アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第167話

フスベジム。そこは、灼熱の溶岩が川のように流れ、その上にいくつかの浮島が点在する、過酷なバトルフィールドだった。

熱気で空気が歪み、立っているだけで体力が削られていく。

 

「これより、フスベジム・ジムリーダーのイブキと、挑戦者サトシのジム戦を行う!」

審判の宣言と共に、イブキが最初のボールを投げた。

 

「全力で来なさい!ハクリュー!」

「リザードン、君に決めた!」

 

イブキのハクリューに対し、サトシはリザフィックバレーで修行を積んできた相棒、リザードンを繰り出した。

かつてはサトシの言うことを聞かなかったリザードンだが、今その瞳には、トレーナーへの絶対的な信頼と、最強のドラゴンへ挑む闘志が宿っている。

 

「ハクリュー、『たつまき』!」

「リザードン、『かえんほうしゃ』で迎え撃て!」

 

激しい激突。ハクリューは溶岩ではなく、フィールドの周囲を流れる冷却用の水路に潜り込み、姿を消した。

「どこへ行ったんだ!?」

サトシが周囲を警戒する。

 

「そこよ!『破壊光線』!」

水面から飛び出したハクリューが、至近距離から光線を放つ。

「リザードン、空へ逃げろ!」

リザードンは翼を羽ばたかせ、間一髪で回避する。だが、ハクリューは水面を蹴って、驚異的なジャンプ力で空中へ追いかけてきた。

 

「逃がさないわ!『あまごい』!」

イブキの指示で、ジムの天井付近に急速に雨雲が形成された。降り出した激しい雨が、リザードンの尻尾の炎を弱め、炎タイプの技の威力を削いでいく。

 

「(状況は圧倒的に不利だ。……サトシ、どう動く?)」

俺は観客席から固唾を呑んで見守った。

 

「雨なんて関係ないぜ!リザードン、炎がダメなら力技だ!ハクリューを捕まえろ!」

 

リザードンは雨に打たれながらも、果敢にハクリューへ突っ込んでいった。

ハクリューはしなやかな体で回避を試みるが、リザードンはその太い腕で、ハクリューの長い尻尾をガッチリと掴んだ。

 

「捕まえたぞ!」

「離しなさい!『たつまき』で振り払え!」

 

ハクリューが暴れ、周囲に竜巻が発生する。リザードンの体にも無数の傷が刻まれるが、その手は決して緩まない。

 

「今だ、リザードン!そのまま空高く舞い上がれ!」

 

リザードンはハクリューを抱えたまま、雨雲を突き抜けるほどの高度まで急上昇した。

そして、重力と自転の力を利用して、独楽のように高速回転を始める。

 

「これが俺たちの全力だ!『ちきゅうなげ』!!」

 

空中で巨大な円を描いたリザードンが、ハクリューを地面……ではなく、フィールドの中央にある岩場へと叩きつけた。

 

スタジアムが揺れるほどの衝撃。土煙が晴れた時、そこには目を回して動けなくなったハクリューの姿があった。

 

「……ハクリュー、戦闘不能。よって勝者、サトシ選手!」

 

審判の旗がサトシに向けられた。

「やったぁぁぁ!勝ったぞリザードン!」

サトシが駆け寄り、リザードンと熱い抱擁を交わす。リザードンも満足げに鼻から炎を吹いた。

 

「……見事よ。雨の不利を、根性とパワーで覆すなんて。ドラゴン使いの端くれとして、その熱意、認めざるを得ないわね」

イブキは悔しそうに唇を噛みながらも、晴れやかな表情でサトシに歩み寄った。

 

「はい、これがライジングバッジよ。……アンタ、もっと強くなるわよ」

サトシは、ついに8つ目のバッジを手に入れた。

 

「ミナト、次は俺たちの番だぜ!」

サトシがバッジを高く掲げて俺を呼ぶ。

 

「ああ。……待たせたな、イブキさん」

 

俺は静かにフィールドに立った。

サトシの熱いバトルの余韻が残る中、俺の中の闘志も静かに燃え上がっていた。

「3対3。……手持ちの構成は、もう決めてある」

 

「いい目ね。……サトシ君とは違う、深淵のような強さを感じるわ。……全力で行かせてもらうわよ!」

 

イブキが二つ目のボールを掲げる。

ドラゴン使い同士の、本当の頂上決戦。

 

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