アニポケ転生者物語   作:投稿者

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水の都の護神 ラティアスとラティオス
第171話


フスベシティでの最終決戦を終え、俺たちはウツギ博士の計らいで、ジョウト地方の南に位置する「水の都」アルトマーレへとやってきた。

連絡船が港に着いた瞬間、俺たちの目に飛び込んできたのは、まるで絵画の中から抜け出してきたような、息を呑むほど美しい光景だった。

 

無数の運河が街を網の目のように駆け巡り、石造りの白壁の家々が太陽の光を反射して輝いている。

水面にはゴンドラが行き交い、人々は笑顔で挨拶を交わしている。

そこには、都会の喧騒とも、バトルの緊張感とも無縁の、穏やかで優雅な時間が流れていた。

 

「わぁ……!なんて綺麗な街なの!」

カスミが船の縁から身を乗り出し、感嘆の声を上げる。

「水がキラキラしてる!ポケモンたちも気持ちよさそうだぜ!」

サトシも、運河を泳ぐチョンチーやマリルたちを見て目を輝かせている。

「綺麗なだけじゃない。ここの女性たちもまた、美しい……」

タケシは、いつものように通り過ぎるお姉さんたちに目を奪われている。

 

俺は、ラプラスの横を泳ぐキングドラを見つめた。

「キングドラ、あそこが今回の舞台だ。お前のスピード、存分に見せてやれ」

「|キングゥッ!!《任せて。海の神に認められた泳ぎ、見せてあげるわ》」

 

俺たちはまず、この街の名物である「水上レース」に参加することにした。

ポケモンが波切りの板を牽き、運河を駆け抜けるスピード競技だ。サトシはワニノコで、俺は進化したばかりのキングドラでエントリーした。

カスミは今回はサニーゴと共に応援に回るとのことだ。

 

「レディース・アンド・ジェントルメン!水の都アルトマーレへようこそ!今年も、熱い水上レースの季節がやってきました!」

実況の声と共に、ファンファーレが鳴り響く。

スタートラインには、数多くの水ポケモン使いが並んでいる。

 

「行くぞ、ワニノコ!気合入れろよ!」

「ワニワニッ!」

「キングドラ、落ち着いていけ。スタートダッシュが肝心だ」

「キングゥ……」

 

「レディ……ゴー!!」

 

合図と共に、一斉にポケモンたちが飛び出した。

水しぶきを上げ、運河を疾走する。

キングドラの加速は凄まじかった。

鋭い角で水を切り、流線型の体躯で渦を巻くように進む。抵抗を極限まで減らしたその泳ぎは、まるで水そのものになったかのようだ。

 

サトシのワニノコも負けてはいない。『ハイドロポンプ』を後方に噴射して推進力に変え、ロケットのように加速して食らいついてくる。

「いいぞワニノコ!その調子だ!」

 

「(やるな……。だが、コーナーワークなら負けない!)」

 

キングドラは、複雑に入り組んだ運河のカーブを、減速することなく鮮やかに曲がっていく。

壁ギリギリを攻めるそのライン取りは、シードラ時代の特訓の賜物だ。

 

だが、レースの後半、俺は奇妙な違和感を覚えた。

目の前を横切るはずのない、透明な揺らめき。

光の屈折がおかしい。何かが、そこにいる。

 

「(……ラティアスか?)」

 

一瞬、赤いポケモンのシルエットが水面を滑るように見え、俺のキングドラの進路を優しく促した。

「こっちだよ!」という声が聞こえた気がした。

その導きに従うと、そこは公式のコースよりもさらに美しい、隠された運河の近道だった。

太陽の光が差し込み、水底の石畳が宝石のように輝いている。

 

「すごい……。こんな場所があったなんて」

 

俺たちはその近道を抜け、一気にゴールラインへと飛び込んだ。

結果は、俺のキングドラが僅差で1位、サトシのワニノコが2位。

 

「やったな、キングドラ!」

「キングゥッ!」

俺はキングドラの首を抱きしめ、その健闘を称えた。

 

表彰台でメダルを受け取った後、俺は街の喧騒から少し離れ、一人で運河のほとりに座っていた。

懐にある『銀色の羽』と『にじいろのはね』、そして『水晶の欠片』が、かつてないほど激しく共鳴している。

まるで、何かに呼ばれているかのように。

 

「(この街には、何かがある……。ただの観光地じゃない)」

 

俺はグラス型デバイスを操作し、街のエネルギー分布をスキャンした。

『アルトマーレ。……地下数千メートルに、古代のエネルギー鉱脈を確認。……さらに、地上の「大聖堂」に、極めて高純度の生命エネルギーが集約されています』

 

「(こころのしずく……。そして、それを守る者たち)」

 

俺の視界の端を、再びあの赤い少女の影が通り過ぎた。

誘うように、彼女は細い路地の奥へと消えていく。

その姿は、レース中に見た幻影と同じだった。

 

「行くぞ、ポリゴン2。物語の核心へ」

 

俺は立ち上がり、水の都の深淵へと足を踏み入れた。

美しき伝説の幕が、静かに開こうとしていた。

夕暮れの鐘の音が、街全体に優しく響き渡る。

それは、これから始まる冒険への、始まりの合図のようだった。

 

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