アニポケ転生者物語 作:投稿者
第177話
アルトマーレでの冒険を終えた俺たちは、ついにジョウト地方の最深部、シロガネ山の麓にある「シロガネタウン」に到着した。
目の前にそびえ立つ雄大なシロガネ山。その頂は雲に隠れ、神々しいオーラを放っている。
ここが、ジョウトリーグ・シロガネ大会の開催地。
世界中から集まった強豪トレーナーたちが、最強の座を懸けて激突する聖地だ。
「ついに来たな……!ここがシロガネ山か!」
サトシが、武者震いするように拳を握りしめる。ピカチュウも気合十分だ。
「ああ。カントーから始まった俺たちの旅の、一つの集大成だ」
街は祭りのような熱気に包まれていた。
屋台が並び、観客たちが贔屓のトレーナーの旗を振っている。
俺たちは選手村で登録を済ませ、予選リーグの組み合わせを確認した。
「俺の予選ブロックは……よし、強そうな奴らばかりだ!燃えてきたぜ!」
サトシは相変わらず前向きだ。シゲルも別のブロックで順当に勝ち進んでいるらしい。
俺の予選最初の相手は、イッシュ地方から来たという、虫ポケモン使いの少年だった。
「へへっ、俺のカイロスは最強だぜ!挟まれたら逃げられないぞ!」
少年は自信満々にカイロスを繰り出した。
「望むところだ。……行け、ヨーギラス!」
俺は、先発にヨーギラスを選んだ。
この大会を通して、彼をさらに成長させたい。そんな思いがあった。
ヨーギラスは、タンバ道場での修行や、これまでの旅で経験を積んできたが、公式戦の緊張感はまた別物だ。
「カイロス、『シザークロス』!」
「ヨーギラス、『てっぺき』で受け止めろ!」
ヨーギラスは体を硬質化させ、カイロスのハサミを受け止める。
ガキィッ!!
激しい金属音が響く。相手も予選まで勝ち上がってきた実力者。パワーが凄まじい。
ヨーギラスの小さな体が、じりじりと押し込まれていく。
「くっ、押し負けるな!『いわなだれ』!」
至近距離から岩石を降らせるが、カイロスはそのハサミで岩を砕きながら前進してくる。
「ハハッ!無駄だ無駄だ!そのまま締め上げろ!」
カイロスのハサミがヨーギラスの体を挟み込んだ。
「ギィッ……!!」
ヨーギラスが苦痛の声を上げる。
「負けるな!お前の根性、見せてやれ!お前は、いつか山をも砕くバンギラスになる男だろ!」
俺の叫びが届いたのか、ヨーギラスの瞳に炎が灯る。
タンバ道場での師範代の言葉、エンテイとの戦いで感じた無力感、そして仲間たちの背中。
小さな体で経験してきた全てが、彼の中で臨界点に達しようとしていた。
「ギィィィィッ!!」
ヨーギラスの体が、カイロスのハサミを押し返すほどの力で発光し始めた。
進化の光だ。
光の中で、体が一回り大きくなり、手足が消失して硬い殻に覆われた蛹のような姿へと変わっていく。
だが、それはただの蛹ではない。エネルギーを凝縮した、爆弾のような塊だ。
「サナギラス……!」
「進化しただと!?だが、動けなくなった今がチャンスだ!『ハサミギロチン』!」
少年が焦って一撃必殺を指示する。
「甘いな。サナギラス、その殻は守るためだけにあるんじゃない!『あばれる』!」
サナギラスは、手足のない状態でも猛烈な勢いで回転し、圧縮ガスを噴射するように体当たりを繰り出した。
その質量と回転力は、カイロスのハサミを弾き飛ばし、そのまま相手を場外の壁まで吹き飛ばした。
ズガァァァン!!
「カ、カイロス……!」
カイロスは白目を剥いてダウンしていた。
「カイロス、戦闘不能!勝者、ミナト選手!」
「やったな、サナギラス!」
「サナッ!」
サナギラスは、誇らしげに体を揺らした。
予選初戦、勝利。
そして新たな進化。
俺たちのシロガネ大会は、最高のスタートを切った。
だが、これはまだ始まりに過ぎない。
決勝トーナメントには、さらなる強敵たちが待ち受けているのだ。