アニポケ転生者物語 作:投稿者
第233話
キンセツシティの北ゲートをくぐると、そこは別世界だった。
穏やかな草原地帯は終わりを告げ、見渡す限りの赤茶けた大地と、視界を遮るほどの猛烈な砂嵐が吹き荒れる不毛の荒野――111番道路の砂漠地帯だ。
吹き付ける風には微細な砂粒が混じり、肌を容赦なく打ち付ける。
「うわっ、すごい風だ……!これじゃ目も開けてられない!」
俺は慌てて、サイクルショップで購入した『ゴーゴーゴーグル』を装着した。
視界が確保され、砂粒が目に入るのを防いでくれる。だが、吹き付ける風圧と、足元から立ち上る地熱までは防げない。
「(これがホウエンの砂漠か。……ゲームで見るよりずっと過酷だな)」
俺はマッハ自転車を降り、徒歩で進むことにした。
砂に車輪が取られてしまい、まともに走れそうにないからだ。
隣には、浮遊能力を持つポリゴンZと、風に強いキャモメを出している。
「キャモメ、上空からの偵察は無理そうか?」
「キャモ……」
キャモメは首を横に振った。この砂嵐の中では、飛ぶこと自体が困難らしい。風向きが一定ではなく、乱気流が渦巻いているのだ。
「仕方ない。地道に進むか。……ジグザグマ、何か見つけたら教えてくれ」
俺はジグザグマも出した。彼の『ものひろい』能力は、どんな環境でも役立つ。
一歩踏み出すたびに、足首まで砂に埋まる。
体力が削られていくのが分かる。
だが、この環境こそが、特定のポケモンたちにとっては楽園なのだ。
足元の砂が微かに振動した。
「(来たか!)」
俺がバックステップで身を引いた瞬間、砂の中から巨大なトゲ付きの腕が飛び出した。
「サボッ!!」
サボテンポケモンのサボネアだ。砂嵐に紛れて獲物を待ち伏せしていたのだ。
「サボネアか!……キャモメ、『つばさでうつ』!」
キャモメが低空飛行で突っ込むが、サボネアは砂嵐を利用して姿を隠す。特性『すながくれ』だ。砂煙に紛れ、気配を消して背後に回り込んでくる。
「厄介だな。……目視じゃ捉えきれない!」
「ポリゴンZ、『ロックオン』!」
『了解。……熱源探知、座標特定』
ポリゴンZの電子の目が、砂塵の奥に潜むサボネアの体温を捉え、赤いロックオンサイトを表示した。
「そこだ!『トライアタック』!」
三色の光線が砂塵を貫き、サボネアを直撃した。
「サボォッ!?」
サボネアは驚いて砂の中に逃げ込んでいった。
「ふぅ……。油断も隙もないな」
俺たちは慎重に進んだ。
砂漠には、丸くなって転がるサンドや、不思議な動きで浮遊するヤジロンといったポケモンたちが生息している。
彼らはこの過酷な環境に適応し、独自の進化を遂げている。
テスターとしての観察眼が刺激される光景だ。
「(だが、俺の目的はナックラーだ。……地面とドラゴンの力を持つ、砂漠の精霊)」
俺は、さらに砂漠の奥地、流砂が渦巻く危険地帯へと足を踏み入れた。
そこには、俺が求めている強力な相棒が待っているはずだ。
ゴーグルの奥の瞳を凝らし、俺は砂の動きを注視し続けた。
熱された空気が陽炎を作り出し、遠くの景色を揺らしていた。