アニポケ転生者物語 作:投稿者
ムロタウンでの滞在三日目。
俺はポケモンセンターの裏庭にあるプールで、ヒンバスの特訓を行っていた。
「ヒンバス、ただ泳ぐだけじゃない。水しぶきを美しく上げるんだ」
「ヒンッ!」
ヒンバスが跳ねると、泥色の体から意外なほど綺麗な水しぶきが上がる。
「いいぞ。……ラルトス、『サイコキネシス』で水滴を空中に固定してくれ」
「ラル!」
ラルトスが念力を使うと、空中に無数の水玉が静止した。
そこに太陽の光が当たり、小さな虹ができる。
「キャモメ、その中をくぐり抜けろ!」
「キャーモッ!」
キャモメが虹のアーチをくぐり抜けると、水玉が弾けてキラキラと輝いた。
「(完璧だ。……これなら、一次審査は通過できる)」
俺は、ヒンバスに「美しさ」を意識した動きを徹底的に教え込んだ。
進化のためには、コンディションを極限まで高める必要がある。
特製のポロックを与え、鱗を磨き、自信を持たせる。
「お前は美しい。誰よりもな」
俺の言葉に、ヒンバスは少しずつ胸を張るようになっていった。
その様子を、物陰からハルカが見ていた。
「……すごいな。ヒンバスのこと、本当に大切にしてるんだ」
ミナトの真剣な横顔に、ハルカの胸がトクンと高鳴った。
「(ミナト君って、意外と熱いんだね……)」
彼女は自分の胸を押さえ、その感情の正体に戸惑っていた。
一方、サトシはトウキへのリベンジマッチに挑んでいた。
海岸沿いのバトルフィールド。
波の音が響く中、サトシのヘイガニと、トウキのハリテヤマが対峙する。
「ハリテヤマ、『つっぱり』!」
「ヘイガニ、波に乗れ!」
ヘイガニは、ハリテヤマの怒涛の連打を、ステップを踏むように受け流していく。
トウキの目が見開かれる。
「ほう……。僕のリズムを掴んだようだね」
「今だ!『クラブハンマー』!」
受け流した勢いのまま、ヘイガニのハサミがハリテヤマの横腹を捉えた。
強烈な一撃。ハリテヤマがよろめく。
「すごい……!サトシ、本当に強くなってる!」
応援席のハルカが声を上げる。
最後は、サトシのキモリがハリテヤマの足元を崩し、スピードで圧倒して勝利をもぎ取った。
「……参ったよ。君は、大波をも乗りこなすサーファーだ」
トウキは清々しい笑顔で、ナックルバッジを渡した。
「やったぁぁぁ!ナックルバッジ、ゲットだぜ!」
サトシの勝利を見届けた俺は、静かに立ち上がった。
「さて、次は俺の番だな」
俺は、ヒンバスのボールを撫でた。
「見ててくれ。……俺たちの戦い方を」
俺は、トウキの待つジムのフィールドへと歩み出した。
コンテストで培った「魅せる」技術と、バトルで培った「勝つ」技術。
その融合を、この一番で証明して見せる。
「ミナト君、待っていたよ」
トウキが、サーフボードを抱えて振り返る。
「君の波長……サトシ君とはまた違う、静かだけど深い海のようなものを感じるね」
「ええ。……俺の波は、少し重いですよ?」
俺はボールを構えた。
ムロジム戦、スタートだ。