アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第245話

114番道路の最果て、険しい山脈の懐に口を開ける巨大な洞窟。

そこが、太古の昔に隕石が落下して出来たと言われる聖域、『りゅうせいのたき』だ。

一歩足を踏み入れると、地下水脈から湧き出る水の音が反響し、ひんやりとした空気が肌を包む。

天井には、星屑のように輝く鉱石が散りばめられ、天然のプラネタリウムを作り出していた。

 

「(不思議なエネルギーを感じる……。重力が少しだけ狂っているみたいだ)」

 

俺はラルトスを肩に乗せ、慎重に奥へと進んだ。

ここは、ドラゴンポケモンのタツベイが生息していることでも知られているが、今の俺たちが求めているのは別の「光」だった。

ラルトスの進化には、精神的な成長だけでなく、何らかの「きっかけ」が必要だと感じていたからだ。

 

洞窟の最深部。

そこには、ひときわ大きく青白い光を放つ隕石のクレーターがあった。

その周囲には、野生のソルロックやルナトーンたちが、宇宙のエネルギーを吸収するように静かに浮かんでいた。

彼らは俺たちに気づいても襲ってくることはなく、ただ静寂を守っていた。

 

ラル……(あそこ、心地いい)

ラルトスのツノが、隕石の輝きに呼応するように赤く点滅し始めた。

彼女のエスパー能力が、この場所の特異な波動と同調し始めているのだ。

 

「いいぞ、ラルトス。その感覚を大切にしろ。……自分の心を、この星の記憶に溶け込ませるんだ」

 

俺はポリゴンZに命じて、周囲の空間干渉を最小限に抑えさせた。

ラルトスは隕石の前に座り込み、深く瞑想に入った。

彼女の周囲に、青い念力の渦が巻き起こる。

ソルロックたちが驚いて距離を取る中、ラルトスの体は重力から解放され、フワリと宙に浮き上がった。

 

「(物語ではマサトとの絆で進化するシーンもあったが……今のラルトスは、自らの意志で進化を選ぼうとしている)」

 

彼女の心の中に流れているのは、俺との旅の記憶。

初めて出会ったトウカの森。

俺を守りたいと願った夜。

コンテストで見せた笑顔。

それら全ての感情が、サイコパワーというエネルギーに変換され、彼女の器を満たしていく。

 

ラルトスの瞳が開いた。

その瞳は、宇宙の深淵を映し出したかのような、深く、透き通った青色に染まっていた。

 

「ラル……ッ!!」

 

眩い光が、薄暗い洞窟を一瞬で白銀の世界に変えた。

光の中で、ラルトスの小さな体は背が伸び、手足はしなやかに、まるでバレリーナのような優雅なフォルムへと変わっていく。

頭部の装飾はより洗練され、溢れ出すサイコパワーが可視化された光の衣となって彼女を包んだ。

 

光が収まり、そこに降り立ったのは、感情ポケモンの進化形、キルリアだ。

 

「キルリア……。なんて美しいんだ」

 

キルッ……(ミナト、聞こえる?)

直接、脳内に声が響く。これまでの曖昧な感情の伝達ではなく、明確なテレパシーだ。

彼女の精神レベルが、人間と同等かそれ以上に高まった証拠だ。

 

「ああ、聞こえるぞ。……進化したんだな、キルリア」

 

キルリアは優雅に一回転し、俺の手をそっと取った。

彼女の指先から、感謝と喜び、そして「もっと強くなりたい」という決意が流れ込んでくる。

サーナイトへの進化、そしてさらなる高みへ。彼女の冒険はここからが本番だ。

 

「よし。……今のキルリアなら、あのコンテストも勝てるはずだ」

 

俺たちは流星の滝を後にし、山を下ってシダケタウンへと向かった。

そこでは、次のコンテストが開催されているはずだ。

進化したばかりのキルリア、そして自信をつけたヒンバス。

俺たちのチームは、今、最高の輝きを放とうとしていた。

 

「(待ってろよ、シダケ大会。……今度こそ、俺たちの完璧な美しさを見せてやる)」

 

俺は、キルリアの温かな手を感じながら、明るい出口へと歩き出した。

外の光が、キルリアの新しいドレスを白く輝かせていた。

滝の音が、俺たちの背中を押すファンファーレのように聞こえた。

 

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