アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第192話

戦いが終わり、ロケット団は撤退した。サカキの行方は不明だが、今回の失敗で組織は大打撃を受けただろう。当分は動けないはずだ。

 

湖のほとりで、俺たちはミュウツーと向き合った。

覚醒状態が解け、元の姿に戻ったミュウツーは、どこか憑き物が落ちたような穏やかな表情をしていた。

 

『……感謝する。お前たちのおかげで、私たちは救われた』

 

「礼には及ばないさ。……友達だろ?」

サトシが笑う。

 

『……友達、か』

ミュウツーは少し困ったように微笑んだ。

その笑顔は、初めて会った時の冷徹な彼からは想像もできないほど、温かいものだった。

 

『私は……ここを去るつもりだった。人間たちに見つかった以上、ここはもう安全ではないと』

 

「でも、ロケット団はもう来ないよ。……それに、逃げ続けるのはもう終わりにしないか?」

 

『……ああ。そうだな』

ミュウツーは、コピーポケモンたちを見渡した。

彼らもまた、ここでの生活を愛し、ここを故郷だと思っている。

『彼らにとっても、ここが故郷だ。……私たちは、ここで生きる』

 

ミュウツーは両手を広げた。

『だが、私たちの存在は、やはり人間の社会には異質すぎる。……だから、記憶は消させてもらう』

 

「待ってくれ!」

俺は叫んだ。

「記憶を消す必要なんてない!……記憶は、俺たちが共に戦い、生きた証だ。それを消すなんて、俺は嫌だ!」

 

「俺もだ!ミュウツー、俺たちは絶対に秘密を守る!だから……!」

サトシも必死に訴える。

 

ミュウツーは、俺たちの目を見つめた。

そこにあるのは、恐怖でも差別でもなく、純粋な友情と信頼。

 

『……分かった。お前たちの記憶は、そのままにしておこう』

 

ミュウツーは、湖の霧を操り、ピュアーズ・ロック全体を深い霧で包み込み始めた。

『ただし、この場所は隠させてもらう。……二度と、悪意ある者がたどり着けないように』

 

霧が濃くなり、ミュウツーたちの姿が見えなくなっていく。

 

『さらばだ、ミナト、サトシ。……いつかまた、運命が交わる時まで』

 

「ああ!元気でな、ミュウツー!」

「また会おうぜ!」

 

俺たちは、霧の中に消えていく友に向かって、いつまでも手を振り続けた。

彼らはもう、誰の影でもない。

この世界で生きる、一つの命として、確かにそこに在るのだ。

 

ヘリに乗り込み、俺たちはピュアーズ・ロックを後にした。

雲海の上に出ると、そこには突き抜けるような青空が広がっていた。

 

「(終わったんだな……)」

 

俺の懐には、三つの秘宝がある。

だが、その重みは、これまでの旅の全てを物語っていた。

 

俺たちは、マサラタウンへと機首を向けた。

帰るべき場所へ。

そして、次なる旅立ちの場所へ。

心地よい疲労感と共に、俺は静かに目を閉じた。

 

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