アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第212話

ムロタウンの北に位置する『石の洞窟』。

ここは、ホウエン地方でも有数の珍しい鉱石が産出される場所であり、多くのココドラやズバット、マクノシタが生息している。

内部は入り組んでおり、不用意に入り込めば迷子になってしまうだろう。

 

「ポリゴンZ、ツワブキ社長から送られてきた座標へ案内してくれ」

『了解。地下2層、最深部へのルートを表示します』

 

俺は、ヘッドライトの明かりを頼りに奥へと進んだ。

途中、野生のココドラたちが俺の連れている色違いのココドラに気づき、興味深そうに集まってくる。

ココッ!(仲間だ!)

俺のココドラも、嬉しそうに挨拶を返している。

 

最深部の広間にたどり着くと、そこには壁画のような模様が描かれた岩壁があり、その前で一人の青年が熱心に石を調べていた。

銀髪にスーツ姿。その背中からは、ただの石マニアとは違う、只者ではないオーラが漂っている。

 

「……美しい。この地層の重なり、そして古代の息吹」

青年は独り言を呟きながら、ルーペで岩肌を観察している。

 

「あの、ツワブキ社長からの紹介で来ました。ミナトです」

俺が声をかけると、青年はゆっくりと振り返った。

 

「やあ。君がミナト君か。父から聞いているよ」

青年――ダイゴは、爽やかな笑顔で俺を迎えた。

「僕はダイゴ。……石のことが気になってね、つい長居してしまったよ」

 

ダイゴは、俺の連れているココドラに目を留めた。

「ほう……。そのココドラ、色違いだね。それに、とても美しく磨かれている。……君、鋼タイプが好きなのかい?」

 

「ええ。……硬くて、強くて、美しい。最高のパートナーです」

 

「ふふっ、気が合いそうだ」

ダイゴは嬉しそうに笑った。

「実はね、この洞窟のさらに奥……地下水脈の先に、珍しいポケモンがいるという噂があるんだ。……一見すると地味だが、磨けば宝石のように輝くポケモンがね」

 

「宝石のように……?」

 

「ああ。もし興味があるなら、行ってみるといい。……ただ、たどり着くのは容易じゃないよ」

 

ダイゴとの会話を楽しんでいると、洞窟の入り口の方から騒がしい声が聞こえてきた。

「こっちだ!この奥に、波乗りのヒントがあるはずだ!」

 

サトシだ。ピカチュウと、新しい仲間のヘイガニを連れて走ってくる。

「あ、ミナト!ここにいたのか!」

 

「よう。特訓か?」

「ああ!トウキさんに勝つために、もっと強くなるんだ!」

 

サトシは、洞窟内にいた野生のココドラにバトルを挑んだ。

「ヘイガニ、『クラブハンマー』!」

だが、ココドラの鉄壁の防御に弾き返される。

「硬い……!どうすれば……」

 

「サトシ君」

ダイゴが静かに声をかけた。

「岩は、力で砕こうとしても砕けない。……だが、水の一滴が長い時間をかけて岩を穿つこともある。……相手の力に逆らわず、その流れを見極めるんだ」

 

ダイゴのアドバイス、そしてトウキの言葉。

サトシの中で、何かが繋がったようだった。

 

「流れを……見極める……」

 

サトシは再びココドラに向き直った。

「ヘイガニ、相手の動きをよく見ろ!……攻撃が来る瞬間に、横へ受け流すんだ!」

 

サトシの特訓が始まった。

俺はその様子を少しだけ見守った後、ダイゴに目配せをして、地下水脈の方角へと向かった。

俺にも、探すべき「宝石」がある。

 

「(ヒンバス……。絶対に釣り上げてみせる)」

 

俺は、静寂に包まれた地底湖へと足を踏み入れた。

 

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