アニポケ転生者物語 作:投稿者
博物館のロビーに入ると、そこは既にアクア団によって占拠されていた。
来館者たちは隅に追いやられ、中央では恰幅の良い男性――クスノキ館長が、アクア団の幹部らしき男に詰め寄られていた。
「だから!あの『潜水艇の設計図』は渡せんと言っておろう!」
「頑固なじいさんだ。……我々の崇高な目的のために使ってやる、と言っているんだぞ」
幹部の男――ウシオが、威圧的に迫る。
筋肉質で、荒々しい海の男といった風貌だ。
「待て!」
俺とサトシが飛び出した。
「館長さんに何をする気だ!」
「ん?……なんだ、ガキどもか」
ウシオが面倒くさそうに振り返る。
「部外者は帰んな。怪我したくなかったらな」
「そうはいかない。……俺たちは、デボンコーポレーションからの届け物を持ってきたんだ」
俺はカバンを掲げた。
「デボンの荷物だと?……ほう、それは好都合だ。それもいただこうか」
ウシオが合図をすると、数人の団員がポケモンを繰り出した。
キバニア、ズバット、そしてポチエナ。
「力ずくで奪う気か。……上等だ!」
「行くぞ!ピカチュウ、『10まんボルト』!」
サトシが先陣を切る。
「こっちもだ!……キャモメ、出番だぞ!」
俺は、今回の旅の最初の相棒であるキャモメを繰り出した。
「キャーモッ!」
「キャモメ、旋回して『みずでっぽう』だ!相手の目を眩ませろ!」
キャモメが上空から水を噴射し、ロビーを視界不良に陥れる。
「なっ、見えねえ!」
「今だ!ポリゴンZ、『ほうでん』!」
俺はすかさずポリゴンZを投入した。
「ゼェェェッ!!」
水浸しの床に青白い電撃が走り、水タイプのキバニアや飛行タイプのズバットを一網打尽にする。
「ぐわぁぁっ!」
団員たちが吹き飛ぶ。
「チッ、やるな。……だが、俺はそうはいかんぞ!」
ウシオが自身のサメハダーを繰り出した。
「サメハダー、『かみくだく』!」
サメハダーが猛スピードでキャモメに襲いかかる。
「キャモメ、間一髪でかわせ!『つばめがえし』で反撃だ!」
鋭い旋回で牙をかわし、キャモメの翼がサメハダーの横腹を叩く。
衝撃で双方が後退する。
「そこまでだ!」
背後から、冷徹な声と共に、銀色の閃光が走った。
ダイゴのメタグロスだ。
「『ラスターカノン』!」
強烈な光線がウシオの足元を薙ぎ払う。
「くっ……ダイゴか!?」
ウシオが忌々しげに舌打ちをする。
「今日のところは引いてやる。……だが、潜水艇のデータ、いずれ必ず手に入れるからな!」
アクア団は煙幕に紛れて撤退していった。
「ふぅ……助かったよ」
クスノキ館長が安堵の息をつく。
「君たちのおかげで、設計図も荷物も無事だ。ありがとう」
「いえ。……でも、あいつら、諦めたわけじゃなさそうです」
俺は、逃げ去った方向を見つめた。
アクア団の目的は、古代の海を復活させること。そのためには、カイオーガを目覚めさせる必要がある。
その鍵となる何かが、この博物館にあるのかもしれない。
「さて、と。……事件も解決したし、次は俺たちの番だな」
俺はサトシたちを振り返った。
「コンテスト。……いよいよだな」
「ああ!ハルカ、準備はいいか?」
「もちろん!アチャモと猛特訓したんだから!」
俺たちは博物館を後にし、コンテスト会場へと向かった。
バトルの緊張感とはまた違う、華やかな舞台への期待と不安が、俺の胸を高鳴らせていた。
「(ヒンバス。……お前の輝き、見せてやろうぜ)」