アニポケ転生者物語 作:投稿者
大聖堂の地下深く。
そこには、かつてアルトマーレを守るために造られた巨大な兵器――『古代の機械』が鎮座していた。
複雑な歯車とパイプが絡み合い、中央には操縦席のようなコンソールがある。
リオンが奪ったこころのしずくをスロットにはめ込むと、機械は不気味な低周波の唸りを上げ、眠りから覚めた。
「あはは!すごいわ!この力、全て私のものよ!」
リオンが狂ったように笑いながらレバーを操作する。
街全体を覆う巨大な防衛ドームが展開され、外部との出入りが完全に遮断された。
その影響は、地上にも及んでいた。
「な、なんだあれは!?」
サトシが指差す先。街のいたるところにある石壁やモニュメントから、かつて絶滅したはずのポケモンの化石たちが、アンノーンの力に似た不気味なエネルギーで実体化し、襲いかかってきたのだ。
「プテラに……カブトプス!?……まさか、機械が古代の防衛システムを再現したのか」
実体化したカブトプスたちが、鋭い鎌を振るって街の人々を襲う。プテラが空を舞い、破壊光線を撒き散らす。
街はパニックに陥っていた。
「(物語の通りだ……。だが、放置すれば街が壊滅するぞ)」
俺は、自分のカブトプスのボールを握りしめた。
「カブトプス、お前の出番だ。……偽物の王者に、本物の鎌の味を教えてやれ!」
「カブゥゥッ!!」
俺のカブトプスが、実体化した幻影の群れへと突っ込んだ。
同じルーツを持つ者同士の、壮絶な斬り合い。
だが、俺のカブトプスは、旅で培った洗練された剣技と、トレーナーとの絆を持っている。
ただ暴れるだけの幻影とは、動きの質が違う。
「『つじぎり』!」
一閃。
幻影のカブトプスが、霧のように散り、消滅した。
「行け!道を切り開くんだ!」
カブトプスを先頭に、俺たちは大聖堂の入り口へとたどり着いた。
だが、そこは鉄格子で堅く閉ざされていた。
「開かない!……ピカチュウ、『アイアンテール』だ!」
サトシが叫ぶ。
ピカチュウが鉄の尻尾を叩きつけるが、古代の機械によってエネルギーコーティングされた金属は、ビクともしない。
「サトシ、どけ!……ここは俺がやる」
俺はデバイスを取り出し、コンソールへのハッキングを試みた。
ケーブルを接続しようとするが、機械から放たれる強力な電磁干渉がそれを拒んだ。
バチバチッ!と火花が散り、デバイスが熱を持つ。
「(くそっ……!外部からのアクセスを完全に遮断しているのか。物理的な接続すら許さないとは)」
『マスター。……現在のセキュリティ強度は、私の演算能力の限界を超えています』
ポリゴン2の冷徹なアナウンスが流れる。
『この防衛システムは、古代のロストテクノロジーと、こころのしずくの無限エネルギーによって構成されています。解析には数百年を要します』
「……数百年だと?そんなに待てるか!」
俺は焦った。このままでは、ラティオスが……。
『……一つだけ、可能性があります』
ポリゴン2の声色が、少し変わった気がした。
『……私のカーネル・プログラムを、この空間の多次元位相に合わせて再構築することです。……ただし、それは既存の形を維持できない「バグ」を含んだ進化になる可能性があります。自己崩壊のリスクも伴います』
「(……ポリゴンZか)」
シンオウ地方で発見されることになる、さらに進化したポリゴン。
その姿は不安定で、奇妙な動きをすると言われている。
だが、その演算能力は次元を超える。
俺は、デバイスの中で必死に答えを探している相棒の意識を感じた。
「ポリゴン2、お前はどうしたい?」
『……この街を守り、ラティオスを救う。……それが、私の現在の最優先タスクです。……進化の承認を、要求します』
迷っている時間はない。
俺は、デバイスの画面を力強くスワイプした。
「承認だ!行け、ポリゴン2!お前の新しい姿を見せてくれ!」
『了解。……自己書き換えシーケンス、開始。……OS Ver.Zへのアップデートを強制実行します』
デバイスが、見たこともない虹色のノイズを発し始めた。
電脳の進化が、現実の壁を突き破ろうとしていた。