アニポケ転生者物語   作:投稿者

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ルビちゃんと機能している……


第18話

 

「全ポケモン、ゲットだぜ!」

 

ロケット団員たちの下品な掛け声が、豪華客船のホールに響き渡る。パニックに陥る乗客たち、そして主を失い呆然とするポケモンたち。その光景に、俺の怒りは静かに沸点を越えようとしていた。

 

「させるか!フシギダネ、『つるのムチ』!」

「ピカチュウ、『10まんボルト』!」

 

俺とサトシは、ほぼ同時に反撃を開始した。フシギダネのツルがしなやかに空間を舞い、トレーナーからモンスターボールを奪おうとした電磁ネットを叩き落とす。ピカチュウの電撃が、数の利を頼りに襲いかかってきたゴルバットの群れを薙ぎ払った。

 

「ナイスだ、サトシ!俺の分析と、お前の戦闘センスがあれば、こいつらなんて!」

「おう!」

 

俺はグラス型デバイスで敵の配置とポケモンの弱点を瞬時に分析し、サトシに指示を出す。サトシは、その指示の意図を即座に理解し、ピカチュウやゼニガメたちと完璧な連携を見せた。俺たちのコンビネーションは、ロケット団のチンピラレベルの団員たちを次々と戦闘不能にしていく。

 

だが、敵の数はあまりにも多かった。そして、彼らもまた、ただの烏合の衆ではなかった。

 

「小僧どもが、生意気な!やれ、アーボック!マタドガス!」

 

リーダー格の男の号令で、複数のアーボックとマタドガスが俺たちを包囲する。マタドガスが吐き出す「えんまく」が視界を奪い、アーボックがその隙に「まきつく」や「ようかいえき」を放ってきた。

 

「くそっ、視界が……!フシギダネ、風を起こして煙を吹き飛ばせるか!?」

「ダネッ!」

 

フシギダネが、背中の蕾を大きく揺らし、ツルを振り回して風を起こそうとする。だが、その一瞬の隙を、アーボックは見逃さなかった。一体のアーボックが、蛇のように素早い動きでフシギダネの背後に回り込み、その体に牙を立てようとする。

 

「フシギダネ、危ない!」

 

俺の叫びも虚しく、アーボックの毒の牙がフシギダネに迫る。その時だった。

 

「キューッ!」

 

小さな影が、フシギダネの前に飛び出した。ミニリュウだ。まだ戦闘経験の浅いミニリュウが、自らの体を盾にして、フシギダネを庇ったのだ。

 

「ミニリュウ!?」

 

アーボックの牙は、ミニリュウの小さな体に深く突き刺さった。苦痛に鳴き声を上げるミニリュウ。その光景を見た瞬間、フシギダネの何かが、プツリと切れた。

 

「―――フッシャアアアアアアアッ!!!!」

 

今まで聞いたこともない、怒りに満ちた咆哮。フシギダネの全身から、眩い光が溢れ出した。その体はみるみるうちに大きくなり、体格もよりがっしりとしたものに変わっていく。そして、何よりも大きな変化は、背中のタネだった。硬く閉じていたタネの先端が開き、中から大きなピンク色の蕾が顔を覗かせている。

 

光が収まった時、そこにいたのは、もう俺の知るフシギダネではなかった。

草花の芽生えを感じさせる、力強い生命力。その体躯は、アーボックを睨みつけるだけで後ずさりさせるほどの威圧感を放っている。

 

「フシギソウ……!」

 

俺の相棒が、仲間を守りたいという強い意志の力で、今、進化を遂げたのだ。

 

だが、その様子は明らかに普通ではなかった。フシギソウの目は、怒りで赤く染まっている。デバイスが、危険な兆候を警告した。

 

『警告。対象:フシギソウ。進化による急激なエネルギーの上昇により、精神状態が極めて不安定。闘争本能が理性を上回っている状態』

 

「ソウオオオオオオッ!!」

 

フシギソウは、俺の指示を待つことなく、敵陣へと突進した。その動きは、もはや草タイプポケモンのそれではない。まるで、獰猛なドラゴンポケモンだ。

 

「な、なんだあのフシギソウは!?」

ロケット団員が、その気迫に怯む。

 

「や、やっちまえ、アーボック!」

 

アーボックが「ようかいえき」を吐きかけるが、フシギソウはそれを意にも介さず、正面から受け止める。そして、その口を大きく開くと、溜め込んだ怒りのエネルギーを、凄まじい咆哮と共に解放した。

 

グウウウウオオオオオオッ!(許さない!)

 

進化の勢いで無理やりこじ開けた、本来覚えるはずのない技。

ドラゴンタイプ最強の物理技――「げきりん」。

 

フシギソウは、暴走する竜と化していた。そのツルは鞭のようにしなり、アーボックを地面に叩きつける。マタドガスに飛びかかり、その巨体を「たいあたり」で吹き飛ばす。技の分類など関係ない。ただ、目の前の敵を、仲間を傷つけた存在を、破壊する。その純粋な怒りだけが、フシギソウを突き動かしていた。

 

その圧倒的な力に、ロケット団員たちは戦意を喪失し、次々と逃げ出していく。サトシもタケシも、そして避難誘導をしていたカスミも、ただ呆然とその光景を見つめるだけだった。

 

やがて、すべての敵を薙ぎ倒したフシギソウは、ぜえぜえと荒い息をつきながら、ゆっくりとこちらを振り返った。その赤い目は、まだ怒りの炎を宿している。技の副作用による「こんらん」状態だ。

 

『危険。対象は現在、敵味方の区別がついていません』

 

デバイスの警告通り、フシギソウは次のターゲットを俺たちに定めようとしていた。

 

「危ない、ミナト!」

タケシが叫ぶ。だが、俺は逃げなかった。

 

俺は、ゆっくりとフシギソウに歩み寄る。そして、暴れ狂うエネルギーの塊と化した相棒を、真正面から、強く、抱きしめた。

 

「もう、いいんだ」

 

ツルが、俺の体を締め付けようとする。だが、俺は離さなかった。

 

「もういい。よく頑張ったな、フシギダネ……いや、フシギソウ。お前のおかげで、ミニリュウは助かった。みんな、無事だ。だから、もういいんだ。俺が、ここにいる」

 

俺の言葉に、フシギソウの体の力が、少しずつ抜けていく。その瞳から、赤い光が薄れ、いつもの優しく、頼もしい光が戻ってきた。

 

「……ソウ……」

 

フシギソウは、俺の胸に顔をうずめ、子供のように小さく鳴いた。

 

その時だった。

ゴゴゴゴゴゴ……!

 

フシギソウの「げきりん」による破壊と、外の激しい嵐が、ついに船の限界を超えさせたのだ。船体が大きく傾き、俺たちはなすすべもなく、混沌の渦の中へと叩きつけられた。

 

意識が遠のいていく。だが、俺の腕の中には、確かに、進化した相棒の温かい感触が残っていた。

 

……どれくらい、時間が経っただろうか。

 

俺が目を覚ますと、そこは、逆さまになった船室の一つだった。幸い、大きな怪我はないようだ。隣では、サトシとタケシ、そしてカスミも、気を失っていた。

 

チラシ裏から表にでるべきか

  • チラシ裏でいい
  • 表にでてもいい
  • まだ表にでるのは早い
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