アニポケ転生者物語 作:投稿者
ムロタウンの北に位置する『石の洞窟』。
ここは、ホウエン地方でも有数の珍しい鉱石が産出される場所であり、多くのココドラやズバット、マクノシタが生息している。
内部は入り組んでおり、不用意に入り込めば迷子になってしまうだろう。
「ポリゴンZ、ツワブキ社長から送られてきた座標へ案内してくれ」
『了解。地下2層、最深部へのルートを表示します』
俺は、ヘッドライトの明かりを頼りに奥へと進んだ。
途中、野生のココドラたちが俺の連れている色違いのココドラに気づき、興味深そうに集まってくる。
「
俺のココドラも、嬉しそうに挨拶を返している。
最深部の広間にたどり着くと、そこには壁画のような模様が描かれた岩壁があり、その前で一人の青年が熱心に石を調べていた。
銀髪にスーツ姿。その背中からは、ただの石マニアとは違う、只者ではないオーラが漂っている。
「……美しい。この地層の重なり、そして古代の息吹」
青年は独り言を呟きながら、ルーペで岩肌を観察している。
「あの、ツワブキ社長からの紹介で来ました。ミナトです」
俺が声をかけると、青年はゆっくりと振り返った。
「やあ。君がミナト君か。父から聞いているよ」
青年――ダイゴは、爽やかな笑顔で俺を迎えた。
「僕はダイゴ。……石のことが気になってね、つい長居してしまったよ」
ダイゴは、俺の連れているココドラに目を留めた。
「ほう……。そのココドラ、色違いだね。それに、とても美しく磨かれている。……君、鋼タイプが好きなのかい?」
「ええ。……硬くて、強くて、美しい。最高のパートナーです」
「ふふっ、気が合いそうだ」
ダイゴは嬉しそうに笑った。
「実はね、この洞窟のさらに奥……地下水脈の先に、珍しいポケモンがいるという噂があるんだ。……一見すると地味だが、磨けば宝石のように輝くポケモンがね」
「宝石のように……?」
「ああ。もし興味があるなら、行ってみるといい。……ただ、たどり着くのは容易じゃないよ」
ダイゴとの会話を楽しんでいると、洞窟の入り口の方から騒がしい声が聞こえてきた。
「こっちだ!この奥に、波乗りのヒントがあるはずだ!」
サトシだ。ピカチュウと、新しい仲間のヘイガニを連れて走ってくる。
「あ、ミナト!ここにいたのか!」
「よう。特訓か?」
「ああ!トウキさんに勝つために、もっと強くなるんだ!」
サトシは、洞窟内にいた野生のココドラにバトルを挑んだ。
「ヘイガニ、『クラブハンマー』!」
だが、ココドラの鉄壁の防御に弾き返される。
「硬い……!どうすれば……」
「サトシ君」
ダイゴが静かに声をかけた。
「岩は、力で砕こうとしても砕けない。……だが、水の一滴が長い時間をかけて岩を穿つこともある。……相手の力に逆らわず、その流れを見極めるんだ」
ダイゴのアドバイス、そしてトウキの言葉。
サトシの中で、何かが繋がったようだった。
「流れを……見極める……」
サトシは再びココドラに向き直った。
「ヘイガニ、相手の動きをよく見ろ!……攻撃が来る瞬間に、横へ受け流すんだ!」
サトシの特訓が始まった。
俺はその様子を少しだけ見守った後、ダイゴに目配せをして、地下水脈の方角へと向かった。
俺にも、探すべき「宝石」がある。
「(ヒンバス……。絶対に釣り上げてみせる)」
俺は、静寂に包まれた地底湖へと足を踏み入れた。