アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第197話

船がミシロタウンの港に近づくにつれ、潮風の中に混じる緑の匂いが濃くなってきた。

カントーのマサラタウンにも似た、穏やかで懐かしい空気。

だが、そこに生えている木々の種類や、飛び交う鳥ポケモンたちの鳴き声は、ここが未知の土地であることを雄弁に物語っていた。

 

「着いたな、ミシロタウン」

 

タラップを降り、俺はホウエンの大地を踏みしめた。

隣を浮遊するポリゴンZが、早速周囲のスキャンを開始する。

『気温24度、湿度60%。……非常に過ごしやすい気候です。南東の方角に、微弱ですが特殊な磁場反応を検知。研究所のような施設があると思われます』

 

「オダマキ研究所だな。……まずは挨拶に行こう」

 

俺たちが研究所へ向かう道中、森の方から誰かの叫び声が聞こえてきた。

「うわぁぁぁ! 誰か! 誰か助けてくれー!!」

 

「今の声は……!」

俺は駆け出した。

森の入り口付近で、白衣を着た恰幅の良い男性が、ポチエナの群れに追いかけ回されている。

ホウエン地方のポケモン博士、オダマキ博士だ。

 

「博士! 今助けます!」

俺は腰のボールに手をかけたが、ふと気づいた。

手持ちはポリゴンZと、ゲットしたばかりのキャモメだけだ。

 

「行け、キャモメ!」

俺はキャモメを繰り出した。

「キャーモッ!」

キャモメは空高く舞い上がり、ポチエナたちを威嚇する。

 

「キャモメ、『みずでっぽう』で威嚇射撃だ!当てる必要はない、追い払え!」

キャモメが口から鋭い水流を放ち、ポチエナたちの足元を濡らす。

驚いたポチエナたちが足を止める。

 

「今だ!『つばさでうつ』!」

キャモメが急降下し、リーダー格のポチエナの鼻先を翼で叩いた。

「キャンッ!?」

ポチエナたちは、空からの攻撃に怯え、森の奥へと逃げ去っていった。

 

「ふぅ……助かったよ。ありがとう、少年」

オダマキ博士が、額の汗を拭いながら礼を言った。

「私はオダマキ。ポケモン研究家だ。……君は?」

 

「カントーから来ました、ミナトです」

「おお、カントーから! それは見事なキャモメさばきだったね。ゲットしたばかりとは思えないよ」

 

その時、研究所の方から一人の少女が走ってきた。

赤いバンダナに、活動的な服装。

「博士! 大丈夫!?」

 

ハルカだ。

息を切らして走ってきた彼女は、無事な博士を見てホッと胸を撫で下ろした。

「もう、心配させないでよ!……あれ? この人は?」

 

「ああ、彼が助けてくれたんだ。ミナト君だ」

「はじめまして。ミナトです」

 

「私はハルカ。……ありがとう、ミナト君。すごかったね、キャモメの動き、とっても綺麗だった!」

ハルカが目を輝かせて俺を見上げた。

「え?あ、ああ、ありがとう」

「私、バトルのことよく分からないけど……ミナト君の指示、すごく安心感があったよ。……なんか、頼りになるお兄さんって感じ!」

 

ハルカは屈託のない笑顔を向けた後、少し照れたように視線を逸らした。

「(……いけない、初対面なのに馴れ馴れしかったかな?)」

 

俺も少し照れくさくなりながら、言葉を返した。

「ハルカちゃんも、これからポケモンをもらうのか?」

「うん! 今日が私の旅立ちの日なの!」

 

その後、俺たちは研究所へ戻り、ハルカが最初のポケモンを選ぶ瞬間に立ち会うことになった。

キモリ、アチャモ、ミズゴロウ。

ハルカが選んだのは、愛らしいヒヨコポケモンのアチャモだった。

 

「よろしくね、アチャモ!」

「チャモッ!」

 

「いいパートナーになりそうだな」

俺が言うと、ハルカは嬉しそうに微笑んだ。

「うん!……ねえミナト君、もしよかったら、バトルのこととか教えてくれる?」

 

「もちろん。俺でよければ」

 

こうして、俺のホウエンでの旅は、新しい出会いと共に幕を開けた。

頼れる先輩として、そしていずれは最大のライバルとして。

俺とハルカの物語が、ここから始まる。

 

そこへ、もう一人の来訪者が現れた。

「博士!ここですか!」

ピカチュウを連れた少年。サトシだ。

「サトシ!久しぶりだな!」

「ミナト!?お前も来てたのか!」

 

運命の歯車が、一気に回り出した音がした。

ミシロタウンの風は、新しい冒険の予感を運んでくる。

俺たちは顔を見合わせ、それぞれの夢に向かって走り出した。

 

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