アニポケ転生者物語 作:投稿者
「ポチエナ、『かみつく』!ズバット、『ちょうおんぱ』!」
マグマ団員たちが、力任せに指示を出す。
「ジグザグマ、ジグザグ走行で撹乱だ!」
「ジググッ!」
ジグザグマが、その名の通り左右に激しく折れ曲がるステップで森の中を駆け抜けた。
ポチエナはそのトリッキーな動きに狙いを定められず、木の幹に激突する。
その動きは、単なる回避ではない。観客を魅了するダンスのような美しさがあった。
「ラルトス、今だ!『かげぶんしん』でジグザグマの残像を増やせ!」
ラルトスが精神を集中させると、ジグザグマの虚像がフィールド全体に広がった。
数十匹のジグザグマが、四方八方からポチエナを取り囲む。
「なっ、どいつが本物だ!?」
「本物は、お前の目の前だよ。……ジグザグマ、『ずつき』!」
死角から飛び出したジグザグマの一撃が、ポチエナの腹部を捉えた。
「ガハッ!?」
ポチエナが吹き飛ばされる。
「ズバット、何をしてる!上から『どくどく』だ!」
「ラルトス、空を支配しろ!『ねんりき』!」
ラルトスの目が青く輝く。
空中のズバットが吐き出した毒の液を、サイコパワーで中空に固定した。
さらに、その毒液を球体状に丸め、逆にズバットへと投げ返す。
「ラルッ!!」
「ぎゃあっ!自分の毒が!」
ズバットは自らの技に当たり、パニックに陥って墜落した。
「な、なんだこの戦い方は……!まるで、サーカスでも見ているみたいだ……!」
研究員が呆然と呟く。
「これが俺たちのスタイルだ。強さと、美しさ。その融合だ!」
俺は、最後の一撃を指示した。
「ジグザグマ、『スピードスター』!ラルトス、念力で光の弾道を加速させろ!」
二匹の技が重なり合う。
黄金の星が、サイコパワーの加速を受けて流星群のようにマグマ団員たちを襲った。
「うわあああぁぁ!!」
団員たちはポケモンと共に森の奥へと吹き飛ばされていった。
「ふぅ……。お疲れ様、二人とも」
俺が声をかけると、ジグザグマとラルトスは顔を見合わせ、満足げにハイタッチ(のような動作)をした。
「助かりました……!私はデボンコーポレーションの研究員です。この『デボンのにもつ』を奪われたら、取り返しのつかないことになるところでした」
研究員が震える手でカバンを抱え直す。
「無事でよかったです。……カナズミシティのツワブキ社長によろしく伝えてください」
「ええ、必ず!貴方の名前は?」
「ミナトです。ただのテスターですよ」
俺は研究員を見送った後、ポリゴンZの入ったボールを撫でた。
「(出番がなくて残念だったな。でも、こいつらの成長、見てただろ?)」
デバイスがピポッと短く鳴った。
まるで「次は俺の番だ」と言っているかのように。
「ああ。分かってるよ。……さあ、行こう。カナズミシティはもうすぐだ」
俺たちは、トウカの森の出口から差し込む眩い光の中へと踏み出した。
新しい仲間たちの実力、そして自分自身の可能性。
それを確信した俺の足取りは、昨日よりもずっと軽やかだった。