アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第16話

マサキの灯台を後にしてから数日後、俺たちはついに目的地のクチバシティに到着した。レンガ造りの建物と、潮の香りが漂う港町。その活気ある雰囲気は、これまでの町とはまた違った魅力があった。

 

「すっげー!でっかい船がいっぱいだ!」

 

サトシが、港に停泊している巨大な船を見て、子供のようにはしゃいでいる。俺も、その光景には圧倒された。中でも一際大きく、白く輝く船体が目を引く船があった。

 

「あれが、サント・アンヌ号か……」

 

年に一度だけ、クチバシティに寄港するという、世界的に有名な豪華客船だ。船内では、世界中から集まった一流のトレーナーたちによる、盛大なパーティが開かれるという。

 

「いいなあ、俺も乗ってみたいなあ……」

サトシが、羨ましそうに呟く。

「ほんと、豪華客船なんて、夢みたい……」

カスミも、うっとりとした表情で船を見上げている。

 

だが、あの船のチケットは、非常に高価で、簡単には手に入らないはずだ。

 

俺たちが港を散策していると、俺のデバイスに母さんから通信が入った。

 

『ミナト、クチバシティに着いたのね。ちょうどよかったわ。あなたに、プレゼントがあるの』

 

「プレゼント?」

 

『ええ。あなたが送ってくれた、ロケット団や巨大ポケモンのデータ、非常に有益だったわ。シルフカンパニーから、優秀なテスターであるあなたに、特別なボーナスよ』

 

そう言って、母さんが画面越しに見せてくれたのは、数枚の電子チケットだった。その券面には、紛れもなく「サント・アンヌ号 乗船チケット」の文字が。

 

『サトシ君やタケシ君、カスミさんの分もあるわ。たまには、みんなで羽を伸ばしてきなさい』

 

「母さん……!ありがとう!」

 

思わぬサプライズに、俺は素直に感謝した。サトシもタケシも、そしてカスミも、チケットが手に入ったと知るや、大喜びで飛び上がっていた。

 

俺たちは、意気揚々とサント・アンヌ号のタラップを上がった。船内は、まさに豪華絢爛という言葉がふさわしい空間だった。シャンデリアが輝くダンスホール、世界各国の料理が並ぶビュッフェ、そして、ポケモンたちが自由に遊べる広々としたプレイルーム。

 

「すげー!すげー!」

サトシは、目をキラキラさせながら船内を走り回っている。

「ちょっとサトシ!あんまりはしゃぐと、また何かやらかすんだから!」

カスミが、呆れ顔でその後を追いかける。

 

俺も、その豪華な雰囲気に少しだけ気圧されながらも、テスターとしての好奇心を刺激されていた。

 

「(これだけの規模の船だ。制御システムも、相当高度なものを使っているはず。ポリゴン、船内のネットワークにアクセスして、構造図やセキュリティシステムをスキャンできるか?)」

『了解。ネットワークへのアクセスを試みます。……成功。船内マップ、セキュリティプロトコルをダウンロード中』

 

さすがポリゴンだ。こういう時、本当に頼りになる。有事の際に備えて、船の情報を把握しておくことは重要だ。特に、ロケット団がこの近海で活動していることを考えると、油断はできない。

 

パーティが始まると、ホールは多くのトレーナーたちでごった返した。皆、自慢のポケモンを連れて、交流を楽しんでいる。俺も、フシギダネ、ポリゴン、そして、少しだけ人見知りしているミニリュウを連れて、会場を回った。カスミは、綺麗なドレスに着替えて、自慢の水ポケモンたちと楽しそうに談笑している。

 

「おや、そのポケモンは……ミニリュウじゃないか!珍しいな、坊主!」

 

話しかけてきたのは、いかにもベテランといった風情の、屈強な体の老トレーナーだった。

 

「ええ、最近、仲間になったんです」

「そうかそうか。ドラゴンタイプの育成は、根気がいるぞ。だが、一度育て上げれば、これほど頼もしいパートナーはいない。焦らず、じっくりと、愛情をかけて育てるんだな」

 

老トレーナーは、自身のパートナーであるリザードンを撫でながら、俺に貴重なアドバイスをくれた。こういう出会いがあるから、旅は面白い。

 

俺は多くのトレーナーとバトルをしたり、情報交換をしたりして、有意義な時間を過ごした。フシギダネも、他の草ポケモンと交流して楽しそうだ。ミニリュウも、最初は緊張していたが、他のポケモンたちと触れ合ううちに、少しずつ心を開いていった。

 

そんな和やかな雰囲気の中、俺は少し離れた場所で、サトシが見知らぬ紳士と話しているのを見つけた。何やら、トレーナー同士のポケモン交換を持ちかけられているらしい。

 

「ほう、君のそのピジョン、なかなか良い目つきをしている。どうだろう、私のこの素晴らしいラッタと交換しないかね?」

 

紳士が、得意げにラッタの入ったボールを見せる。サトシは、「交換」という言葉に興味津々といった様子だ。

 

「(まずいな、サトシの奴、場の雰囲気に流されてる……)」

 

俺が止めに入ろうとするより早く、カスミがサトシの前に立ちはだかった。

 

「ちょっと、あんた何考えてるのよ!ピジョンは、あんたがトキワの森で初めて自分の力でゲットした、大事な仲間じゃない!」

 

カスミの剣幕に、サトシはハッとした顔で我に返った。

 

「そ、そうだよな……。ごめんなさい、おじさん!やっぱり、このピジョンは俺が育てて、ピジョットに進化させるんだ!だから交換はできません!」

 

サトシがはっきりと断ると、紳士はつまらなそうな顔をして去っていった。

 

「危ないところだったじゃない、もう!」

「わ、悪かったって……」

カスミに叱られて、サトシはシュンとしている。

 

パーティが最高潮に達した頃、船長のアナウンスが響き渡った。

 

「皆様、本日はサント・アンヌ号にお乗りいただき、誠にありがとうございます!この後、メインイベントとしまして、ポケモンバトル大会を開催いたします!」

 

そのアナウンスに、会場のボルテージは一気に上がる。だが、俺のデバイスは、その喧騒とは裏腹に、静かな警告を発していた。

 

『警告。船内各所で、複数の不審な通信を傍受。パターン、ロケット団のものと一致。彼らは、この船に乗っている』

 

「(……やはり、来たか)」

 

俺は、これから始まるであろう嵐を予感し、静かに身構えるのだった。

 

チラシ裏から表にでるべきか

  • チラシ裏でいい
  • 表にでてもいい
  • まだ表にでるのは早い
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