アニポケ転生者物語 作:投稿者
サトシたちが旅立ち、少し静けさを取り戻したマサラタウン。
オーキド研究所の広大な裏庭には、カントーとジョウトで出会い、共に戦ってきた俺のポケモンたちが、思い思いの時間を過ごしていた。
「バナァ〜」
フシギバナが、大きな花を広げて昼寝をしている。その周りには、エーフィやウリムーが集まり、木漏れ日の中で日向ぼっこを楽しんでいる。
「ウリッ!」「エフィ〜」
池の方では、ラプラスとキングドラが水飛沫を上げて優雅に競泳をしている。
空にはカイリューとエアームドが並んで飛行し、時折、模擬戦のようなアクロバティックな動きを見せては、互いの健闘を称え合っている。
岩場では、サイドンとニドクイン、そしてバンギラスが力比べをしている。
「バンギラスッ!!」
バンギラスの圧倒的なパワーに、サイドンたちもタジタジだが、その表情はどこか楽しそうだ。
「みんな、元気そうだな」
俺は、テラスでその光景を眺めながら、淹れたてのコーヒーを啜った。
総勢20匹の大家族。彼らとの絆が、今の俺を形作っている。
「やあ、ミナト君。優雅な休日だね」
白衣を着たシゲルが、資料を抱えてやってきた。彼はサトシとは違い、研究者としての道を歩むため、カントーに残ってオーキド博士の手伝いをしている。
「よう、シゲル。……サトシはもう、ホウエンに着いた頃かな」
「だろうね。あいつのことだ、着いた瞬間からトラブルに巻き込まれてるか、野生のポケモンを追いかけ回してるか……目に浮かぶようだ」
シゲルは呆れたように肩を竦めたが、その口元には親友への隠せない信頼が滲んでいた。
「ミナト君、君のホウエン行きの準備は順調かい?」
「ああ。……でも、今回は連れて行くメンバーをどうするか、まだ迷っててな」
俺は裏庭の仲間たちを見渡した。
どいつもこいつも、一騎当千の強者ばかりだ。彼らを連れて行けば、ホウエンのジム戦など敵ではないだろう。
だが、それでは意味がない。
新しい土地、新しい環境。そこでゼロからスタートし、現地のポケモンたちと絆を結び、成長していく。
それこそが、トレーナーとしての「旅」の本質だと、俺は思う。
「俺は、君のそういうストイックなところ、嫌いじゃないよ」
シゲルは俺の考えを読んだように微笑んだ。
「俺も研究所に残ることで、トレーナーとは違う視点からポケモンを理解しようとしている。……俺たちはそれぞれのやり方で、『正解』を探している途中なんだろうな」
「そうだな。……お互い、立ち止まってはいられないな」
俺たちはコーヒーカップを軽く掲げ合った。
言葉は多くなかったが、互いの選んだ道を尊重する、静かな連帯感がそこにはあった。
夜、俺はポケモンたち全員を集め、これからのことを話した。
焚き火を囲み、静まり返った空気の中で、俺は告げた。
「俺は、明日、ホウエン地方へ発つ。……でも、今回は全員、ここに残ってもらうことにした」
ざわめきが起きるかと思ったが、ポケモンたちは静かだった。
彼らは真っ直ぐに俺の目を見ている。
俺が、常に「前」に進む人間であることを、彼らは誰よりも理解してくれているのだ。
「俺は、新しい場所で、新しい仲間たちと、また一から強くなってくる。……だから、お前たちはここで、最強の留守番役として待っていてくれ」
「
フシギバナが、太い蔓で俺の背中をバシッと叩いた。
「
カイリューが優しく頷く。
バンギラスも、無言で拳を突き出した。
「ありがとう。……行ってくるよ」
俺は、一匹一匹の頭を撫で、抱きしめた。
その温もりを、これからの旅の糧にするために。
マサラの夜は、静かに更けていった。
家族のような温かさと、頼もしい仲間たちのエールに包まれながら、俺は新たな旅立ちの朝を待った。
ホウエン地方。
そこには、まだ見ぬどんな出会いが待っているのだろうか。
俺の胸は、期待と少しの不安で、高鳴っていた。