂しそうに呟く。

「でも、寂しくないわ。だって、海は世界中と繋がっているもの。……またいつか、会える気がする」

カスミが、水平線を見つめて笑顔で言った。

 

「(ああ、その通りだ。……伝説は、ここで終わりじゃない)」

 

数日後。

再開された「うずまきカップ」は、熱狂のうちに幕を閉じた。

サトシはベスト8、そしてカスミは見事に優勝を果たした。彼女のサニーゴとニョロトノの活躍は、水ポケモンマスターを目指す彼女にとって大きな自信となったようだ。

 

「やったわ!これで私も、ハナダジムの名に恥じないトレーナーになれたかしら!」

カスミが優勝カップを掲げて喜ぶ。

「へへっ、負けちゃったけど、すげえ楽しかったぜ!……次は負けないからな!」

サトシも、悔しさをバネに次を見据えている。

 

俺は、そんな仲間たちの姿を眩しく感じながら、懐の『銀色の羽』に触れた。

今回の冒険で、俺は伝説のポケモンとの間に、より深い絆を結ぶことができた。

そして、進化した相棒・キングドラという、最高に頼もしい翼も手に入れた。

 

「さて、と。俺たちの旅も、いよいよ大詰めだな」

 

俺の言葉に、みんなが振り返る。

ジョウト地方のジムバッジは、あと一つ。

残るは、最強のドラゴン使いが待つフスベシティのみ。

 

「ああ!次はいよいよ最後のバッジ……フスベジムだ!」

サトシが、拳を高く突き上げる。

 

「(フスベジム、イブキ。……そして竜の穴)」

 

ワタルの従姉妹にして、誇り高きドラゴン使い。

彼女との戦いは、これまでのジム戦とは次元の違う激闘になるだろう。

そこには、俺たちのチームの集大成を見せるべき舞台が待っている。

 

俺は、新しい風を感じながら、船の舳先に立った。

うずまき列島の潮騒を背に、俺たちは次なる決戦の地へと向かって、力強く舵を切った。

海を越え、山を越え。

俺たちの「現実」を刻む旅は、クライマックスへと加速していく。

 

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