アニポケ転生者物語 作:投稿者
センリ家への招待
「ただいまー! パパ、ママ!」
ハルカが元気よく玄関を開ける。
「お帰り、ハルカ! マサトも一緒だったのね」
優しい笑顔の母親、ミツコさんが出迎えてくれる。
そして、奥のリビングから、威厳ある男性が現れた。
トウカジムのリーダー、センリさんだ。
「よく帰ったな。……それに、お客様も一緒か」
センリさんの視線が、俺とサトシに向けられる。その眼光は鋭いが、どこか温かい。
「はじめまして! マサラタウンのサトシです! センリさんに挑戦しに来ました!」
「同じく、マサラタウンのミナトです。よろしくお願いします」
「ほう、マサラタウンから……。噂は聞いているよ。上がってくれ、歓迎する」
賑やかな食卓、マサトの知識
その夜、センリ家では豪華な夕食会が開かれた。
テーブルには色とりどりの料理が並び、温かい湯気が立ち上っている。
「うっわー! ハンバーグだ! いただきまーす!」
一番にフォークを手に取ったのは、ハルカの弟、マサトだ。
眼鏡をかけた利発そうな少年は、ハンバーグを一口頬張ると、目を輝かせた。
「んんーっ! 最高! ママの料理はやっぱり世界一だね!」
「もう、調子がいいんだから」
ミツコさんが笑う。
食後、マサトは早速行動を開始した。
彼は自分の部屋から図鑑とノートを持ってくると、俺の元へトコトコとやってきた。
「ねえねえ、ミナトさん! そのポリゴンZってポケモン、すっごく珍しいんですよね!」
マサトの瞳は、好奇心でキラキラと輝いている。彼はまだトレーナーではないが、知識だけならそこらの大人顔負けだ。
「ああ。こいつは俺の相棒で、最高のデータ解析能力を持ってるんだ。……おいポリゴンZ、挨拶してやれ」
『肯定。……個体名マサト、認識。知識レベル高。推奨:友好的対応』
ポリゴンZが画面から顔を出し、電子音で挨拶すると、マサトは「うわぁ! しゃべった! データ通りの人工知能だ!」と大興奮だ。
「サトシさんのピカチュウもすごいですよね! 普通のピカチュウより電気袋の張りが違うし、毛艶も最高だ!」
次はサトシのピカチュウにターゲットが移る。
「だろ? こいつは俺の自慢の相棒なんだ。いろんな修羅場をくぐり抜けてきたからな!」
サトシが得意げに鼻をこする。
「いいなぁ……。僕も早くトレーナーになりたいなぁ。……でも、パパは『まずは知識をつけろ』ってうるさいんだ」
マサトが少し寂しげに呟く。偉大な父を持つがゆえの悩みだろう。
センリさんは新聞を読みながら、聞き耳を立てているようだ。
「知識は大事だぜ、マサト。……でもな、それ以上に大事なのは『体験』だ」
サトシが、珍しく真剣な表情で語りかける。
「本に書いてあることと、実際にポケモンと触れ合って分かることは全然違う。……お前はこれから、姉ちゃんと一緒に旅をするんだろ? 毎日が新しい発見の連続だぞ」
「サトシさん……」
マサトはサトシの言葉を噛み締めるように頷いた。
姉弟の旅立ち、それぞれの目標
「ちょっとマサト! あんまり二人を困らせちゃダメよ!」
ハルカが、食後のデザートを持って戻ってきた。
「困らせてないよ! 僕はただ、未来のチャンピオンとして勉強してるだけだもん!」
「はいはい。……でも、本当にありがとうね、二人とも。この子、口は達者だけど、本当は甘えん坊なんだから」
ハルカが困ったように、でも弟を慈しむように笑う。
「明日からは、ハルカとマサトも一緒に旅をするのか?」
俺が尋ねると、ハルカは力強く頷いた。
「うん! パパとママにも許してもらったの。……私、まずはトップコーディネーターを目指して頑張る! ミナト君やサトシ君に負けないくらい!」
「おう! その意気だ!」
俺は、そんな二人を微笑ましく見つめた。
熱血漢のサトシと、新人トレーナーのハルカ、そして知識豊富なマサト。そして、転生者である俺。
奇妙な取り合わせだが、このメンバーなら、どんな困難も乗り越えていける気がした。
「焦らなくていいさ。……ハルカちゃんには、ハルカちゃんのペースがある。……サトシには、サトシの爆発力がある。……俺は、それを一番近くで見届けるよ」
「なんだよミナト、お前も主役だろ? 一緒に強くなろうぜ!」
サトシが俺の背中をバシッと叩く。
「いてて……。分かってるよ。俺も、シルフのテスターとして恥じない結果を残すつもりだ」
センリさんが新聞を置き、静かに口を開いた。
「サトシ君、ミナト君。……明日はジム戦の予定だったが、少し予定を変更しよう」
「えっ?」
「君たちの実力は認めるが、今のままでは私のケッキングには勝てないだろう。……まずはカナズミシティへ行き、ツツジさんのジムに挑戦してきなさい。そしてバッジ四つ獲ったら、また戻ってくるといい」
「ええーっ!? 今すぐ戦いたいです!」
サトシが抗議するが、センリさんは首を振った。
「急がば回れ、だ。……それに、道中で君たちが得る経験は、きっと君たちを強くする」
「……分かりました。カナズミジム、行ってきます!」
サトシはすぐに切り替え、拳を握った。
「俺も、異存はありません。……強くなって、戻ってきます」
俺も頷いた。センリさんの言葉には、確かな重みと、若者への期待が込められていた。
「よし、そろそろ寝るか! 明日は早いぞ!」
「はーい!」
「おやすみなさい!」
俺たちは、センリ家で用意してもらった客間で眠りについた。
窓の外には、トウカシティの静かな夜景が広がっている。
ホウエンの旅は、ここから本格的に始まる。
4人の旅路に、幸多からんことを。