アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第239話

「アゲハント、『ぎんいろのかぜ』! 華麗に決めて!」

対戦相手の指示で、アゲハントが羽ばたき、銀色の鱗粉を含んだ鋭い風の刃を放つ。

キラキラと輝く風は美しいが、直撃すればヒンバスの体力は大きく削られる。

 

「ヒンバス、無理に避けるな。……その風を纏え! 『ミラーコート』!」

ヒンバスは逃げることなく、あえて風の刃に向かって身を翻した。

彼の特殊な鱗が七色に輝き、風のエネルギーを吸収する。そして、倍加された衝撃波が虹色の光となってアゲハントに跳ね返された。

「きゃあっ!? う、美しいけど……痛い!」

相手のポイントが大きく減る。攻撃をただ防ぐのではなく、美しく反射する。コンテストバトルの鉄則だ。

 

「(カイナの時は、ここで欲張って攻め急いで自滅した。……でも、今の俺たちは違う)」

 

俺はヒンバスの呼吸を見た。ダメージはあるが、目は死んでいない。むしろ、強敵との戦いを楽しんでいるような余裕さえある。

「アゲハント、『しびれごな』で動きを止めて!」

黄色い粉が舞い落ちる。

「ヒンバス、水中に潜って姿を隠せ!」

「ヒンッ!」

ヒンバスが音もなくプールの水面を滑り、水中へと姿を消した。粉は水面に落ちて無効化される。

 

「どこへ行ったの!? アゲハント、上空から探して! 『サイコキネシス』で水ごと持ち上げなさい!」

アゲハントが舞い上がり、青い念力波を水面に放つ。水柱が立ち上がり、ヒンバスを炙り出そうとする。

「(焦ったな。……上空は死角が少ないが、水面からの攻撃には無防備だ)」

 

「今だ! 水面の乱反射を利用しろ! 『りゅうのいぶき』!」

 

アゲハントが念力を集中させていた一点とは別の場所から、ヒンバスがイルカのように飛び出した。

口から放たれた青いドラゴンの炎が、水しぶきを透過して神秘的なオーラを纏い、アゲハントを直撃する。

「キィッ!?」

アゲハントが麻痺状態でバランスを崩し、低空へと落ちてくる。

 

「綺麗だ……!」

「あのヒンバス、ただの魚じゃないぞ……!」

観客席から感嘆の声が漏れる。

舞い上がる水しぶきと、青い炎のコントラスト。そして何より、ヒンバスの「生きようとする力」が、泥色の体さえも美しく見せている。

それは、俺とヒンバスの呼吸が完全にシンクロし、互いの信頼が形になった瞬間だった。

 

「とどめだ! 美しく凍らせろ! 『れいとうビーム』!」

 

空中で無防備になったアゲハントを、極低温の光線が捉えた。

アゲハントの羽が霜で覆われ、その動きが完全に止まる。氷の彫像のように美しく、そして静かにフィールドに降り立った。

 

「そこまで! アゲハント戦闘不能! 勝者、ミナト選手!」

 

「やった……!」

俺は思わずガッツポーズをした。

ヒンバスも、水面で嬉しそうに跳ね、尾びれで水面を叩いて喜びを表現している。

 

その後の決勝戦も、俺たちはその勢いのまま勝利した。

決して派手ではないが、相手の良さを消しつつ、自分の持つ「素材の味」を最大限に見せる、いぶし銀の戦い方。

それは、テスターとしての冷徹な分析力と、コーディネーターとしての熱い感性が融合した、俺だけのスタイルだった。

 

表彰式。

俺は、初めてのコンテストリボンを受け取った。

「おめでとう、ミナト君。君のヒンバスは、泥の中の宝石のように輝いていたよ。ポケモンの美しさとは、外見だけではないことを教えてもらった」

審査員長の言葉が胸に染みる。

 

「ありがとう、ヒンバス。……お前は最高に美しいよ」

俺がリボンをヒンバスに見せると、彼は誇らしげに胸を張った。

その瞬間、ヒンバスの体が淡く、しかし温かい光に包まれた気がした。進化には至らなかったが、その心は確実に、美しき慈愛のポケモン・ミロカロスへと近づいている。

 

「(ハルカ、シュウ。……俺も、やっとお前たちと同じスタートラインに立てたよ)」

 

俺はリボンを大切にしまい、ユノハナタウンを後にした。

次はいよいよ、フエンタウン。

炎のアスナとの、熱いジムバトルが待っている。

コンテストでの勝利が、俺に新たな自信と、ポケモンを信じ抜く強さを与えてくれた。

ヒンバスとの絆は、もう揺るがない。

 

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