アニポケ転生者物語 作:投稿者
ムロの夜、最高の晩餐
ムロジムでの激闘から数時間が経った夜。
俺たちは、ポケモンセンターの裏手にある海が一望できるテラスを貸し切り、勝利を祝うささやかなパーティを開いていた。
波音をBGMに、食欲をそそる濃厚な香りが辺り一面に漂っている。
「さあ、できたぞ! タケシ特製、ムロ島産魚介たっぷりの『あつあつ海鮮シチュー』だ! 隠し味にトウカの森で採れたハーブも入ってるぞ!」
エプロン姿のタケシが、湯気の立つ大鍋をドンとテーブルに置く。
「うわぁーっ!! 美味しそう!!」
サトシとハルカ、そしてマサトが歓声を上げて身を乗り出す。
「いただきまーす!!」
サトシが一番に皿に取り分け、スプーンで豪快にかき込む。
「んぐっ、はふっ、うめぇぇぇ!! やっぱりタケシの飯は世界一だぜ! これだよこれ! 俺、これを待ってたんだ!」
「ははは、そう言ってもらえると作り甲斐があるよ。ほら、パンもあるぞ」
タケシが嬉しそうに焼きたてのパンを配る。
「うん! 本当に美味しい! お野菜の甘味が溶け込んでて……私、いくらでも食べられそう!」
ハルカも目を細めて味わっている。
「ふうん……。なるほど、このコクはオレンのみの果汁を使ってるんですね。酸味を飛ばして甘味だけを残すなんて、計算された調理法だなぁ」
マサトは生意気な口調で分析しているが、スプーンを動かす手は止まらない。
「マサト君、君は将来ポケモンソムリエになれるかもしれないな」
タケシが苦笑いしながらマサトの頭を撫でる。
俺もシチューを口に運んだ。
魚介の旨味が凝縮されたスープが、疲れた体に染み渡っていく。
「美味いな……。タケシが合流してくれて、本当に助かったよ。俺の野戦食(レーション)とは大違いだ」
「ミナトの料理も悪くないけど、やっぱり栄養バランスと味の深みが違うよね!」
サトシの無邪気な一言がグサリと刺さるが、事実なので反論できない。
俺は、手持ちのポケモンたちを確認した。
ポリゴンZ、キャモメ、ジグザグマ、ラルトス、ココドラ、そして新入りのヒンバス。
彼らもまた、タケシが作った特製ポケモンフーズを夢中で食べている。
「ヒンバス、口に合うか?」
俺が用意した簡易プールの中で、ヒンバスは嬉しそうに跳ねた。「ヒンッ!」
彼の鱗は、タケシのアドバイスで配合したポロックのおかげか、以前よりも少しだけ艶やかになっている気がする。
ココドラは、ジグザグマが拾ってきた硬い木の実をバリバリと食べている。
「
「
二匹の相性は抜群だ。
ラルトスは、キャモメと一緒に夜空を飛ぶ練習をしている(念力で浮いているだけだが)。
ポリゴンZは、網の火加減を完璧にコントロールし、焼きトウモロコシを作っている。便利すぎる。
「(5人とポケモンたち……。いいチームになってきたな)」
ダイゴからのメールと未来への指針
食事の途中、俺のポケナビが鳴った。
ダイゴさんからのメールだ。
『ミナト君、ジム戦勝利おめでとう。
……私は一足先にカイナシティへ向かったよ。
あそこの「海の博物館」で、クスノキ館長という面白い人物に会う予定なんだ。
君も興味があれば、来てみるといい。
追伸:君のヒンバス、きっと素晴らしいミロカロスになるよ。石の輝きのようにね』
「カイナシティか……」
次の目的地は決まった。
カイナシティは、造船所や市場で賑わう活気ある港町であり、ポケモンコンテストの公式会場もある。
そして、アクア団が海の博物館を狙っているという情報(原作知識)もある。
「(ダイゴさんも巻き込まれるのか? ……いや、彼なら一人でも解決しそうだが、俺も顔を出しておくべきだろう)」
俺は、返信を打った。
『ありがとうございます。カイナシティで会いましょう』
ライバルたちの決意
「ねえミナト、次はどこへ行くの?」
食後のデザートを食べながら、ハルカが尋ねてきた。
「カイナシティだ。……コンテストに出ようと思ってる」
「えっ! ミナトもコンテストに出るの!?」
ハルカが驚いてフォークを止める。
「ああ。ヒンバスのためにね。……あいつの魅力を引き出すには、バトルだけじゃ足りないんだ。美しさを競うコンテストでこそ、真の輝きが見つかるはずだ。……ハルカも出るんだろ?」
「う、うん! ……もちろんよ! 今度こそ、一次審査突破……ううん、優勝を目指すんだから!」
ハルカの瞳に、ライバルとしての真剣な闘志が宿る。
サトシとはバトルのライバル、ハルカとはコンテストのライバル。
この旅は、退屈する暇がなさそうだ。
「カイナシティかぁ。……俺もバトルタワーとかないかなぁ」
サトシが呑気なことを言っている。
「サトシ、カイナには『バトルテント』があるわよ。フロンティアブレーンはいないけど、面白いルールで戦える場所だって」
「マジか! 絶対行く! ピカチュウ、ヘイガニ、キモリ、スバメ! 特訓だ!」
「ピカァ!」
サトシの辞書に「休息」という文字はないらしい。
「やれやれ、元気だなぁ。……まあ、次の街までは船旅だ。少しはゆっくりできるさ」
タケシがコーヒーを啜りながら、保護者のような顔で見守っている。
出航の準備
翌朝。
俺たちは、再びハギ老人の船に乗り込んだ。
「次はカイナシティじゃな! 潮の流れがいい、あっという間に着くぞ!」
船が岸を離れる。
ムロタウンの白い砂浜、トウキさんとのバトル、石の洞窟での出会い、そしてタケシとの再会。
短い滞在だったが、多くのものを得た。
「行くぞ、みんな!」
俺の呼びかけに、ポケモンたちが応える。
海風が帆を膨らませ、船は東へと進み出す。
その先には、広大なホウエン本土と、新たな事件、そして強敵たちが待っている。
俺は、ポロックケースを握りしめ、水平線の彼方を見つめた。
冒険は、まだまだ続く。