アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第242話

「これが最後の一体よ! おじいちゃんから受け継いだ、私の魂! 行け、コータス!」

アスナが繰り出したのは、甲羅から黒い煙を噴き上げる、歴戦の風格漂うコータスだ。

「頼むぞ、ナックラー! ここが正念場だ!」

俺は、砂漠で出会い、共に戦ってきたナックラーを送り出した。

「ナック!!」

ナックラーは大きな顎をカチカチと鳴らし、闘志を燃やす。

 

「コータス、挨拶代わりの一発よ! 『かえんほうしゃ』!」

「ナックラー、穴に潜ってかわせ!」

ナックラーは素早く地面を掘り進み、地中へと姿を消した。灼熱の炎が虚しく地面を焦がす。

「逃げても無駄よ! コータス、穴に向かって『スモッグ』!」

コータスが甲羅から有毒な黒煙を噴射し、ナックラーが掘った穴へと送り込む。

「ごほっ……!」

地中に煙が充満し、ナックラーが苦しげに地上へ飛び出してきた。

 

「そこよ! 『のしかかり』!」

コータスが重い体躯を活かしてジャンプし、ナックラーを押し潰しにかかる。

「ナックラー、『すなじごく』で受け止めろ!」

ナックラーが砂の渦を作り出し、落下してくるコータスの勢いを殺そうとするが、コータスの重量とパワーが勝る。

ナックラーが押し潰され、フィールドにめり込む。

 

「強い……! パワーだけじゃない、技の使い方が巧みだ」

「ふふん、ただ熱いだけじゃないのよ! 伊達にジムリーダーやってないんだから! トドメよ、『オーバーヒート』!」

アスナが勝利を確信し、最強技を指示する。

コータスの全身が真っ赤に発光し、周囲の空気が歪むほどの熱量が凝縮されていく。

 

「(まともに食らえば終わりだ……。だが、チャンスはある!)」

「ナックラー、耐えろ! そして相手をよく見ろ! 『オーバーヒート』の反動で隙ができる瞬間を狙うんだ!」

 

「行けえぇぇぇッ!!」

極太の炎の柱がナックラーを飲み込む。

「ナックゥゥゥッ!!」

ナックラーの悲痛な叫び声。だが、彼は倒れていなかった。

持ち前の地面タイプとしてのタフネスと、俺との旅で培った根性で、ギリギリのところで踏みとどまっていたのだ。

 

「なっ、耐えた!? あの至近距離で!?」

「今だ! コータスの特攻が下がった隙を突け! 『かみくだく』!!」

 

炎が晴れた瞬間、黒焦げになりながらもナックラーが飛び出した。

コータスはオーバーヒートの反動で動きが鈍っている。

ナックラーの巨大な顎が、コータスの首元に深く食い込んだ。

「コータス!!」

 

「離すな! そのまま『あなをほる』で地面に引きずり込め!」

ナックラーはコータスを咥えたまま、強引に地面へと潜り始めた。

重量級のコータスを動かす、驚異的な顎の力。

「嘘でしょ!? あの重いコータスを!?」

 

ナックラーはコータスを地中深くに引きずり込み、そして――。

地中からの突き上げ攻撃で、コータスをフィールドの天井近くまで吹き飛ばした。

 

「これで終わりだ! 落ちてくるところに『がんせきふうじ』!」

空中の無防備なコータスに、巨大な岩石が四方八方から襲いかかる。

コータスは地面に落下し、土煙の中で動かなくなった。

 

「……コータス、戦闘不能! ……よって勝者、ミナト選手!」

審判の旗が上がり、試合終了が告げられた。

 

「やったぁぁぁ!」

俺はフィールドに駆け寄り、ボロボロになったナックラーを抱き上げた。

「ナック……!」

ナックラーも、最後の力を振り絞って勝利の雄叫びを上げる。その体が一瞬、淡い光に包まれた気がしたが、それは進化の光ではなく、彼自身の成長の輝きだったのかもしれない。

 

「……負けたぁー!」

アスナが頭を抱えてしゃがみ込む。

「悔しい! おじいちゃんのコータスでも勝てないなんて! ……でも、すっごく熱い、最高のバトルだったわ!」

 

アスナは立ち上がると、清々しい笑顔で俺に歩み寄ってきた。

「ミナト君、貴方の熱いハート、そしてポケモンの底力を引き出す指揮……しっかり受け取ったわ。完敗よ」

差し出されたのは、炎のような形をしたヒートバッジ。

「これを持って行って。フエン自慢の、ヒートバッジよ!」

 

「ありがとうございます、アスナさん。……貴女の情熱、忘れません」

「ええ。私も、もっともっと修行して、次は負けないわよ! ……あ、そうだ! 温泉卵、持って帰る?」

「はは、遠慮なくいただきます」

 

俺はバッジをケースに収めた。これで四つ。

ホウエンリーグへの折り返し地点であり、父センリへの挑戦権を得るための重要な一歩だ。

 

「(待っててください、センリさん。……俺たちは、強くなりました)」

 

夕暮れのフエンタウン。湯けむりの向こうに、次なる決戦の地、トウカシティの方角を見つめる。

 

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