アニポケ転生者物語 作:投稿者
「カイリュー、『はかいこうせん』!」
「カイリュー、『はかいこうせん』!」
開幕早々、互いに最大火力の光線を放つ。
空中で二つのエネルギーが衝突し、スタジアムを揺るがす大爆発が起きた。
煙が晴れても、二体とも空中に留まっている。互角だ。
「『りゅうのまい』!」
イブキのカイリューが舞い、攻撃と素早さを上げる。
「こっちもだ!『りゅうのまい』!」
俺のカイリューも負けじと舞う。
互いに能力を高め合い、限界を超えた領域へ。
空気がピリピリと張り詰め、観客たちも息を呑んで見守っている。
「行くわよ!『ドラゴンダイブ』!」
イブキのカイリューが、青いオーラを纏って急降下してくる。その姿は、伝説の怪獣のようだ。
「受け止めるな!『しんそく』でかわせ!」
俺のカイリューが音速で回避する。
だが、イブキのカイリューは空中で急旋回し、物理法則を無視した機動で追尾してきた。
「逃がさない!『かみなりパンチ』!」
帯電した拳が迫る。
「『ほのおのパンチ』で迎撃だ!」
雷と炎の拳が交差する。
ドガァァン!!
激しい衝撃音と共に、二体は弾き飛ばされた。
「……強い。ワタルのカイリューにも引けを取らないわね」
イブキが笑みを浮かべる。それは、強敵に出会えた喜びの笑みだった。
「アンタのカイリュー、どこで育てたの?その動き、ただの野生じゃないわね」
「ハナダシティの北……『竜の顎』と呼ばれる滝壺の裏だ。そこで一人、強さを求めて修行していた孤高の龍だよ」
「なるほどね。王者の風格があるわけだ。……でも、私のカイリューは『竜の穴』の守護者。数多の挑戦者を退けてきた、聖域の加護を受けたドラゴンよ!負けるわけにはいかない!」
イブキの瞳が鋭く光る。
「カイリュー、『げきりん』だ!!」
イブキのカイリューの目が赤く光り、理性を手放して暴走状態に入った。
圧倒的な破壊衝動。そのパワーは、先ほどまでとは桁違いだ。
爪の一振りで空気が裂け、衝撃波がスタジアムの壁を削る。
「(げきりんか……。まともに食らえば一撃で終わる。だが、コントロールを失っている今がチャンスでもある!)」
「カイリュー、冷静さを失うな。相手の動きをよく見ろ!」
俺のカイリューは、暴れまわる相手の攻撃を紙一重で回避し続ける。
鱗が削れ、体力が削られていく。だが、決定打は避けている。
『マルチスケイル』の特性で致命傷を防ぎつつ、反撃の糸口を探る。
「今だ!疲れが見えた瞬間を狙え!」
『げきりん』の反動で、イブキのカイリューが一瞬動きを止めた。
混乱状態に陥っている。
「ここだ!……俺たちの全力、叩き込め!『ドラゴンクロー』!!」
俺のカイリューが、右腕に渾身の力を込めた。
緑色の爪が鋭く伸びる。
それは、ただの技ではない。カントーからジョウトまでの旅で培った、俺たちの絆の結晶だ。
「グオオオオオオッ!!」
渾身の一撃が、イブキのカイリューの胸元を切り裂いた。
「カイリュー!!」
イブキの叫びと共に、彼女のカイリューは地面へと落下した。
土煙が舞う中、静寂が訪れる。
倒れているのは――イブキのカイリュー。
俺のカイリューは、空中で片膝をつきながらも、勝利の咆哮を上げていた。
「……カイリュー、戦闘不能!勝者、ミナト選手!」
審判の声が響き渡った。
最強のドラゴン対決。
制したのは、俺たちだった。
イブキは倒れたカイリューに駆け寄り、その頭を優しく撫でた。
「よくやったわ。……ここまで私を熱くさせてくれたのは、久しぶりよ」
そして、俺の方を向いた。
「……完敗よ。アンタのカイリュー、そしてアンタ自身の器……。認めてあげるわ」
イブキは、龍の形をした金色のバッジを差し出した。
「これがライジングバッジ。……受け取りなさい」
「ありがとうございます」
俺はバッジを受け取った。
ズシリと重い。これで八つ目。ジョウト地方の全てのバッジが揃った。
「アンタ、本当に強いわね。ワタルが認めるのも分かるわ」
イブキはふっと笑った。
「シロガネ大会、期待してるわよ。……私のバッジを持ってるんだから、半端な負け方は許さないからね」
「ええ。優勝してきます」
ジムを出ると、夕焼けがフスベシティの岩山を赤く染めていた。
サトシたちが待っていた。
「ミナト!やったな!これで俺たち、二人ともリーグ出場決定だ!」
「ああ。……長かったな」
俺は、ケースに収まった八つのバッジを眺めた。
キキョウ、ヒワダ、コガネ、エンジュ、タンバ、アサギ、チョウジ、フスベ。
一つ一つのバッジに、相棒たちとの激闘の記憶が詰まっている。
「(さあ、次はシロガネ山だ)」
ジョウトリーグ・シロガネ大会。
そこには、サトシやシゲル、そしてジョウトで出会った強豪たちが集結する。
俺の旅の、一つの集大成。
「行くぞ、みんな。……頂点へ!」
俺たちは、フスベシティを後にし、シロガネ山へと続く道を見据えた。