アニポケ転生者物語 作:投稿者
「……カイリュー、戦闘不能!勝者、ミナト選手!」
審判の声が、静まり返ったスタジアムに響き渡った。
一瞬の静寂の後、観客席から割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こる。
最強のドラゴン使いとの頂上決戦。その結末を目の当たりにした人々は、興奮で顔を紅潮させていた。
「勝った……のか?」
俺は、まだ震えが止まらない手で、カイリューのモンスターボールを握りしめた。
空中で片膝をつきながらも、天に向かって咆哮する俺のカイリュー。
その姿は、夕日を浴びて神々しいまでに輝いていた。
「やったぁぁぁ!!」
俺はカイリューに駆け寄り、その太い首に抱きついた。
「ありがとう、カイリュー!お前は最高の相棒だ!」
「グォォン……!」
カイリューも、疲れ切った表情の中に、誇らしげな笑みを浮かべて俺の背中をポンポンと叩いてくれた。
イブキは、倒れた自身のカイリューの元へ歩み寄り、膝をついた。
「よくやったわ。……ここまで私を熱くさせてくれたのは、久しぶりよ」
彼女はカイリューをボールに戻すと、ゆっくりと立ち上がり、俺の方を向いた。
その顔には、もう険しい表情はなかった。
あるのは、全力を出し切った者だけが持つ、清々しい笑顔。
「……完敗よ。アンタのカイリュー、そしてアンタ自身の器……。認めてあげるわ」
イブキは、龍の形をした金色のバッジを取り出した。
「これがライジングバッジ。……受け取りなさい」
「ありがとうございます」
俺は両手でバッジを受け取った。
ズシリと重い。物理的な重さだけでなく、このバッジに込められた「最強の証」としての重みを感じる。
これで八つ目。ジョウト地方の全てのバッジが揃った。
「アンタ、本当に強いわね。ワタルが認めるのも分かるわ」
イブキはふっと笑った。
「シロガネ大会、期待してるわよ。……私のバッジを持ってるんだから、半端な負け方は許さないからね。優勝以外、認めないわよ」
「ええ。必ず優勝してきます」
俺は力強く頷いた。
ジムを出ると、夕焼けがフスベシティの岩山を赤く染めていた。
門の前では、サトシたちが待ち構えていた。
「ミナト!やったな!すごい試合だったぜ!」
サトシが飛びついてくる。
「おめでとう、ミナト君。最後のカイリュー対決、鳥肌が立ったわ」
カスミも目を潤ませている。
「あんな熱いバトル、久しぶりに見たぜ。……やっぱりお前はすげえよ」
タケシも感心しきりだ。
「ありがとう、みんな。……これで俺たち、二人ともリーグ出場決定だな!」
俺はサトシと拳を合わせた。
「ああ!……長かったな」
俺は、ケースに収まった八つのバッジを眺めた。
キキョウシティでのハヤトとの空中戦。
ヒワダタウンでのツクシとの虫対決。
コガネシティでのアカネのミルタンクの恐怖。
エンジュシティでのマツバとの幻影戦。
タンバシティでのシジマとの肉弾戦。
アサギシティでのミカンとの鋼鉄の激突。
チョウジタウンでのヤナギとの氷の攻防。
そして、ここフスベシティでのイブキとのドラゴン決戦。
一つ一つのバッジに、相棒たちとの激闘の記憶、そして旅の思い出が詰まっている。
それは、俺たちがこの世界で生きた「証」だ。
「(さあ、次はシロガネ山だ)」
ジョウトリーグ・シロガネ大会。
そこには、ジョウトで出会った強豪たちが集結する。
俺の旅の、一つの集大成。
「行くぞ、みんな。……頂点へ!」
俺たちは、フスベシティを後にし、シロガネ山へと続く道を見据えた。
物語は、いよいよ最終章へと突入する。
その前に、少しだけ寄り道をするかもしれないが……それもまた、俺たちの旅の一部だ。