アニポケ転生者物語 作:投稿者
湯上がりの通信、シダケの風
フエンタウンでの激闘から一夜明けた朝。
俺はポケモンセンターのロビーで、湯上がりのフルーツ牛乳を飲みながら、ポケナビのビデオ通話機能を開いた。
画面の向こうには、シダケタウンに滞在中のサトシたちの顔があった。
『ミナト! ヒートバッジゲット、おめでとう!』
サトシが画面越しに親指を立てる。
『すごいね、ミナト君。あのアスナさんに勝っちゃうなんて』
ハルカも笑顔だ。彼女の手には、ピンク色に輝くリボンが握られている。
「ハルカも、シダケ大会のリボンゲットおめでとう。やったな」
俺が祝福すると、ハルカは嬉しそうにリボンを胸に当てた。
『うん! アゲハントもエネコも、最高の演技をしてくれたの。……でも、シュウ君は強かったわ』
「シュウか。……あいつも順調に強くなってるみたいだな」
『ねえねえミナトさん! そっちの火山、どうですか? 珍しいポケモンとかいました?』
マサトが画面の端から割り込んでくる。
「ああ、すごいぞ。……昨日はマグマ団の騒ぎでゆっくり見られなかったが、今日はこれから周辺の調査に行くつもりだ。パッチールの生息地もあるらしい」
『パッチール! 一匹ごとに模様が違うっていうあの! いいなぁ、僕も行きたかったなぁ』
『俺たちもこれから、フエンタウンへ向かうぜ。ジムに挑戦だ!』
サトシが気合を入れる。
「俺は次はトウカを目指す。……だがその前に、少し寄り道をしていくよ」
『寄り道?』
「ああ。少し気になる情報があってな」
互いの健闘を誓い合い、通話を切る。
離れていても、俺たちは繋がっている。
その事実が、次の冒険への活力を与えてくれた。
ポケモンたちとの休日、それぞれの癒やし
通話を終えた俺は、中庭に出て手持ちのポケモンたちを全員出した。
ここフエンタウンは、ポケモンにとっても最高の保養地だ。
「みんな、昨日はお疲れ様。……今日は少しゆっくりしよう」
ココドラは、温泉成分が含まれた岩をガリガリと齧っている。彼にとっては、これ以上ないご馳走であり、装甲のメンテナンスでもあるらしい。
「
ナックラーは、柔らかい土の上で日向ぼっこをしている。昨日の激戦の疲れを、大地のエネルギーで癒やしているようだ。
「
キャモメは、湯気の中を飛び回り、湿気を浴びて羽を潤している。
ポリゴンZは、空中にホログラムスクリーンを展開し、昨日のバトルのデータを解析しながら、時折満足げに電子音を鳴らしている。
そして、ヒンバス。彼は温泉水を引いた専用のプールで、優雅に泳いでいる。
「調子はどうだ、ヒンバス?」
「ヒンッ!」
彼は尾びれで水面を叩き、元気に応えた。その鱗は、温泉の効能か、さらに艶を増しているように見える。
「(みんな、確実に強くなっている。……そして、絆も深まっている)」
俺は、それぞれのポケモンの体を丁寧にブラッシングしながら、これまでの旅を振り返った。
カントーから始まり、ジョウトを経て、今はホウエン。
出会いと別れ、勝利と敗北。
その全てが、今の俺たちを作っている。
火山灰の積もる森、パッチールの模様
午後は、テスターとしての仕事の時間だ。
俺はポリゴンZと共に、フエンタウン周辺の113番道路へ向かった。
ここは、煙突山から降り注ぐ火山灰が積もり、一面が灰色の雪景色のような不思議な光景を作り出している。
「ポリゴンZ、火山灰の成分分析を頼む」
『了解。……成分:二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、他。……ガラス工芸に適した良質な成分です』
「なるほど。ハジツゲタウンのガラス細工が有名なわけだ」
俺は、火山灰の中に隠れるように生息しているパッチールの群れを発見した。
彼らはフラフラとした足取りで歩き回り、時折ぶつかり合っては楽しそうに鳴いている。
「本当に、一匹として同じ模様がいないな」
俺はカメラで彼らの模様を記録していく。
遺伝子の組み合わせによる無限のバリエーション。これもまた、ポケモンの神秘の一つだ。
その時、草むらから一匹のエアームドが飛び出し、パッチールたちに襲いかかろうとした。
「危ない! ……キャモメ、『みずでっぽう』!」
俺はとっさにキャモメを繰り出し、エアームドを牽制した。
「キィッ!?」
エアームドは驚いて飛び去っていく。
助けられたパッチールの一匹が、お礼を言うように俺の足元にすり寄ってきた。
その模様は、まるでハートの形をしていた。
「……珍しいな。元気でな」
俺はパッチールにきのみを分け与え、その場を後にした。
調査を終え、夕暮れの街に戻る頃には、俺のリュックは採取した火山灰でいっぱいになっていた。
これで、ビードロを作ってもらえるかもしれない。
「さて、明日は出発だ」
俺は、夕日に染まる煙突山を見上げた。
次は、トウカシティ。
父、センリとの再会、そして本気のジムバトル。
俺の旅の、一つの大きな節目となる戦いが待っている。
「行くぞ、みんな。……俺たちの『強さ』を証明しにな」
俺は、熱い温泉で温まった体と心に、静かな闘志を宿し、宿へと戻った。
ホウエンの旅は、いよいよ後半戦へと突入する。