アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第219話

ポケモンコンテスト・カイナ大会。

会場となる巨大なホールは、満員の観客で埋め尽くされていた。

スポットライトが交差し、華やかな音楽が流れる。

 

「うわぁ……すごい人!」

控室で、ハルカが緊張でガチガチになっている。

「大丈夫だハルカ。お前のアチャモなら、きっと可愛くアピールできるさ」

サトシが励ます。

 

「そうよ。……それに、あいつには負けられないもん」

ハルカの視線の先には、緑色の髪の少年――シュウがいた。

彼はロゼリアと共に、余裕の表情で手入れをしている。

 

「ふん。素人が、怪我をしないようにね」

シュウが冷ややかに言い放つ。

「なんですってー!」

 

「まあまあ。……俺たちも準備しよう」

俺はヒンバスのボールを磨きながら、静かに闘志を燃やしていた。

 

まずは一次審査。技の美しさを競うパフォーマンス部門だ。

ハルカのアチャモは、炎の輪をくぐる演技で会場を沸かせ、無事に通過した。

シュウのロゼリアも、花びらの舞で圧倒的な美しさを見せつけた。

 

そして、俺の番が来た。

「エントリーナンバー101番、マサラタウンのミナト選手とヒンバスです!」

 

「行くぞ、ヒンバス。……俺たちの『美しさ』、叩きつけてやれ」

 

俺がボールを投げると、ステージの中央に設置された巨大な水槽(フィールド)に、ヒンバスが飛び込んだ。

「ヒンッ!」

泥色の、決して綺麗とは言えない鱗。頼りなげな目つき。

観客席からは、「えっ、ヒンバス?」「珍しいけど、コンテスト向きじゃないだろ……」という困惑の声が漏れる。

 

「(今に見てろよ……。本物の輝きは、表面だけにあるんじゃない)」

 

「ヒンバス、『あられ』!」

ヒンバスが水槽から飛び出し、高く舞い上がった。

次の瞬間、天井から冷たい氷の粒が、粉雪のようにステージに降り注いだ。

会場の空気が一気に冷え込み、スポットライトの光が氷の結晶に反射して、無数の小さな虹を空中に描く。

 

「続けて、『ひかりのかべ』!」

 

ヒンバスの周囲に、幾何学模様を描く透明な壁が出現した。

降り注ぐ氷の粒がその壁に当たり、屈折し、増幅される。

万華鏡のように刻々と変化する光の幾何学模様が、ヒンバスの泥色の体を、神秘的な白銀のシルエットへと変貌させていく。

 

「そして……最後だ!『ミラーコート』!!」

 

ヒンバスが全身を鏡のように輝かせた。

周囲の全ての光、氷の輝き、観客の驚嘆。

それら全てを吸収し、何倍にも膨らませて解き放つ。

一瞬、ホール全体が目が眩むほどの純白の光に包まれた。

 

静寂。

そして、一呼吸置いてから、爆発的な歓声が沸き起こった。

「な、なんだ今の光は……!?」

「地味なヒンバスが、まるでダイヤモンドみたいに……!」

 

審査員のコンテスタも、立ち上がって拍手を送っていた。

「素晴らしい!『素材の地味さ』を逆手に取り、光の演出でここまで高めるとは!これぞコーディネーターの真骨頂だ!」

 

一次審査の結果。

俺はシュウを僅差で抑え、トップ通過を果たした。

 

「やったな、ヒンバス」

俺はヒンバスをボールに戻し、心地よい重みを感じた。

だが、その時、俺の心の中に、ある種の「驕り」が芽生えていた。

「(この演出さえあれば……二次審査のバトルも、美しさで圧倒できる。俺の計算通りにいけば、優勝は目の前だ)」

 

その慢心が、次のステージで俺を地獄へと突き落とすことになるとは、この時の俺はまだ知る由もなかった。

勝利への確信が、最も大切な「何か」を曇らせていたのだ。

 

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