アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第20話

奇跡的に生還した俺たちは、漂流しているところを沿岸警備隊に救助され、クチバシティのポケモンセンターへと運ばれた。サント・アンヌ号の沈没は、大ニュースとして世界中を駆け巡ったが、幸いにも、ほとんどの乗客は無事に救助されたらしい。ロケット団の連中も、大半が逮捕されたと聞いた。

 

数日間の休息を経て、俺たちの体力は完全に回復した。だが、サトシは休む間もなく、次の目標に向かって燃えていた。

 

「よし!クチバジムに挑戦だ!」

 

俺たちは、サトシのその勢いに押されるように、クチバジムへと向かった。ジムは、港の倉庫を改造したような、無骨な建物だった。中に入ると、大柄な、軍人のような男が、高笑いをしながら俺たちを迎えた。

 

「ウェルカーム!俺が、このクチバジムのリーダー、マチスだ!お前たちのような、ひよっこ共を、ビリビリに痺れさせてやるぜ!」

 

そのハイテンションなノリに、俺たちは少しだけ気圧される。

 

サトシは、早速マチスにバトルを挑んだ。だが、その結果は、惨敗だった。マチスの切り札、ライチュウ。その圧倒的なパワーと、電撃の威力。ピカチュウは、手も足も出ずに、一撃で戦闘不能にされてしまったのだ。

 

ポケモンセンターで、サトシは深く落ち込んでいた。自分の未熟さを、そして、ピカチュウを進化させていないことへの迷いを、口にしていた。

 

「俺が、ピカチュウにかみなりのいしを使っていれば……ライチュウになっていれば、勝てたかもしれないのに……」

 

その時、俺はサトシの隣に座り、静かに語りかけた。

 

「進化が、全てじゃないさ」

 

俺は、グラス型デバイスを起動し、先ほどのマチス戦のバトルログを再生した。

 

「よく見てみろ、サトシ。マチスのライチュウは、確かにパワーも電撃の威力も桁違いだ。だが、その分、動きが大振りで、スピードを活かした細かい動きに対応できていない。マチスは、パワーでゴリ押しする戦い方しかしてこなかったんだ」

 

デバイスの画面には、ライチュウの攻撃後の、わずかな硬直時間が、スローモーションで表示されていた。

 

「ピカチュウは、ライチュウより小さい。パワーも劣る。だが、その分、スピードと小回りの良さがある。そのスピードこそが、あのライチュウを倒す、唯一の鍵だ」

 

俺の言葉に、タケシも、そしてカスミも頷いた。

「ミナトの言う通りだ、サトシ。進化させなかったからこそ、ピカチュウには、ライチュウにはない可能性があるんだ」

「そうよ!あんたのピカチュウの根性は、あのライチュウなんかに負けてないわ!」

 

俺たちの言葉に、サトシは顔を上げた。その瞳には、もう迷いはなかった。

 

「……そうか。そうだよな!ありがとう、みんな!俺、もう一度ピカチュウと特訓して、あいつに勝ってみせる!」

 

サトシは、ピカチュウと共に、再び立ち上がった。その後、彼が血の滲むような特訓の末、ピカチュウのスピードを最大限に活かした新戦法を編み出し、見事マチスに勝利したのは、言うまでもない。

 

サトシの勝利を見届けた後、俺は、マチスの前に立った。

 

「次は、俺の番だ。よろしく、マチスさん」

「Hahahaha! 面白い!君の友達は、俺を大いに楽しませてくれた!君の実力は、どうかな!?」

 

マチスは、高らかに笑い、バトルフィールドに立つ。

 

最初の相手は、ビリリダマ。俺は、相棒のエースを繰り出した。

「頼むぞ、フシギソウ!」

 

サント・アンヌ号での激戦を経て、逞しさを増したフシギソウが登場する。その圧倒的な存在感に、マチスも観客も息を呑んだ。地面を転がりながら突進してくるビリリダマを、フシギソウは進化したパワーを乗せた「つるのムチ」で軽々と弾き返し、相性の良さを活かして危なげなく勝利する。

 

「やるじゃないか!だが、ここからが本番だ!行け、俺の最高のパートナー、ライチュウ!」

 

マチスの切り札、ライチュウが登場する。サトシを苦しめた、圧倒的な威圧感。だが、俺の心は、不思議と落ち着いていた。

 

「行け、ミニリュウ!『りゅうのいかり』!」

 

ミニリュウの放つ竜の怒りが、ライチュウを捉える。さらに、その素早い動きでライチュウを撹乱し、的確にダメージを与えていく。サトシの戦いを見て、ライチュウの弱点がスピードにあることは、完全にインプット済みだ。

 

「くっ……やるな、小僧!だが、これで終わりだ!最大パワーの『かみなり』!」

 

ライチュウの体に、凄まじい電力が集中する。だが、それも俺の計算通りだった。

 

「戻れ、ミニリュウ!行け、フシギソウ!」

 

電撃が放たれる寸前、俺はフシギソウに交代する。

「『やどりぎのタネ』だ!」

 

フシギソウが放ったタネが、ライチュウの体に付着し、その体力をじわじわと奪い始める。そして、渾身の「かみなり」が、フシギソウに襲いかかった。

 

凄まじい電撃に、フシギソウは苦痛の声を上げるが、その足は、決して大地から離れなかった。草タイプとしての耐性と、進化したことによる耐久力。そして、やどりぎが吸収したエネルギーが、フシギソウを支えていた。

 

「な……なんだと!?」

「勝機は、もらった」

 

俺は、勝利を確信した。

 

「決めろ、フシギソウ!渾身の、『はっぱカッター』!」

 

フシギソウが放つ無数の葉の刃は、以前とは比べ物にならないほど鋭く、力強い。それが、弱ったライチュウに殺到する。ライチュウは、なすすべなくその攻撃を受け、ついにフィールドに倒れた。

 

「……ライチュウ、戦闘不能!よって勝者、挑戦者ミナト!」

 

審判の宣言が、ジムに響き渡る。

 

「Unbelievable! 見事だ、Boy!」

 

マチスは、完敗を認め、笑顔で俺に歩み寄ってきた。そして、オレンジ色のバッジを、俺の手に握らせた。

 

「君の戦術、そしてポケモンとの絆、最高に痺れたぜ!このオレンジバッジは、君にこそふさわしい!」

「ありがとうございます!」

 

三つ目のジムバッジ。その輝きは、俺と、フシギソウと、ポリゴンと、そしてミニリュウ。全員で勝ち取った、勝利の証だった。

 

クチバシティの夕日を浴びながら、俺はオレンジバッジを高く掲げた。次の目的地は、シオンタウンか、タマムシシティか。

 

どちらにせよ、俺たちの旅は、まだ終わらない。最高の相棒たちと共に、俺は、まだ見ぬ世界へと、足を踏み出していく。その決意を、胸に抱いて。

 

 

チラシ裏から表にでるべきか

  • チラシ裏でいい
  • 表にでてもいい
  • まだ表にでるのは早い
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