アニポケ転生者物語 作:投稿者
大聖堂の入り口で、ポリゴン2の体が激しく明滅を始めた。
通常の進化のような柔らかな光ではない。
それはデジタルなノイズが実体化したような、不規則で、どこか危うい輝きだった。
空間そのものがバグったように歪み、色彩が反転する。
「ポ、ポ、ポ……」
プログラムの自己書き換えによる過負荷が、ポリゴン2の電子体に過電流を走らせる。
だが、その瞳は一点の迷いもなく、大聖堂の奥にある古代の機械を見据えていた。
『多次元位相データの受信完了。……座標軸のズレを補正。……既存の論理(ロジック)を破棄します』
瞬間、ポリゴン2のフォルムが崩れ、再構成された。
丸みを帯びていた体は鋭角的に歪み、首は180度回転し、不自然な角度で空中に浮遊する。瞳はデジタルな虹色に染まり、全身から空間を歪ませるほどのパルスが放射された。
ポリゴンZ。
人工ポケモンの極致であり、次元の壁を越えるために「バグ」すら力に変えた異形の進化形。
「ゼェェェッ!!」
ポリゴンZが咆哮(あるいは電子音の叫び)を上げると、周囲の電磁干渉が嘘のように消え去った。
彼はそのまま大聖堂の鉄格子を透過し、内部のシステムへとダイブした。
「すご……!一瞬でハッキングしたのか!?」
サトシが目を見張る。
鉄格子が音もなく開き、俺たちは内部へと突入した。
最深部では、古代の機械の中枢に取り込まれ、生命エネルギーを吸い取られているラティオスの姿があった。彼の青い体は白く褪せかけている。
「ラティオス!」
ラティアスが駆け寄るが、リオンが立ちふさがる。
「させないわ!……あ、あいつ、何をしたの!?」
リオンがコンソールを叩くが、画面にはポリゴンZのマークが踊り、一切の操作を受け付けない。
「機械が……言うことを聞かない!?プログラムが書き換えられてる!ありえないわ、こんな短時間で!」
「ポリゴンZ、今だ!ラティオスを分離しろ!」
『了解。……強制排出プログラム、実行』
ポリゴンZが空間そのものを「クリック」するように腕を振ると、ラティオスを拘束していた光の鎖が弾け飛んだ。
「グオッ……!」
解放されたラティオスを、サトシとラティアスが受け止める。
「おのれぇ……!よくも私たちの芸術を!」
ザンナーがエーフィをけしかける。
「エーフィ、『サイコキネシス』!」
だが、ポリゴンZは不規則な動きでそれを回避し、逆にエーフィの背後を取った。
そして、口から次元すら歪ませるような極太の光線を放った。
「『はかいこうせん』!!」
ドォォォン!!
直撃を受けたエーフィは吹き飛ばされ、壁に激突してダウンした。
「終わったぞ、ザンナー、リオン。……お前たちの負けだ」
だが、安堵したのも束の間。
こころのしずくが不気味な黒い輝きを放ち始めた。
「……まずい。ラティオスを強引に引き抜いた衝撃で、雫のエネルギーが臨界点を超えた!」
大聖堂の床が割れ、地下から凄まじい濁流が湧き出してきた。
それはただの水ではない。雫の暴走したエネルギーが物質化した、破壊の奔流だ。
「津波……!街が飲み込まれるわ!」
カスミの叫び。
本当の試練は、ここからだった。
俺は、懐の三つの秘宝を握りしめ、荒れ狂う水面を睨みつけた。
この暴走を止めるには、神々の力に頼るしかない。