アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第208話

廃鉱山での一件を終え、カナズミシティに戻った俺は、調査結果をデボン本社のツワブキ社長に報告した。

「ほう、色違いのココドラだったか。……それは珍しい。君のようなトレーナーに出会えて、その子も幸せだろう」

社長は満足げに頷き、約束の謝礼を渡してくれた。

「これで、鉱山の安全も確保できた。感謝するよ、ミナト君」

 

その後、俺はサトシたちと合流し、街にある『ポケモン・トレーナーズスクール』を訪れた。

ここは将来のトレーナーを目指す子供たちが通う名門校であり、ジムリーダーのツツジが特別講師を務めていることでも有名だ。

校舎はモダンなデザインで、校庭では子供たちがポケモンと一緒に授業を受けている。

 

「へえ、ここがトレーナーズスクールか! すごい設備だな!」

サトシが目を輝かせて校舎を見上げる。

「ふふん、僕の知識がどこまで通用するか、試してみようかな!」

マサトが眼鏡をキラリと光らせて鼻息を荒くする。

「ちょっとマサト、あんまり調子に乗っちゃダメよ? ……でも、どんな勉強してるのかしら。コンテストのことも教えてくれるのかな?」

ハルカも興味津々だ。

 

「あら、貴方がミナトさん、そしてサトシさんたちですね? ……オーキド博士から伺っています。カントーとジョウトのリーグで素晴らしい成績を残した実力者たちだと」

スクールの教壇に立っていたのは、眼鏡をかけた知的な雰囲気の女性。彼女こそがカナズミジムのジムリーダー、ツツジだった。

手には分厚い教科書を持ち、黒板にはタイプ相性の表がびっしりと書かれている。

 

「はじめまして。ツツジさんですね」

「はい。……せっかくですから、生徒たちのために少しお話をしていただけませんか? 実戦経験豊富なトレーナーの話は、彼らにとって何よりの教材になりますから」

「えっ、俺たちが先生を?」

サトシが驚く。

「ええ。特にマサト君、君の知識量は目を見張るものがあります。ぜひ、初級クラスのクイズに参加してみませんか?」

 

こうして、俺たちの即席特別授業が始まった。

 

まずはマサトの出番だ。初級クラスのタイプ相性クイズに飛び入り参加した彼は、水を得た魚のように生き生きとしていた。

「問題! 水・地面タイプの弱点は?」

「草タイプ! 4倍ダメージです!」

「正解! では、ノーマル技が効かないタイプは?」

「ゴーストタイプ! ……ちなみに、『みやぶる』や『かぎわける』を使えば当たるようになります!」

マサトの即答ぶりに、生徒たちから「おおーっ!」という尊敬の眼差しが向けられる。

「えっへん! どんなもんだい!」

マサトは得意満面だが、ハルカは「もう、生意気なんだから……」と苦笑いだ。

 

そのハルカも、中級クラスの授業に参加したが、こちらは悪戦苦闘していた。

「えーと、アチャモの『ひのこ』は、イシツブテに……こうかばつぐん?」

「ブブーッ! 岩・地面タイプのイシツブテに炎技は効果がいまひとつだよ!」

「うぅ……タイプ相性って難しい〜!」

頭を抱えるハルカ。だが、その一生懸命な姿に、生徒たちも親近感を覚えたようで、いつの間にか応援ムードになっていた。

 

そして、校庭での実技授業。ここはサトシの独壇場だ。

「みんな、教科書も大事だけど、バトルはもっと自由だぜ! ピカチュウ、見せてやれ! 『アイアンテール』!」

「ピカァッ!!」

サトシのピカチュウが、鋼の輝きを纏った尻尾で岩を砕く。

「すっげえ! 電気タイプなのに鋼技を!?」

「大切なのは、相性をひっくり返すくらいの気合と、ポケモンとの絆だ! 諦めなければ、なんだってできる!」

サトシの熱い言葉とド派手なアクションに、子供たちは目を輝かせて歓声を上げる。

 

最後に、俺が上級クラスの教壇に立った。

前には、より高度な戦術を学びたいと願う生徒たちが座っている。

「ミナトです。……サトシやマサト君が言ったように、知識も気合も大切です。ですが、俺が旅で学んだもう一つ大切なことは、『観察』です」

 

俺は、新入りのココドラをボールから出した。

教室にどよめきが走る。赤い瞳の色違いココドラなど、図鑑にも載っていないからだ。

「このココドラは、色違いという理由で群れを離れ、一人で修行していました。教科書のデータには載っていない、彼だけの物語があります。もし俺が『ただのココドラだ』としか思わなかったら、彼の本当の強さに気づくことはできなかったでしょう」

 

俺は、バトルにおいてもコンテストにおいても、ポケモンを一匹の「個」として尊重し、その背景や感情を理解することの重要性を語った。

「相手が何を考え、何を望んでいるのか。それを理解して初めて、知識は知恵になり、気合は確信に変わります。……目の前のポケモンを、よく見てあげてください」

 

講義の締めくくりとして、4人全員で生徒たちの質問に答えた。

「旅をしてて一番嬉しかったことは?」

「ジム戦で勝った時!」「新しいポケモンをゲットした時!」「美味しいものを食べた時かな?」「僕は珍しいポケモンを見た時!」

それぞれの答えに、生徒たちは笑い、そして夢を膨らませていた。

 

「……素晴らしい講義でした。ありがとうございます、皆さん」

ツツジが心からの拍手を送りながら言った。

「知識のマサト君、初心のハルカさん、情熱のサトシさん、そして理知のミナトさん。……トレーナーのあり方は一つではない。それを生徒たちに教えていただきました」

 

「いえ、こちらこそ楽しかったです。……初心を思い出しました」

俺が言うと、サトシもニカっと笑った。

「おう! 俺も燃えてきたぜ! ツツジさん、明日のジム戦、楽しみにしててくれよな!」

 

「ええ、お待ちしています。……生徒たちの前で、今度は私とバトルの真実を語り合いましょう」

ツツジの瞳には、教育者としての優しさだけでなく、ジムリーダーとしての鋭い闘志が宿っていた。

 

俺たちはツツジと握手を交わし、夕焼けに染まるスクールを後にした。

翌日に控えた、ホウエン地方最初のジム戦。

新しい仲間たちと共に、俺たちの全力をぶつける時が来た。

カナズミの街に、4人の影が長く伸びていた。

その影の中で、ココドラの紅い瞳が、明日の勝利を確信するように輝いていた。

 

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