アニポケ転生者物語 作:投稿者
フスベの夜、戦士たちの休息
フスベシティでの最後の夜。
俺たちは、ポケモンセンターの広間を借り切って、ささやかな祝勝会を開いていた。
テーブルには、タケシ特製のシチューやサラダ、そしてポケモン用のポロックが所狭しと並べられている。
「カンパーイ!二人とも、バッジ8個ゲットおめでとう!」
カスミがジュースを掲げ、俺とサトシもそれに続いた。
「いやぁ、イブキさん強かったなぁ。俺のリザードンもギリギリだったぜ。最後の『ちきゅうなげ』が決まらなかったら、やばかったかもな」
サトシがチキンにかぶりつきながら、熱っぽく振り返る。
「ミナト君のカイリュー対決もすごかったわ。……あんなに激しい空中戦、初めて見たもの。まるで怪獣映画みたいだったわよ」
カスミも目を輝かせている。
俺は、窓の外で休んでいるポケモンたちを見つめた。
庭では、カイリューがキングドラやエアームドと何やら話し込んでいる。まるで、今日のバトルの反省会をしているようだ。
その横では、フシギバナがのんびりと月光浴をし、ポリゴン2が端末の画面を明滅させてデータの整理をしている。
ウインディはウリムーと追いかけっこをし、サイドンとニドクインは力比べをしている。
「みんな、本当によくやってくれたよ」
俺は、手持ちのポケモンたちを確認した。
カントーから連れてきたベテラン組。
フシギバナ、ポリゴン2、ウインディ、ゲンガー、カイリュー、ラプラス、サイドン、ニドクイン、ドードリオ、ケンタロス、ガルーラ、ヤドラン、ハピナス。
彼らはもう、阿吽の呼吸で俺の意図を理解してくれる、頼れる家族だ。
そして、ジョウトで新たに加わった新鋭組。
カブトプス、クリスタルハガネール、エアームド、キングドラ、イーブイ、ヨーギラス、ウリムー。
彼らもまた、それぞれの個性を発揮し、チームに欠かせない戦力へと成長した。
総勢20匹。
これだけの大家族になったことが、なんだか誇らしかった。
シロガネ大会では、フルバトルが基本となる。彼ら全員の力を合わせなければ、優勝は掴めないだろう。
イーブイの迷いと、約束
宴もたけなわの頃、俺は一人で庭に出た。
岩陰で、イーブイが一人、月を見上げていた。
「どうした?眠れないのか?」
俺が声をかけると、イーブイはビクッとして振り返った。
「ブイ……」
イーブイの表情は、どこか曇っていた。
進化したキングドラや、強大な力を見せたカイリューたちを見て、少し焦っているように見えた。
自分だけが、まだ進化していない。取り残されているのではないか、という不安。
そして、自分はどの姿に進化すべきなのかという、迷い。
「焦るなよ。お前はまだ、旅に加わったばかりだろ?」
俺はイーブイを抱き上げ、膝に乗せた。
「それに、進化だけが強さじゃない。……お前には、お前にしかできないことがあるはずだ。お前のその柔軟性、そして何より、仲間を想う優しさ。それは誰にも負けてないぞ」
イーブイは、俺の胸に顔を埋めた。
エンジュシティでロケット団に襲われていたところを助け出し、共に旅をしてきた。
彼女の中には、優しさと共に、芯の強い「戦う意志」が芽生えつつある。
「お前の進化は、きっと特別なものになる。……俺は待ってるから。お前が一番輝ける時を。お前が『これだ!』って思える未来を」
俺の言葉に、イーブイは顔を上げ、「ブイッ!」と力強く鳴いた。
その瞳に、迷いはもうなかった。
彼女は、自分のペースで強くなることを決めたようだ。
アルトマーレへの招待状
翌朝。
出発の準備をしていると、ポケギアに着信があった。ウツギ博士からだ。
『やあミナト君、おめでとう!バッジ8個揃ったんだってね!』
「ありがとうございます、博士。おかげさまで」
『実はね、シロガネ大会の開催まで少し時間があるんだが……その間に、ある街へ行ってみないかい?』
「ある街?」
『「水の都」アルトマーレ。……世界で一番美しいと言われる水上都市だ。そこで行われる水上レースの招待状が届いているんだよ。君のラプラスやキングドラなら、きっと活躍できると思ってね』
「アルトマーレ……!」
俺の心臓が早鐘を打った。
劇場版『水の都の護神』の舞台。
ラティアスとラティオス。そして、心の雫。
ジョウトリーグの前に、もう一つ、大きな冒険が待っているようだ。
「行きます。是非、参加させてください」
『よし、手配しておくよ。……良い休日になるといいね』
「(休日……にはならないだろうな)」
俺は苦笑した。
怪盗姉妹ザンナーとリオン。彼女たちが狙う秘宝。
そして、俺の持つ『水晶の欠片』や『銀色の羽』が、また何かを引き寄せるかもしれない。
伝説のポケモンたちが集まる場所には、必ずと言っていいほど俺たちの「現実」が交差する。
「サトシ、カスミ、タケシ。……寄り道だ。水の都へ行こう」
俺が提案すると、三人は顔を見合わせた。
「水の都!?面白そうじゃん!」
サトシが乗り出す。
「素敵な響きね!水ポケモン使いとして、一度は行ってみたいと思ってたのよ!」
カスミも目を輝かせる。
「綺麗な街には、綺麗なお姉さんがいるに違いない!」
タケシも別の意味で乗り気だ。
「よし、決まりだな」
俺たちは、シロガネ山への道を一旦外れ、海岸線へと向かうルートを選んだ。
美しい運河の街、アルトマーレ。
そこで待つ、青と赤の伝説。
俺たちの旅は、まだ終わらない。
シロガネ大会の前に、もう一波乱ありそうだ。
「行くぞ、みんな!」
俺たちは、爽やかな朝の風の中、新たな目的地へと向かって歩き出した。
その背中は、以前よりもずっと大きく、頼もしく見えた。