アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第17話

バトル大会の開催が宣言され、サント・アンヌ号のメインホールは熱狂の渦に包まれた。腕自慢のトレーナーたちが、次々とステージ上のバトルフィールドに上がり、激しい火花を散らしている。

 

「すげー!俺も出るぞ!」

 

サトシが、目を輝かせて大会にエントリーしようとする。俺は、その腕をそっと掴んで制した。

 

「待て、サトシ。少し様子が変だ」

「え、何がだよ?」

 

俺は、グラス型デバイスが示す、船内の異常なデータを見せる。

『船内各所の通信量が急増。外部との暗号化通信を断続的に確認。乗組員の制服を着た、未登録の人物を複数特定』

 

「この船、ロケット団に乗っ取られかけてるぞ」

 

俺の言葉に、サトシ、カスミ、タケシの顔色が変わる。

 

「なんだって!?」

「どうりで、さっきから乗組員の動きが妙だと思ったんだ……」

 

タケシが、鋭い視線で周囲を見渡す。確かに、カクテルを運ぶウェイターの目つきは、一流の船乗りというより、獲物を狙うゴロツキのそれだ。

 

「バトル大会は、おそらく陽動だ。トレーナーたちの注意をそこに引きつけておいて、裏で何かを企んでる」

 

俺たちは、大会の喧騒から離れ、目立たないように壁際に移動した。俺の隣では、パーティの雰囲気にそぐわない、黒ずくめの男たちが、耳に着けたインカムで何やら連絡を取り合っている。その胸には、見覚えのある赤い「R」の文字。

 

「(間違いなく、ロケット団の精鋭部隊だ。おつきみやまや、マサキの灯台で遭遇した奴らと同系統の……)」

 

彼らの目的は、この船に乗っている優秀なトレーナーたちから、ポケモンを一斉に奪うことだろう。サカキが考案したとされる、大規模なポケモン強奪作戦だ。

 

「どうするのよ、ミナト!」

カスミが、不安そうな声で尋ねる。

 

「いや、もう遅いだろう。船長室も、おそらく制圧されている。下手に動けば、人質にされるだけだ」

 

俺は冷静に状況を分析する。敵は、船内に多数潜伏している。まともにやり合えば、勝ち目はない。今は、奴らの作戦が開始されるのを待ち、その隙を突くしかない。

 

俺はポリゴンに指示を出し、船のメインシステムへのハッキングを継続させた。

「ポリゴン、船のエンジンルームと、操舵室のシステムを最優先で確保しろ。いざという時、俺たちがこの船をコントロールできるように」

『了解。システム制御の乗っ取りを試みます。……成功。管理者権限を確保しました』

 

よし、これで最低限の保険はできた。

 

パーティ会場では、そんな俺たちの緊張も知らず、バトル大会が進行していた。ステージ上では、俺が先ほど話したベテランの老トレーナーが、自慢のリザードンで相手を圧倒している。

 

その時、俺はふと、先ほどサトシにポケモン交換を持ちかけた紳士が、ロケット団員の一人と密談しているのを目撃した。

 

「(あの男も、ロケット団の仲間か……!)」

 

交換が成立していれば、サトシのピジョンは、まんまと奴らの手に渡っていたところだった。背筋に、冷たい汗が流れる。

 

俺は、ミニリュウの入ったボールを、そっと握りしめた。こいつがこの状況を打開する、俺たちの切り札になるかもしれない。

 

「ミナト、始まるぞ……!」

 

タケシが、緊張した声で言った。見ると、会場の照明が、一斉に落とされた。悲鳴を上げる乗客たち。そして、ステージ上のスクリーンに、あの男の顔が映し出された。ロケット団のボス、サカキだ。

 

『諸君、パーティは楽しんでいるかな?これより、このサント・アンヌ号は、我々ロケット団が支配する。優秀なトレーナーである君たちには、その素晴らしいポケモンを、我々に寄付していただきたい』

 

サカキの高圧的な宣言と共に、会場の至る所で、ロケット団員たちが一斉に行動を開始した。彼らは、特殊な電磁ネットを使い、トレーナーたちから次々とモンスターボールを奪っていく。

 

「なんてことだ!」

「あたしのポケモンを返して!」

 

抵抗しようとするトレーナーもいたが、ロケット団員たちは、容赦なくポケモンで反撃してくる。あっという間に、会場は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

 

「くそっ!こうなったら、やるしかねえ!」

 

サトシが、ピカチュウを肩に乗せて飛び出そうとする。

 

「待て、サトシ!一人で突っ込むな!」

 

俺はサトシを制止し、タケシと視線を交わす。

 

「タケシさんとカスミは、他の乗客の避難誘導を!サトシと俺で、ここのロケット団員を引きつける!」

「分かった!気をつけるんだぞ!」

 

タケシとカスミが、子供やお年寄りを連れて、安全な場所へと走り出す。

 

「行くぜ、サトシ!」

「おう!」

 

俺たちは、背中合わせに構える。目の前には、十数人のロケット団員と、そのポケモンたち。絶望的な戦力差だ。

 

だが、俺たちの瞳には、恐怖の色はなかった。守るべきものがあるトレーナーは、いつだって、強くなれるのだ。

 

「フシギダネ、ミニリュウ!行くぞ!」

 

俺は、二匹のポケモンをボールから解き放った。フシギダネの鋭い眼光と、ミニリュウの未知なる力が、暗闇の中で静かに輝く。

 

サント・アンヌ号の戦い。その幕が、今、切って落とされた。

 

チラシ裏から表にでるべきか

  • チラシ裏でいい
  • 表にでてもいい
  • まだ表にでるのは早い
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