アニポケ転生者物語   作:投稿者

199 / 344
第174話

大聖堂の地下深く。

そこには、かつてアルトマーレを守るために造られた巨大な兵器――『古代の機械』が鎮座していた。

複雑な歯車とパイプが絡み合い、中央には操縦席のようなコンソールがある。

リオンが奪ったこころのしずくをスロットにはめ込むと、機械は不気味な低周波の唸りを上げ、眠りから覚めた。

 

「あはは!すごいわ!この力、全て私のものよ!」

リオンが狂ったように笑いながらレバーを操作する。

街全体を覆う巨大な防衛ドームが展開され、外部との出入りが完全に遮断された。

 

その影響は、地上にも及んでいた。

「な、なんだあれは!?」

サトシが指差す先。街のいたるところにある石壁やモニュメントから、かつて絶滅したはずのポケモンの化石たちが、アンノーンの力に似た不気味なエネルギーで実体化し、襲いかかってきたのだ。

 

「プテラに……カブトプス!?……まさか、機械が古代の防衛システムを再現したのか」

 

実体化したカブトプスたちが、鋭い鎌を振るって街の人々を襲う。プテラが空を舞い、破壊光線を撒き散らす。

街はパニックに陥っていた。

 

「(物語の通りだ……。だが、放置すれば街が壊滅するぞ)」

 

俺は、自分のカブトプスのボールを握りしめた。

「カブトプス、お前の出番だ。……偽物の王者に、本物の鎌の味を教えてやれ!」

 

「カブゥゥッ!!」

俺のカブトプスが、実体化した幻影の群れへと突っ込んだ。

同じルーツを持つ者同士の、壮絶な斬り合い。

だが、俺のカブトプスは、旅で培った洗練された剣技と、トレーナーとの絆を持っている。

ただ暴れるだけの幻影とは、動きの質が違う。

 

「『つじぎり』!」

一閃。

幻影のカブトプスが、霧のように散り、消滅した。

 

「行け!道を切り開くんだ!」

 

カブトプスを先頭に、俺たちは大聖堂の入り口へとたどり着いた。

だが、そこは鉄格子で堅く閉ざされていた。

「開かない!……ピカチュウ、『アイアンテール』だ!」

サトシが叫ぶ。

ピカチュウが鉄の尻尾を叩きつけるが、古代の機械によってエネルギーコーティングされた金属は、ビクともしない。

 

「サトシ、どけ!……ここは俺がやる」

 

俺はデバイスを取り出し、コンソールへのハッキングを試みた。

ケーブルを接続しようとするが、機械から放たれる強力な電磁干渉がそれを拒んだ。

バチバチッ!と火花が散り、デバイスが熱を持つ。

 

「(くそっ……!外部からのアクセスを完全に遮断しているのか。物理的な接続すら許さないとは)」

 

『マスター。……現在のセキュリティ強度は、私の演算能力の限界を超えています』

ポリゴン2の冷徹なアナウンスが流れる。

『この防衛システムは、古代のロストテクノロジーと、こころのしずくの無限エネルギーによって構成されています。解析には数百年を要します』

 

「……数百年だと?そんなに待てるか!」

 

俺は焦った。このままでは、ラティオスが……。

 

『……一つだけ、可能性があります』

ポリゴン2の声色が、少し変わった気がした。

 

『……私のカーネル・プログラムを、この空間の多次元位相に合わせて再構築することです。……ただし、それは既存の形を維持できない「バグ」を含んだ進化になる可能性があります。自己崩壊のリスクも伴います』

 

「(……ポリゴンZか)」

 

シンオウ地方で発見されることになる、さらに進化したポリゴン。

その姿は不安定で、奇妙な動きをすると言われている。

だが、その演算能力は次元を超える。

 

俺は、デバイスの中で必死に答えを探している相棒の意識を感じた。

「ポリゴン2、お前はどうしたい?」

 

『……この街を守り、ラティオスを救う。……それが、私の現在の最優先タスクです。……進化の承認を、要求します』

 

迷っている時間はない。

俺は、デバイスの画面を力強くスワイプした。

「承認だ!行け、ポリゴン2!お前の新しい姿を見せてくれ!」

 

『了解。……自己書き換えシーケンス、開始。……OS Ver.Zへのアップデートを強制実行します』

 

デバイスが、見たこともない虹色のノイズを発し始めた。

電脳の進化が、現実の壁を突き破ろうとしていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。