アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第176話

大聖堂から溢れ出した濁流は、瞬く間にアルトマーレの運河を飲み込み、巨大な津波となって街を襲った。

建物の屋根を越えるほどの高さ。街全体が水没の危機に瀕している。

 

「このままじゃ……街が消えちゃうよ!」

カノンが絶望に顔を歪める。

 

ラティオスとラティアスが、互いの手を繋ぎ、津波の正面へと立ちふさがった。

彼らは自らの生命エネルギーを全て放出し、街を守るための盾になろうとしていた。

その体から、眩い光が溢れ出す。それは、自らの存在を燃やして放つ、最後の輝き。

 

「(原作なら……ここでラティオスが消滅する)」

 

俺の脳裏に、悲しい結末がよぎる。

だが、俺はそれを変えるためにここに来たんだ。

 

「待て!ラティオス、ラティアス!一人で抱え込むな!」

 

俺は、リュックの中から三つの秘宝を全て取り出し、空へと掲げた。

七色の『にじいろのはね』。

白銀の『銀色の羽』。

そして、青白く脈動する『水晶の欠片』。

 

「力を貸してくれ!ホウオウ、ルギア、ミュウツー!」

 

俺の叫びに呼応するように、三つの秘宝が三角形を描くように並び、中心に凄まじい光の渦が発生した。

ホウオウの「再生」の炎。

ルギアの「守護」の風。

そしてミュウツーの「極限の精神」。

 

それらが『こころのしずく』の暴走エネルギーと共鳴し、巨大な光の繭を作り出した。

 

「ポリゴンZ、演算支援を頼む!このエネルギーを……調和の波長へ変換しろ!」

 

『了解。……三つのソースコードを統合。……アルトマーレ全域に『サイコ・フィールド・バリア』を展開します』

 

ポリゴンZが空中を乱舞し、データの粒子を撒き散らす。

ラティ兄妹の青と赤の光に、三つの秘宝の光が混ざり合い、津波を真正面から押し返した。

 

ドォォォォォォォォォォン!!

 

水と光が衝突し、空が真っ白に染まった。

俺は強烈な衝撃に耐えながら、相棒たちの名前を呼び続けた。

「負けるな!押し返せぇぇぇ!!」

 

やがて、轟音が止み、静寂が訪れた。

 

目を開けると、そこには鏡のように穏やかな運河が戻っていた。

津波は跡形もなく消え去り、空には満天の星空が広がっていた。

水面に映る月が、何事もなかったかのように揺れている。

 

「……助かったんだ」

サトシが呟く。

 

地面には、力尽きて横たわるラティオスとラティアスの姿があった。

「ラティオス!!」

カノンが駆け寄る。

 

俺も、恐る恐るラティオスの胸に手を当てた。

微かな、しかし確かな鼓動。

 

「……生きてる。命は、助かったぞ」

 

「……よかった……本当によかった……!」

カノンが涙を流してラティオスを抱きしめた。

ラティアスも、兄の無事を確認して、安心して眠りについた。

 

祭壇の上には、ひび割れた『こころのしずく』が、再び柔らかな青い光を取り戻して安置されていた。

三つの秘宝が、雫の崩壊を食い止め、新たな守りの力を与えたのだ。

これからは、ラティオスの命を削ることなく、この街を守り続けてくれるだろう。

 

「ゼ、ゼェ……」

ポリゴンZが、俺の肩に降りてきた。その瞳のノイズは収まり、静かなデジタル光が宿っていた。

 

「お疲れ様、ポリゴンZ。最高の仕事だったよ」

 

俺は、新しく生まれ変わった相棒を労った。

水の都アルトマーレ。

伝説の悲劇は、新たな希望の物語へと書き換えられた。

 

街の彼方から、朝日の光が差し込んできた。

新しい一日が、今、始まろうとしていた。

 

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