アニポケ転生者物語 作:投稿者
第185話
ジョウト地方の最北端、雲海を突き抜けるようにそびえ立つ巨大な岩山、ピュアーズ・ロック。
その頂上にあるカルデラ湖は、世界で一番清らかな水が湧き出ると言われている秘境中の秘境だ。
俺たちは、シルフカンパニーの特別チャーター機で、その神秘の地へと降り立った。
「ここが、ピュアーズ・ロック……。すごい、空気が全然違う」
サトシが深呼吸をする。肺の中まで洗われるような清涼な空気だ。
「水がとっても綺麗ね。ポケモンたちが住むには最高の場所だわ」
カスミも、湖の透明度に目を奪われている。水底の小石までくっきりと見えるほどだ。
だが、俺の目的は観光ではない。
「(いるはずだ。……あいつらが)」
俺は、懐の『水晶の欠片』を取り出した。
水晶は、この場所に近づくにつれて強く脈動し、微かな熱を帯びている。まるで、持ち主の鼓動に合わせているかのようだ。
森の奥へと進むと、茂みの向こうから鋭い視線を感じた。
木々の隙間から姿を現したのは、独特の紋様を持つフシギバナ、カメックス、リザードン。
かつてニューアイランドで戦った、コピーポケモンたちだ。
彼らは警戒心を露わにしているが、敵意はない。ただ、自分たちのテリトリーを守ろうとしているだけだ。
「みんな、久しぶりだな」
俺が声をかけ、水晶を見せると、彼らはハッとして道を空けた。
その先に、一匹のポケモンが静かに佇んでいた。
紫色の体躯、冷徹でありながら深い哀しみを宿した瞳。
最強の遺伝子を持つポケモン、ミュウツー。
『……来たか。異界の記憶を持つ人間よ』
ミュウツーの声が、直接脳内に響く。テレパシーだ。
『お前が持っているその水晶……。私の体の一部とも言えるそれが、私を呼んでいる気がした』
「ああ。約束通り、会いに来たぞ」
俺は水晶を掲げた。
「俺たちは、ジョウトリーグで優勝した。……強くなった俺たちの姿、見てほしかったんだ」
ミュウツーは、俺の背後にいるサトシたちや、俺のポケモンたちを見渡した。
『フン……。人間という種は、戦いを好む。……だが、お前たちの戦いには、破壊以外の何かがあるようだな』
ミュウツーは、少しだけ表情を緩めた。
彼もまた、ここでの静かな暮らしの中で、コピーポケモンたちと共に生きる意味を見つけ、少しずつ心癒やされていたのかもしれない。
ピカチュウのコピー(耳の模様が違う)や、ニャースのコピーたちも集まってきて、サトシのピカチュウたちと再会を喜んでいる。
「よかった。……ここは本当に、平和な場所なんだな」
サトシが安堵の表情を見せる。
だが、その平穏は、空を引き裂く轟音によって無慈悲に破られた。
『警告。上空より多数の熱源接近。……大型飛行戦艦を含む、軍事レベルの艦隊です』
ポリゴンZの警報と共に、空が黒く染まった。
無数の戦闘ヘリ、そして雲海を割って現れた巨大な飛行船。
船体には、赤く大きな『R』の文字が刻まれている。
「ロケット団……!」
『……来たか。私の「生みの親」たちが』
ミュウツーの瞳に、再び冷たい光が宿る。
平和な空気が一変し、戦場の緊張感が森を包み込む。
「(サカキ……。ついに本気で狩りに来たか)」
俺は、腰のボールを握りしめた。
この聖域を守るため、そして友を守るため。