アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第169話

「カイリュー、『はかいこうせん』!」

「カイリュー、『はかいこうせん』!」

 

開幕早々、互いに最大火力の光線を放つ。

空中で二つのエネルギーが衝突し、スタジアムを揺るがす大爆発が起きた。

煙が晴れても、二体とも空中に留まっている。互角だ。

 

「『りゅうのまい』!」

イブキのカイリューが舞い、攻撃と素早さを上げる。

「こっちもだ!『りゅうのまい』!」

俺のカイリューも負けじと舞う。

 

互いに能力を高め合い、限界を超えた領域へ。

空気がピリピリと張り詰め、観客たちも息を呑んで見守っている。

 

「行くわよ!『ドラゴンダイブ』!」

イブキのカイリューが、青いオーラを纏って急降下してくる。その姿は、伝説の怪獣のようだ。

 

「受け止めるな!『しんそく』でかわせ!」

 

俺のカイリューが音速で回避する。

だが、イブキのカイリューは空中で急旋回し、物理法則を無視した機動で追尾してきた。

「逃がさない!『かみなりパンチ』!」

 

帯電した拳が迫る。

「『ほのおのパンチ』で迎撃だ!」

 

雷と炎の拳が交差する。

ドガァァン!!

激しい衝撃音と共に、二体は弾き飛ばされた。

 

「……強い。ワタルのカイリューにも引けを取らないわね」

イブキが笑みを浮かべる。それは、強敵に出会えた喜びの笑みだった。

 

「アンタのカイリュー、どこで育てたの?その動き、ただの野生じゃないわね」

 

「ハナダシティの北……『竜の顎』と呼ばれる滝壺の裏だ。そこで一人、強さを求めて修行していた孤高の龍だよ」

 

「なるほどね。王者の風格があるわけだ。……でも、私のカイリューは『竜の穴』の守護者。数多の挑戦者を退けてきた、聖域の加護を受けたドラゴンよ!負けるわけにはいかない!」

 

イブキの瞳が鋭く光る。

「カイリュー、『げきりん』だ!!」

 

イブキのカイリューの目が赤く光り、理性を手放して暴走状態に入った。

圧倒的な破壊衝動。そのパワーは、先ほどまでとは桁違いだ。

爪の一振りで空気が裂け、衝撃波がスタジアムの壁を削る。

 

「(げきりんか……。まともに食らえば一撃で終わる。だが、コントロールを失っている今がチャンスでもある!)」

 

「カイリュー、冷静さを失うな。相手の動きをよく見ろ!」

 

俺のカイリューは、暴れまわる相手の攻撃を紙一重で回避し続ける。

鱗が削れ、体力が削られていく。だが、決定打は避けている。

『マルチスケイル』の特性で致命傷を防ぎつつ、反撃の糸口を探る。

 

「今だ!疲れが見えた瞬間を狙え!」

 

『げきりん』の反動で、イブキのカイリューが一瞬動きを止めた。

混乱状態に陥っている。

 

「ここだ!……俺たちの全力、叩き込め!『ドラゴンクロー』!!」

 

俺のカイリューが、右腕に渾身の力を込めた。

緑色の爪が鋭く伸びる。

それは、ただの技ではない。カントーからジョウトまでの旅で培った、俺たちの絆の結晶だ。

 

「グオオオオオオッ!!」

 

渾身の一撃が、イブキのカイリューの胸元を切り裂いた。

 

「カイリュー!!」

 

イブキの叫びと共に、彼女のカイリューは地面へと落下した。

土煙が舞う中、静寂が訪れる。

 

倒れているのは――イブキのカイリュー。

俺のカイリューは、空中で片膝をつきながらも、勝利の咆哮を上げていた。

 

「……カイリュー、戦闘不能!勝者、ミナト選手!」

 

審判の声が響き渡った。

最強のドラゴン対決。

制したのは、俺たちだった。

 

イブキは倒れたカイリューに駆け寄り、その頭を優しく撫でた。

「よくやったわ。……ここまで私を熱くさせてくれたのは、久しぶりよ」

 

そして、俺の方を向いた。

「……完敗よ。アンタのカイリュー、そしてアンタ自身の器……。認めてあげるわ」

 

イブキは、龍の形をした金色のバッジを差し出した。

「これがライジングバッジ。……受け取りなさい」

 

「ありがとうございます」

俺はバッジを受け取った。

ズシリと重い。これで八つ目。ジョウト地方の全てのバッジが揃った。

 

「アンタ、本当に強いわね。ワタルが認めるのも分かるわ」

イブキはふっと笑った。

「シロガネ大会、期待してるわよ。……私のバッジを持ってるんだから、半端な負け方は許さないからね」

 

「ええ。優勝してきます」

 

ジムを出ると、夕焼けがフスベシティの岩山を赤く染めていた。

サトシたちが待っていた。

 

「ミナト!やったな!これで俺たち、二人ともリーグ出場決定だ!」

「ああ。……長かったな」

 

俺は、ケースに収まった八つのバッジを眺めた。

キキョウ、ヒワダ、コガネ、エンジュ、タンバ、アサギ、チョウジ、フスベ。

一つ一つのバッジに、相棒たちとの激闘の記憶が詰まっている。

 

「(さあ、次はシロガネ山だ)」

 

ジョウトリーグ・シロガネ大会。

そこには、サトシやシゲル、そしてジョウトで出会った強豪たちが集結する。

俺の旅の、一つの集大成。

 

「行くぞ、みんな。……頂点へ!」

 

俺たちは、フスベシティを後にし、シロガネ山へと続く道を見据えた。

 

 

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