アニポケ転生者物語 作:投稿者
トウカの森。
巨大な木々が複雑に入り組み、太陽の光さえも遮るこの場所は、ホウエン地方でも有数の迷いの森だ。
俺はポリゴンZの高度な解析能力を封印し、自分の足と、新しい相棒たちの本能だけを頼りに進んでいた。
「キャモメ、上から出口の方向は見えるか?」
「キャーモ!」
キャモメが木々の隙間から空へ飛び立ち、旋回する。
彼は風の流れを読み、森の切れ目から漏れるわずかな光の方向を指し示した。
「よし、あっちだな。……ジグザグマ、足元に罠や落とし穴がないか確認してくれ」
「ジグッ!」
ジグザグマが鼻を地面に擦り付け、クンクンと匂いを嗅ぎながら先行する。
彼のおかげで、不自然に踏み固められた土(おそらく野生ポケモンの巣や罠)を回避して進むことができた。
「(いいぞ。……ポリゴンZに頼らなくても、俺たちは十分にやっていける)」
俺は自分の判断力と、相棒たちの有能さに手応えを感じていた。
だが、その平穏は、森の奥から聞こえてきた不穏な争い声によって破られた。
「や、やめてください!これはデボンの大切な……!」
「黙れと言っているだろう!そのカバンをこちらに渡せ!」
鋭い怒号。俺はジグザグマに合図を送り、気配を殺して声のする方へと近づいた。
開けた広場に出ると、緑色のスーツを着た男が、二人の「異様な集団」に追い詰められていた。
赤いフード付きの戦闘服。胸元には、黒い火山の紋章。
「(マグマ団……。やはり活動を開始していたか)」
カントーのロケット団が「利益」のために動く犯罪組織なら、このマグマ団は「理想」のために動く狂信的な集団だ。大地を広げるという荒唐無稽な目的のために、デボンコーポレーションの研究成果を奪おうとしている。
「お前たちが何を企んでいようと、力ずくで奪うのは感心しないな」
俺は、物陰からゆっくりと姿を現した。
「誰だ、貴様は!」
マグマ団員たちが一斉にこちらを向く。
「ただの通りすがりのトレーナーだ。……でも、その荷物は俺の友人の父親の会社の物でね。見過ごすわけにはいかない」
「ガキが、生意気な口を!やっちまえ、ポチエナ!ズバット!」
二体のポケモンが繰り出される。
俺は、ポリゴンZを出したい衝動を抑えた。
ここで彼を使えば、一瞬で終わるだろう。だが、それは今の俺が求める「冒険」ではない。
「ラルトス、ジグザグマ!お前たちの出番だ!」
俺は、ホウエンでの新しい相棒たちを前に出した。
「ラルッ!」「ジグッ!」
「ほう、そんな弱そうなポケモンで相手をするつもりか?笑わせるな!」
マグマ団員が嘲笑う。
「弱そうに見えるか?……なら、その認識を今すぐ書き換えてやるよ」
俺は不敵に笑い、二匹に指示を出した。
「ジグザグマ、フィールドを駆け回れ!ラルトス、その動きをサポートしろ!」
トウカの森の静寂が、バトルの熱気によって塗り替えられていく。
新天地での、俺たちの「本当の初陣」が始まった。