アニポケ転生者物語 作:投稿者
煙突山の火口付近。
そこには、巨大なガラスケースのような装置が設置され、中には赤く輝く隕石が浮遊していた。
流星の滝にあったものと同質の、しかし禍々しい赤色をした隕石だ。
装置から伸びた極太の耐熱ケーブルが火口のマグマ溜まりへと延び、隕石から抽出したエネルギーを強制的に大地へ注ぎ込んでいるようだ。
その装置の前に、一人の男が立っていた。
赤いスーツに眼鏡をかけ、冷静沈着な、しかし狂気を孕んだオーラを放つ男。
マグマ団リーダー、マツブサだ。
「……素晴らしい。この『隕石』のエネルギーがあれば、煙突山の活動を活性化させ、大地を広げることができる」
マツブサは恍惚とした表情で、煮えたぎるマグマを見下ろしている。
「そこまでだ、マツブサ!」
俺が叫ぶと、マツブサはゆっくりと振り返った。
「……おや。ネズミが紛れ込んだようだな」
彼は全く動じていない。
「子供に用はない。……ホムラ、排除しろ」
幹部のホムラという巨漢が、コータスを繰り出して立ちはだかる。
「リーダーの邪魔はさせん! 行け、コータス!」
「ココドラ、頼むぞ!」
俺はココドラを出した。
「コータス、『かえんぐるま』!」
「ココドラ、『てっぺき』!」
炎の車輪と鉄壁の防御が激突する。
ココドラは熱さに耐えながら、コータスの突進を押し留める。
「熱いか? ……だが、この程度で俺たちの道は塞げない!」
その間に、俺はマツブサに向かって走った。
「その装置を止めろ! 火山を噴火させて、何人が犠牲になると思ってるんだ! 麓のフエンタウンの人たちが危険だぞ!」
「犠牲? ……崇高な目的のためには、多少の犠牲は付き物だ」
マツブサは冷徹に言い放つ。
「人類が増えすぎた今、必要なのは住むべき『大地』だ。海を干上がらせ、大地を広げる。それこそが、人とポケモンの共存できる未来を作るのだ」
「勝手な理屈だ! 自然を捻じ曲げて、幸せな未来なんて来るわけがない!」
「フン……。理解できんか。なら、力で黙らせるまで」
マツブサは懐からボールを取り出した。
「ポリゴンZ、装置を止めろ! ハッキングしてエネルギー供給を遮断するんだ!」
俺はポリゴンZを放ち、装置の制御パネルに向かわせた。
だが、マツブサはそれを読んでいた。
「グラエナ、『かみくだく』!」
マツブサが繰り出したグラエナが、漆黒の牙を剥いてポリゴンZに襲いかかる。
物理実体化していたポリゴンZは、不意打ちの物理攻撃に反応が遅れた。
「ゼェッ!?」
鋭い牙がポリゴンZの電子ボディに食い込み、火花が散る。
ハッキング作業が強制的に中断され、ポリゴンZが弾き飛ばされた。
「強い……!」
マツブサのグラエナは、幹部クラスとは桁違いの強さとスピードを持っている。
「ナックラー、加勢しろ! 『すなじごく』!」
俺はすかさずナックラーを繰り出し、砂の渦を作ってグラエナの動きを封じようとする。
だが、グラエナは驚異的な脚力で砂地を蹴り、軽々と回避する。
「無駄だ。……今こそ、大地の怒りを目覚めさせる時!」
マツブサが装置のスイッチを押そうとした、その時。
火口から、予想外の轟音が響いた。
マグマが異常に活性化し、装置の制御許容量を超えて逆流を始めたのだ。
「な、なんだ!? エネルギー制御が効かない!?」
マツブサが初めて動揺する。モニターの数値がレッドゾーンを振り切り、警告音が鳴り響く。
「隕石のパワーが強すぎるんだ! ……このままだと、制御不能の大噴火が起きるぞ!」
俺たちの戦いは、自然の暴走によって中断された。
敵も味方もない。
この場にいる全員が、灼熱の危機に直面していた。
大地が震え、空が赤く染まっていく。