アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第246話

カナズミシティを抜け、俺たちは緑豊かなトンネルを通り、空気が一番美味しいと言われる街、シダケタウンに到着した。

ここは病気療養中の人々も多く訪れる、穏やかで静かな街だ。

だが、今日の街の広場は、華やかな装飾と多くの人々で賑わっていた。

 

『ポケモンコンテスト・シダケ大会、本日開幕!』

 

「ヒンバス。……お前の出番だ」

俺はボールの中のヒンバスに語りかけた。

ハジツゲ大会でリボンを手に入れたが、ここシダケ大会はさらにレベルが高いことで知られている。

キルリアも応援に回る。今回はヒンバス一本で勝負だ。

 

会場に入ると、そこには以前出会ったコーディネーターたちの姿も数人見受けられた。

ハルカはいないようだが、皆、自分たちのポケモンを磨き上げ、真剣な表情で出番を待っている。

 

「一次審査、スタートです!」

 

俺はヒンバスを連れてステージに立った。

今回のテーマは「静寂と輝き」。

ハジツゲでの経験を活かし、ヒンバスの自然な美しさを最大限に引き出す演出だ。

 

「ヒンバス、『あまごい』!」

ヒンバスが空に鳴くと、ステージに優しい雨が降り注ぎ始めた。

ただの雨ではない。ヒンバスが作り出した、きめ細やかな霧のような雨だ。

 

「そして、『かげぶんしん』!」

 

ヒンバスの姿が増え、雨の中に無数の幻影が浮かび上がる。

本物と分身が、雨粒の中で優雅に泳ぎ回る。

泥色の鱗が水に濡れ、スポットライトを反射して真珠のような光沢を放つ。

 

「フィニッシュだ!『れいとうビーム』!」

 

ヒンバスが放った光線が雨粒を一瞬にして凍らせ、ステージ全体に氷のシャンデリアを作り出した。

分身たちがその中で消え、最後に本物のヒンバスだけが、氷の中心で輝いている。

 

「おおおおっ……!!」

観客席から感嘆の声が上がる。

それは、力強さと繊細さが同居した、息を呑むような芸術だった。

 

一次審査を圧倒的なスコアで突破。

そして迎えた二次審査、コンテストバトル。

 

対戦相手は、力強い戦い方をするマクノシタ使い。

「マクノシタ、『つっぱり』でその氷を砕け!」

「ヒンバス、『かげぶんしん』!」

 

ヒンバスの姿が揺らぎ、ステージ上に無数の残像が現れた。

マクノシタの怒涛の連打は、全て空を切り、水しぶきと氷の欠片だけを弾き飛ばす。

「なっ、どれが本物だ!?」

 

「(今だ!)」

「主役はポケモン……。ヒンバス、お前のタイミングで行け!」

 

俺は指示を最小限にし、ヒンバスの自主性に任せた。

ヒンバスは、マクノシタの突進に合わせて自ら『ハイドロポンプ』を床に放ち、その反動で高く舞い上がった。

そして、上空から美しく回転しながら『たいあたり』を決めた。

 

「そこまで!勝者、ミナト選手!」

 

優勝。

俺の手元には、三つ目のコンテストリボンが輝いていた。

「やったな、ヒンバス!」

「ヒンッ!!」

ヒンバスは、かつてないほど誇らしげに胸を張った。

その鱗が、微かに虹色の輝きを帯び始めた気がした。

 

「(ミロカロスへの進化……。あともう少しだ)」

 

俺は、リボンをヒンバスの鱗にそっと添えた。

強さと美しさ。その両立。

俺たちの目指す道が、ようやく形になってきた。

 

「さて、と。……次はトウカシティだ。……いよいよ、センリさんに会いに行こう」

 

俺は、新しいリボンと、進化した仲間たちと共に、シダケタウンを後にした。

夕暮れの風が、勝利の余韻を運んでいた。

次なる戦いの舞台、トウカシティは、もう目と鼻の先だ。

 

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