アニポケ転生者物語 作:投稿者
フエンジムのバトルフィールドは、予想通り、あるいはそれ以上に過酷な環境だった。
フィールドの周囲には本物の溶岩が流れ、むせ返るような熱気が立ち込めている。さらに、所々から蒸気が噴き出し、視界を遮るトラップとなっている。
「ようこそ! 私の燃えるバトルフィールドへ! さあ、遠慮なくかかってらっしゃい!」
アスナが対岸で仁王立ちし、不敵に笑う。その背後には、祖父譲りの闘魂が炎のように揺らめいているように見えた。
「公式ジム戦、3対3のシングルバトル! どちらかのポケモンが全滅するまで戦う! それでは、バトルスタート!」
審判の祖父が、厳かに宣言した。
「一番手はこいつよ! 行け、マグマッグ!」
アスナが最初に繰り出したのは、マグマの体を持つマグマッグだ。フィールドの熱気と共鳴し、その体はさらに赤く輝いている。
「俺の先発は……頼むぞ、ココドラ!」
俺は鋼・岩タイプのココドラを送り出した。
「ココッ!!」
ココドラは熱気にひるむことなく、四肢を踏ん張って吠える。
「あら、鋼タイプ? 炎には弱いのよ? 『かえんほうしゃ』!」
アスナがいきなり強烈な一撃を放つ。
「ココドラ、『がんせきふうじ』で壁を作れ!」
ココドラが地面を叩くと、巨大な岩が隆起し、炎の盾となる。岩壁が赤熱し、ドロドロに溶け始める。
「防いだ!? でも、いつまで保つかしら!」
「今だ、『あなをほる』!」
ココドラが溶けた岩の下に素早く潜り込む。
「地中からの攻撃ね。でも、このフィールドの地面は熱いのよ! 長くはいられないはず!」
アスナの読み通り、地中熱はココドラの鋼の体をじわじわと蝕む。
だが、それはココドラも承知の上だ。
「ココドラ、そこだ! マグマッグの足元へ!」
マグマッグの真下からココドラが飛び出し、突き上げる一撃を見舞う。
「マッグゥッ!?」
マグマッグが宙に浮く。
「追撃だ! 『アイアンヘッド』!」
空中の無防備なマグマッグに、鋼鉄の頭突きが炸裂する。
効果はいまひとつだが、物理的な衝撃でマグマッグの形が崩れる。
「すごいパワー……! でも、負けないわよ! マグマッグ、『スモッグ』!」
マグマッグが体から黒い煙を吐き出し、ココドラの視界を奪う。
「見えないなら、音で感じろ! ココドラ、右だ!」
俺の指示に、ココドラが反応する。
「『メタルクロー』!」
煙を切り裂き、鋭い爪がマグマッグを捉えた。
「これで決まりだ!」
マグマッグは戦闘不能。
まずは一勝。だが、ココドラも熱ダメージとスモッグの毒で消耗している。
「よくやった、ココドラ。戻れ」
俺はココドラをボールに戻した。
「やるじゃない! でも、次はそうはいかないわよ! 出ておいで、マグカルゴ!」
アスナの二体目は、進化したマグカルゴだ。岩の殻を背負い、防御力が格段に上がっている。
「ならば、こちらは……行け、キャモメ!」
俺は二体目に、水・飛行タイプのキャモメを選んだ。
「キャモォッ!」
「水タイプか! 有利な相性で来たわね。でも、この熱気の中で水の技がどこまで通じるかしら?」
アスナが挑発的に笑う。
「試してみるさ。キャモメ、『あまごい』!」
キャモメが空高く舞い上がり、雨雲を呼び寄せる鳴き声を上げる。
ジムの天井付近に黒雲が発生し、ポツポツと雨が降り始めた。
「なっ、天候を変えるなんて!?」
「これで炎の威力は半減、水技の威力は倍増だ! 行くぞ、『みずでっぽう』!」
強化された水流がマグカルゴを襲う。
「きゃあっ! マグカルゴ、『ひかりのかべ』で防いで!」
光の壁が展開されるが、水の勢いは止まらない。
水が蒸発し、凄まじい水蒸気が発生する。
「この蒸気を利用するわ! マグカルゴ、『日本晴れ』!」
アスナが叫ぶ。マグカルゴが体内の熱を一気に放出し、上空の雨雲を熱気で吹き飛ばす。
一瞬にして、ジム内は再び灼熱の快晴へと戻った。
「天候の上書き……! やるな!」
「ここからが本番よ! マグカルゴ、『オーバーヒート』!」
太陽の力を借りた最大火力の炎が、キャモメを襲う。
「キャモメ、『まもる』!」
緑色のバリアが展開されるが、炎の圧力が凄まじい。バリアがミシミシと音を立てる。
「耐えろ、キャモメ! お前の翼は、嵐だって超えてきたんだ!」
「キャモォォッ!!」
キャモメは気合で炎の奔流をやり過ごすと、隙を見て急降下した。
「『つばめがえし』!!」
必中の燕返しが、マグカルゴの殻の隙間、柔らかい本体に直撃する。
「マッグォッ!!」
マグカルゴが倒れる。
二連勝。だが、キャモメも翼を火傷し、これ以上の戦闘は厳しそうだ。
「キャモメ、よく頑張った。ゆっくり休め」
「……強いわね、ミナト君。私の自慢の二体を倒すなんて」
アスナは悔しそうに唇を噛んだが、その目はさらに熱く燃え上がっていた。
「でも、最後の一体は別格よ。……最強のパートナー!」
アスナが最後のボールを握りしめる。
俺も、最後のボールに手をかけた。
ここからが、本当の正念場だ。