アニポケ転生者物語 作:投稿者
フスベジム。そこは、灼熱の溶岩が川のように流れ、その上にいくつかの浮島が点在する、過酷なバトルフィールドだった。
熱気で空気が歪み、立っているだけで体力が削られていく。
「これより、フスベジム・ジムリーダーのイブキと、挑戦者サトシのジム戦を行う!」
審判の宣言と共に、イブキが最初のボールを投げた。
「全力で来なさい!ハクリュー!」
「リザードン、君に決めた!」
イブキのハクリューに対し、サトシはリザフィックバレーで修行を積んできた相棒、リザードンを繰り出した。
かつてはサトシの言うことを聞かなかったリザードンだが、今その瞳には、トレーナーへの絶対的な信頼と、最強のドラゴンへ挑む闘志が宿っている。
「ハクリュー、『たつまき』!」
「リザードン、『かえんほうしゃ』で迎え撃て!」
激しい激突。ハクリューは溶岩ではなく、フィールドの周囲を流れる冷却用の水路に潜り込み、姿を消した。
「どこへ行ったんだ!?」
サトシが周囲を警戒する。
「そこよ!『破壊光線』!」
水面から飛び出したハクリューが、至近距離から光線を放つ。
「リザードン、空へ逃げろ!」
リザードンは翼を羽ばたかせ、間一髪で回避する。だが、ハクリューは水面を蹴って、驚異的なジャンプ力で空中へ追いかけてきた。
「逃がさないわ!『あまごい』!」
イブキの指示で、ジムの天井付近に急速に雨雲が形成された。降り出した激しい雨が、リザードンの尻尾の炎を弱め、炎タイプの技の威力を削いでいく。
「(状況は圧倒的に不利だ。……サトシ、どう動く?)」
俺は観客席から固唾を呑んで見守った。
「雨なんて関係ないぜ!リザードン、炎がダメなら力技だ!ハクリューを捕まえろ!」
リザードンは雨に打たれながらも、果敢にハクリューへ突っ込んでいった。
ハクリューはしなやかな体で回避を試みるが、リザードンはその太い腕で、ハクリューの長い尻尾をガッチリと掴んだ。
「捕まえたぞ!」
「離しなさい!『たつまき』で振り払え!」
ハクリューが暴れ、周囲に竜巻が発生する。リザードンの体にも無数の傷が刻まれるが、その手は決して緩まない。
「今だ、リザードン!そのまま空高く舞い上がれ!」
リザードンはハクリューを抱えたまま、雨雲を突き抜けるほどの高度まで急上昇した。
そして、重力と自転の力を利用して、独楽のように高速回転を始める。
「これが俺たちの全力だ!『ちきゅうなげ』!!」
空中で巨大な円を描いたリザードンが、ハクリューを地面……ではなく、フィールドの中央にある岩場へと叩きつけた。
スタジアムが揺れるほどの衝撃。土煙が晴れた時、そこには目を回して動けなくなったハクリューの姿があった。
「……ハクリュー、戦闘不能。よって勝者、サトシ選手!」
審判の旗がサトシに向けられた。
「やったぁぁぁ!勝ったぞリザードン!」
サトシが駆け寄り、リザードンと熱い抱擁を交わす。リザードンも満足げに鼻から炎を吹いた。
「……見事よ。雨の不利を、根性とパワーで覆すなんて。ドラゴン使いの端くれとして、その熱意、認めざるを得ないわね」
イブキは悔しそうに唇を噛みながらも、晴れやかな表情でサトシに歩み寄った。
「はい、これがライジングバッジよ。……アンタ、もっと強くなるわよ」
サトシは、ついに8つ目のバッジを手に入れた。
「ミナト、次は俺たちの番だぜ!」
サトシがバッジを高く掲げて俺を呼ぶ。
「ああ。……待たせたな、イブキさん」
俺は静かにフィールドに立った。
サトシの熱いバトルの余韻が残る中、俺の中の闘志も静かに燃え上がっていた。
「3対3。……手持ちの構成は、もう決めてある」
「いい目ね。……サトシ君とは違う、深淵のような強さを感じるわ。……全力で行かせてもらうわよ!」
イブキが二つ目のボールを掲げる。
ドラゴン使い同士の、本当の頂上決戦。