アニポケ転生者物語   作:投稿者

231 / 344
第202話

翌朝。

俺たちがトウカシティを出発しようとすると、街の出口に大きなリュックを背負ったマサトが立っていた。

 

「パパ!ママ!……僕、決めたんだ。お姉ちゃんたちと一緒に旅に行く!」

 

「マサト!?」

ハルカが驚いて声を上げる。センリさんとミツコさんも、困惑した表情で顔を見合わせた。

 

「僕、今まで本の中だけでポケモンのことを分かったつもりになってた。でも、ミナトお兄ちゃんのラルトスを見て、気づいたんだ。……本当の絆は、自分の足で歩いて、自分の心でぶつからないと作れないんだって!」

 

マサトの瞳には、かつてないほど強い意志が宿っていた。

昨日、俺のラルトスと一緒に遊んだ時間が、彼の中に眠っていた「冒険心」を呼び覚ましたらしい。

 

「マサト、旅は厳しいぞ。本に書いてあるような綺麗なことばかりじゃない」

センリさんが厳格な声で諭す。

 

「分かってる!……でも、僕には知識がある!サトシお兄ちゃんたちが迷わないように、僕がナビゲートするよ!……ねえ、いいでしょ!?」

マサトは、大切そうに抱えていたポケナビを掲げた。

 

センリさんは、しばらくマサトの目を見つめていたが、やがてふっと肩の力を抜いた。

「……ふん。誰に似たのか、一度言い出したら聞かないな。……ミツコ、いいだろう?」

「ええ。ハルカもいることですし……。マサト、お姉ちゃんの言うことをよく聞くのよ?」

 

「やったぁぁぁ!ありがとう、パパ、ママ!」

マサトが歓喜の声を上げる。

 

「よーし!マサト、一緒に行こうぜ!賑やかになるな!」

サトシがマサトの頭をわしゃわしゃと撫でる。

 

こうして、サトシ、ハルカ、マサトの三人旅が本格的にスタートすることになった。

 

「ミナトはどうするの?やっぱり一人で行くの?」

ハルカが尋ねる。

 

「ああ。俺はテスターとして、独自のルートで地形やポケモンの分布を調査しなきゃならない。……サトシたちの王道の旅とは、少しテンポが違うからな」

 

俺は、自分の役割を再確認した。

俺の目的は、この世界の「現実」を記録し、脅威を未然に防ぐこと。

サトシたちの成長を邪魔しない程度に距離を置きつつ、必要な時には駆けつける。それが、今の俺にできる最善の関わり方だ。

 

「……ミナトお兄ちゃん。そのラルトス、大切にしてね」

マサトが、少しだけ名残惜しそうに俺の肩のラルトスを見た。

 

「ああ。約束するよ。……マサト君も、いいナビゲーターになれよ。いつか、お前が育てたポケモンと戦えるのを楽しみにしてる」

 

「うん!僕、最高のトレーナーになるから!」

 

俺たちは、トウカシティのゲート前で別れた。

サトシたちは、104番道路の海岸線を目指して歩き出す。

俺は、それを見送り、別の道――鬱蒼と茂るトウカの森の入り口へと向かった。

 

「(さて、と。……俺たちも行くか)」

 

俺は、ポケナビを確認し、森の深部へと足を踏み入れた。

ポリゴンZには、あえて「異常事態が起きるまで休んでいろ」と伝えてある。

今は、キャモメの目と、ジグザグマの鼻、そして新入りのラルトスの感応力。

この「ホウエン・チーム」の力だけで、この森を抜けてみせる。

 

「頼んだぞ、みんな」

 

俺の呼びかけに、三匹がそれぞれの鳴き声で応えた。

新天地での、俺自身の挑戦。

トウカの森の冷たい空気が、心地よく肌を刺激していた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。