アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第173話

庭園の静寂を切り裂き、上空から数条のワイヤーが降りてきた。

シュルルルッという音と共に、黒い影が舞い降りる。

 

「おやおや、こんなところに秘密の花園があったなんて。……素敵じゃない?」

「お姉様、お喋りは後。……まずはあの『雫』を頂きましょう」

 

石壁を軽々と跳び越え、現れたのは大胆なドレスに身を包んだ二人組の美女。

世界を股にかける怪盗姉妹、ザンナーとリオンだ。

彼女たちの背後には、最新鋭の小型ドローンが数機、不気味に浮遊している。

 

「ラティオス!ラティアス!逃げて!」

カノンが叫ぶが、リオンの手には既に最新式の捕獲ネット銃が握られていた。

 

「逃がさないわよ。……行け、エーフィ!アリアドス!」

ザンナーがポケモンを繰り出す。

優雅なエーフィと、不気味なアリアドス。

 

「させるか!イーブイ、カブトプス、出番だぞ!」

 

俺は、新鋭の相棒たちを投入した。

「イーブイ、『てだすけ』!カブトプス、その糸を切り裂け!」

 

イーブイが光を放ち、カブトプスのパワーを増幅させる。

カブトプスは二本の鎌を風車のように回転させ、迫りくるネットとアリアドスの糸を瞬時に切り刻んだ。

ズバババッ!!

糸が切れ、ネットが無力化される。

 

「カブゥゥッ!!」

 

「あら、威勢がいいわね。……でも、これはどうかしら?」

リオンが、不敵な笑みを浮かべて特殊な装置のスイッチを入れた。

超高周波の音波が庭園に響き渡る。

 

「グ、アアァァッ……!!」

ラティアスとラティオスが、耳を塞ぐようにして苦しみ始めた。

彼らのような高い知性を持つエスパーポケモンにとって、特定の周波数は精神をかき乱す猛毒となる。思考が乱れ、力が入らない。

 

「ラティオス!」

ラティオスが、苦しみながらも妹であるラティアスを庇うようにして前に出た。

その隙を突かれ、ザンナーのエーフィが放った『サイコキネシス』がラティオスを拘束した。

見えない鎖が、ラティオスの自由を奪う。

 

「捕まえたわ!お姉様、今のうちに!」

 

「ええ。……こころのしずく、頂戴するわね」

 

リオンが祭壇へと走り、輝く青い宝珠を強引に奪い取った。

バリィッ!という嫌な音と共に、台座から雫が引き剥がされる。

その瞬間、庭園の花々が一斉に枯れ始め、水の都全体が激しく揺れ動いた。

空の色がどす黒く変わり、運河の水位が異常に上昇し始める。

 

「こころのしずくが……!街の守りが解けてしまった!」

ボンゴレ老人が絶望の声を上げる。

 

「ラティオスを返せ!」

サトシがピカチュウと共に突進する。

「ピカチュウ、『10まんボルト』!」

 

だが、姉妹は既に用意していたヘリへと飛び乗っていた。

「遅いわよ、少年。……あはは!次は大聖堂よ。……古の機械を動かして、この街を私たちの思い通りにしてあげるわ!」

 

ヘリが急上昇し、捕らえられたラティオスと雫を連れ去っていく。

ラティオスは網の中で必死にもがくが、音波の影響で力が出ないようだ。

 

「(……くそっ、一手遅れたか)」

 

俺は、泣きじゃくるラティアスを抱き上げた。

「大丈夫だ。……必ず助け出す。兄ちゃんも、雫も」

 

ラティアスは涙目で俺を見つめ、コクりと頷いた。

「サトシ、大聖堂だ!あいつら、古代の機械を起動させる気だ!」

 

「おう!絶対止めてやる!」

 

俺たちは、不気味な赤光を放ち始めた大聖堂を目指して走り出した。

空からは、いつの間にか暗雲が垂れ込め、叩きつけるような雨が降り始めていた。

運河の水が荒れ狂い、石畳を浸食していく。

美しい水の都が、巨大な監獄へと変わりつつあった。

 

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